ものづくり補助金平成28年度建設業愛知県

『IoT・AI分析を活用した機械設備の劣化診断・省エネ診断サービス』の開発

株式会社ナゴヤ保缶化学工業社

成果数値変動の検証スピード 1倍→60倍

この事例のポイント

  • 設備の診断が担当者の五感による官能検査に頼っており、慣れや焦り、体調で診断結果にばらつきが出る。
  • 平成24年4月から1年間、名古屋工業大学の大学院に入り、音と振動を解析して自動診断する技術の研究を行い、自動診断技術にめどをつけた。
  • 数値変動の検証スピード 1倍→60倍。AIによる自動診断で、五感に頼っていた設備の状態判定を数値化し、診断結果のばらつきを抑えられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ナゴヤ保缶化学工業社
所在地愛知県 名古屋市
業種設備工事業
資本金2,000万円
設立1979年

事業の背景

株式会社ナゴヤ保缶化学工業社は、空調設備やプラント設備などの保全・修理・工事を主力としている。東海地区を中心に500以上の現場を抱え、年間保守や定期整備に加え、故障時には昼夜を問わず現場に駆けつけている。顧客の設備の維持管理費を抑えつつ、緊急の事故対応をなくし、安定して事業を継続してもらいたいという要望に応える必要があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能設備の診断が担当者の五感による官能検査に頼っており、慣れや焦り、体調で診断結果にばらつきが出る。
  • 生産能力故障時に昼夜を問わず現場へ駆けつける必要があり、緊急の事故対応が多い。
  • コスト・採算保全が過剰だと顧客の維持管理費が膨らむ一方、故障を防ぐ予防保全も必要で、そのバランスが難しい。
  • 人手・技能将来の人材不足が懸念されていた。

やったこと

平成24年4月から1年間、名古屋工業大学の大学院に入り、音と振動を解析して自動診断する技術の研究を行い、自動診断技術にめどをつけた。空調設備の熱源機器の保全報告書データをAIシステムに学習させ、扱うデータは温度、圧力、流量、真空状態など約10項目とし、過去50年分の報告書のうち10万件以上を使用した。平成29年春に顧客1社の設備2機種にAIシステムを導入し、3カ月間の実証で「故障注意」と「良好」の識別率は95%以上だった。保全対象の設備が置かれた環境下で正確に安定したデータを取得するため専用ロガーも開発し、ウェブ上で顧客が稼働状況を確認できる仕組みも設けた。

ソフトAIシステム(設備の劣化・省エネ診断用、数値解析・自動診断)
検査測定専用データロガー(設備の温度・圧力・振動等の計測用)
ソフト設備遠隔監視システム

新しい製品・サービス:IoT・AI分析を活用した機械設備の劣化診断・省エネ診断サービス

事業の効果

  • 数値変動の検証スピード 1倍→60倍
  • 「故障注意」と「良好」の識別率は95%以上だった

AIによる自動診断で、五感に頼っていた設備の状態判定を数値化し、診断結果のばらつきを抑えられるようになった。模擬試験を繰り返してシステムを改良した結果、使えるレベルに近づいた。ロガー側でAIを動かし異常データだけを通報する仕組みを平成31年までに完成させる計画で、予防保全をユーザー側でも行えるようになる見込みだ。大規模工事を減らし、設備の維持管理費の総額を削減することを狙う。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    空調・プラント設備の保全を主力とし、既存の官能検査から予知保全へ発展させた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    東海地区で500以上の現場を抱えることや故障時の即応体制は読み取れるが、競合に対する自社の優位性の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    官能検査のばらつきや大規模工事の多さという課題を示し、予知保全で維持管理費の総額を削減する狙いが具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    数値変動のスピードを60倍にした点や識別率95%以上の実証は書かれているが、付加価値や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    名古屋工業大学大学院で学んだ社長や社外委託・社内作成の役割分担は読み取れるが、人材や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客の維持管理費削減と事故防止という価値は示されているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けの数値は書かれていない。

  • 事業化までの道筋4

    実機実証の休止、仮想空間での模擬試験、2031年までの完成という段階的な進め方と時期が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    設備遠隔監視とAI予知保全は一般的に普及していない分野とまでは言えず、高付加価値化の水準は事例からは判断しにくい。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    空調・プラント設備の安定稼働や事故防止の必要性がうかがえるが、地域経済への波及効果までは書かれていない。

  • 費用対効果4

    保全過剰による維持費増の問題と、10万件超の報告書学習による3カ月実証の成果など、費用対効果の考え方が具体的に書かれている。

  • イノベーションへの貢献4

    AIと遠隔監視、無線通信のデータロガーを組み合わせ、現場に出向かずに予知保全する仕組みが具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    予防保全やIoT・AIによる遠隔監視の方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    東海地区を中心に事業を展開している点はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への言及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は、データロガー自体にAIシステムを組み込み、異常データの発生情報だけを通報するシステムを平成31年までに完成させる方針である。完成すれば予防保全はある程度ユーザー側で行えるようになる。計測から評価、チューニングまで一貫したサービスを提供し、直接的な整備、緊急対応、IoT・AIを活用したゼロストップサービスを展開したいと考えている。

事業者の声

ゼロストップサービスを展開したい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。