ものづくり補助金平成28年度卸売業、小売業静岡県

新聞配達網を活用した焼きたてパンのモーニング宅配サービスの展開

有限会社河西新聞店

この事例のポイント

  • 配達エリアの人口減少が進み、既存の配達先からの収益に頭を悩ませていた。
  • 製造環境の整備として、当時国内でも流通の少ないリール式の溶岩窯オーブンを導入した。
  • 製造体制の充実により生産効率が30%程度向上し、早朝から焼成作業に専念できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社河西新聞店
所在地静岡県 静岡市清水区
業種その他の小売業
資本金500万円
設立1937年

事業の背景

清水区由比で1937年(昭和12年)創業の有限会社河西新聞店は、新聞の販売・配達を主力とし、由比川より西の約1,500世帯を配達先として、シェア率は80%を超えていた。一方で新聞社によるエリア割当制度の影響で新規開拓は困難で、紙文化の市場も縮小しつつあった。そのような中、バリスタの勉強をしていた後継の家族が事業に加わり、新聞配達網を生かしたコーヒー豆の配達を始めることになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑配達エリアの人口減少が進み、既存の配達先からの収益に頭を悩ませていた。
  • 販路・情報発信新聞社によるエリア割当制度の影響で、新規の顧客開拓はほぼ不可能な状況だった。
  • その他紙文化の市場縮小により、新聞販売に代わる新たな収益策を展開する必要があった。
  • 生産能力パン製造はノウハウがあったものの、日々の製造販売に耐えうる設備がなかった。
  • その他顧客管理システムを効率化し、個数や日数、パンの種類に応じた注文管理を行う必要があった。

やったこと

製造環境の整備として、当時国内でも流通の少ないリール式の溶岩窯オーブンを導入した。天板が観覧車のように回転して火入れが均等になり、生地がふっくら焼き上がる仕組みである。地元富士山の溶岩窯は遠赤外線量が多く、生地の内部に瑞々しさを残せる。また、生地をこねるミキサーとドウコンディショナーを導入し、作りたての生地を任意のタイミングで発酵・焼成できる環境を構築した。さらに、地元の支援機関との連携によりエクセルで顧客管理システムを作成し、個数・日数・パンの種類に応じた細分化された注文管理を可能にした。

加工機リール式溶岩窯オーブン
加工機ミキサー
加工機ドウコンディショナー
ソフトエクセルによる顧客管理システム

新しい製品・サービス:コーヒー豆の配達サービスと、焼きたてパンのモーニング宅配サービス

事業の効果

製造体制の充実により生産効率が30%程度向上し、早朝から焼成作業に専念できるようになった。顧客管理の効率化により、前日までの注文に容易に対応できるようになった。新聞店の裏手に直販店舗を設置し、県内外のイベント等で出張販売も実施して販路を広げている。コーヒー豆では発売直後から固定客が付くなど、新たな取引先の開拓につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    新聞配達網を活かしコーヒー豆の配達を始めた経緯は書かれるが、経営戦略上の位置付けや過去の取組との一貫性は明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    配達エリア人口減少と新聞の紙文化縮小、シェア80%超・約1,500世帯という自社強みを挙げ、競争優位の根拠が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決3

    新聞販売の縮小という課題は認識されているが、高付加価値化の具体的な計画や数値目標は乏しい。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産効率30%程度向上という数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    妻の元講師経歴や地元支援機関との連携は書かれるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    朝刊とセットの配達によるコーヒー・パンのニーズ、前日注文対応など顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    オーブン選定、顧客管理システムのエクセル化など課題解決の手順は書かれるが、中長期のスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    当時国内で流通の少ないリール式溶岩窯を選定しており、一般的でない高付加価値の製造設備であることが具体的に読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の配達網やパン販売による地元での需要創出がうかがえるが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    生産効率30%向上という効果は示されるが、補助金額に対する費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    顧客管理のエクセル化など簡易なデジタル活用はあるが、先端技術や新ビジネスモデルとは言えず、サプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    由比という地域の配達網を活かし、県内外のイベント出張販売まで展開して地域での販路を広げている点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

事業者の声

限られた地域でしか商売ができないことが課題でしたが、今は如何に広く知ってもらうかを考えています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。