ものづくり補助金平成28年度製造業京都府

社内データベース活用による一貫製造技術の高度化事業

株式会社衣川シャーリング

成果リードタイム 7日→2日

この事例のポイント

  • 曲げ加工は紙図面を見ながら操作盤へ手入力する方式で、カンコツに頼った職人技で対応している。
  • 既に社内ネットワークに繋がるレーザー切断機を使っていたが、曲げ加工も同じ環境に組み込むため、トルンプ社製のベンディングマシン TruBend5085SX を選定して導入した。
  • リードタイム 7日→2日。曲げ加工を内製化できたことで外注がなくなり、リードタイムを1週間程度から2日に短縮した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社衣川シャーリング
所在地京都府 福知山市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数13人
資本金1億円
設立1990年

事業の背景

鋼材の卸売業から出発し、切断加工、曲げ加工へと事業を広げ、現在は鋼材の調達から一次加工、二次加工までを一貫して行っている。北近畿地区で一貫生産できるのは当社だけであることが強みである。主な取引先は北近畿地区の産業機械等の製造メーカー、福知山市・綾部市の鉄工所、近隣の工務店や自動車整備業などである。近年は住宅リフォーム市場が拡大し、地元工務店から耐震補強金具の受注がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力曲げ加工は紙図面を見ながら操作盤へ手入力する方式で、カンコツに頼った職人技で対応している。
  • 人手・技能曲げ加工を外注することが多く、設備能力の制約からリードタイムが長くなっている。
  • 生産能力数百〜数千個単位の多量注文に対応するため、曲げ加工機械の加工スピードの高速化が必要になっている。
  • 品質・精度曲げ加工の能力的限界と物理的限界を、即座に的確に判断することが難しい。

やったこと

既に社内ネットワークに繋がるレーザー切断機を使っていたが、曲げ加工も同じ環境に組み込むため、トルンプ社製のベンディングマシン TruBend5085SX を選定して導入した。導入機はネットワークに接続でき、年間約3000枚のCADデータを製造工程で活用できるようになった。CADデータから加工条件や金型の選択が自動で行え、加工条件はCADデータ上に記録してデータベース化できる。画面上で曲げシミュレーションができ、干渉箇所を事前に確認できる。安全面では、レーザー式安全装置を搭載し、挟まれを検知できるようにした。

加工機トルンプ社製 TruBend5085SX(ベンディングマシン)

事業の効果

  • リードタイム 7日→2日
  • 加工スピードの向上により加工時間を約20%低減
  • 同一時間内での生産数を約1.3倍にした

曲げ加工を内製化できたことで外注がなくなり、リードタイムを1週間程度から2日に短縮した。CADデータを段取りに活用し段取り時間を大幅に低減した。加工スピードの向上により加工時間を約20%低減し、同一時間内の生産数は約1.3倍になった。作業疲労が減り製品の寸法再現性も向上した。安全装置により経験の少ない作業者でも安全に作業できるようになり、加工条件のデータ化で加工技術を形式知化できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の社内CADデータ活用やレーザー切断機のネットワーク対応という取組の延長線上に曲げ工程の一貫化が位置づけられているが、経営戦略上の明確な位置づけは文章からは十分読めない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    北近畿地区で鋼材製品を一貫生産できるのは当社だけという強みと、多量受注需要への対応が示されるが、市場動向の数値は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    手入力とカンコツ依存、外注によるリードタイム長期化という課題が示され、外注ゼロ・リードタイム1週間から2日への短縮という具体的な対策が書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    リードタイム1週間から2日、加工時間約20%低減、同一時間内の生産数約1.3倍など具体的な数値目標と成果が示されている。

  • 事業を進める体制2

    補助事業の遂行体制として人材や事務処理能力について書かれているのは、工業高校との連携など間接的な内容にとどまる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐震補強金具の多量受注需要や住宅リフォーム市場拡大が示され、顧客ターゲットと選ばれる理由(一貫生産)が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    データ活用の新しい取組を社内で研究することや、高難度製品の受注拡大という方向性は示されるが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    安全装置付きの高性能ベンディングマシンとCADデータ連携により高精度化を図る点は読めるが、分野の普及度に関する記述は少ない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    地域の工業高校への出前授業や地元企業との連携による地域経済活性化への貢献がうかがえるが、波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果4

    約20%の加工時間低減、生産数約1.3倍、外注削減などの効果が数値で示され、費用対効果の一端が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献4

    社内CADデータを製造工程に活用し、図面展開から曲げまでを一貫させるデジタル活用がイノベーションとして具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    IoT技術などデータ活用の新しい取組に触れるが、日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    北近畿地域での高難度・高付加価値製品の受注拡大や地域経済の活性化への貢献が述べられている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

高性能ベンディングマシンとCADデータ活用ネットワークによる技術力をPRし、北近畿地域での高難度・高付加価値製品の受注を拡大する。地元工業高校への出前授業などで人材育成に貢献し、地域経済の活性化にも取り組む。社内ではIoT技術などデータ活用の新しい取組みを研究し、若手社員の意識と現場の対応力を強化したい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。