ものづくり補助金平成28年度製造業京都府

工場内ネットワークを利用した集中監視システムによる生産性の向上

宮本樹脂工業株式会社

成果不良返品率 0.024%→0.011%

この事例のポイント

  • 従来は生産した製品を従業員が目視で検査しており、不良の見落としや従業員間の良品限度認識のばらつきにより不良品の流出がたびたび発生していた。
  • 工場内ネットワークに対応した集中監視システム(NET100システム)を搭載した射出成形機を導入した。
  • 不良返品率 0.024%→0.011%。集中監視システムにより既存の射出成形機を含めて稼働状況を常時監視できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名宮本樹脂工業株式会社
所在地京都府 京都市
業種プラスチック製品製造業
技術分野情報処理
従業員数32人
資本金2億円
設立1959年

事業の背景

当社は1946年創業のプラスチック一筋の会社で、多品種少量の量産品を主力としている。防犯・監視カメラなどのセキュリティ市場は成長を続けており、非住宅向けのLED照明の採用も加速している。一方で、これらの市場には海外製の低価格商品が流入している。このため、より一層のコスト低減と高い品質保証を同時に満たすことが必要となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来は生産した製品を従業員が目視で検査しており、不良の見落としや従業員間の良品限度認識のばらつきにより不良品の流出がたびたび発生していた。
  • 集客・繁閑得意先からの返品や社内在庫品の再検査が発生していた。
  • コスト・採算品質管理に係る人的工数が今後さらに増加し、生産性を低下させ利益を圧迫することが懸念されていた。
  • 納期・工程顧客から以前より製品ごとのエビデンス保存の要請を受けており、製品一品ごとの製造時データ管理の要求が高まっていた。

やったこと

工場内ネットワークに対応した集中監視システム(NET100システム)を搭載した射出成形機を導入した。射出成形機の運転・停止時間、段取り時間、成形条件、成形温度などのデータが、設備から離れた場所のパソコンに自動で記録される。既存の全ての射出成形機も同じメーカー製のためネットワークに接続し、集中的に管理できるようにした。数値による検査を加えて品質レベルを向上させ、万一の不良品流出時には蓄積データをトレーサビリティに活用して影響範囲を短時間で特定する。人手による測定ではなく機械的に収集したデータを製品一品ごとの品質保証データとして活用し、将来的にはインターネットに接続して遠隔地での稼働監視も想定している。

加工機集中監視システム搭載射出成形機(NET100システム)
ソフト集中監視システム(NET100システム)

事業の効果

  • 不良返品率 0.024%→0.011%
  • 検査工数 30分→5分
  • 品質保証データ作成工数 10分→8分

集中監視システムにより既存の射出成形機を含めて稼働状況を常時監視できるようになった。従業員も現在の運転状況や過去の記録を確認できるため、品質意識が向上し、モチベーションも上がった。顧客の製品データ保存要請に対応したことで、顧客から品質管理面の評価を得た。不良返品率、検査工数、品質保証データ作成工数もそれぞれ削減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1998年から油圧式射出成形機を電動式へ順次更新してきたとあり、設備投資の継続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    多品種少量の量産品に強みがあり、取引先から高い信頼を得ていると書かれるが、競争優位の根拠となる数値や比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    不良返品率0.024%、検査工数30分など現状の課題が数値で示され、集中監視による改善内容と成果も具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    不良返品率54%減、検査工数83%減、品質保証データ作成工数20%減と目標達成の数値が示され、実績も明記されている。

  • 事業を進める体制2

    設備ごとの担当制や多能工育成、射出成形士資格取得の補助が書かれるが、補助事業の遂行体制の人員構成や事務体制は記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客からのエビデンス保存要請や品質管理面の評価に触れるが、ターゲットや選ばれる理由を整理した記述は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展開として新分野進出や更新計画が述べられるが、スケジュールや課題解決方法の具体的な記載はない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    非住宅向けLED照明やセキュリティ市場の成長に触れるが、同分野での高付加価値化・高価格化の根拠は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    セキュリティ市場やLED採用の拡大に触れるが、川上川下への波及効果や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    工数削減や不良率低減の数値はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の記載はない。

  • イノベーションへの貢献3

    集中監視システムによるネットワーク化やデータ活用は述べられるが、サプライチェーン全体への貢献や新ビジネスモデルは示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    京都市下京区の地域企業であることは分かるが、地域の特性を活かした雇用創出や経済成長への寄与は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在の主力製品に加えて新分野への進出を視野に入れ、450t大型射出成形機や多品種少量生産体制を活かした新たな事業を模索している。また、初期に更新した電動式射出成形機を最新型に更新することも検討しており、生産管理業務DX化や環境負荷低減に対応した設備にする予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。