ものづくり補助金平成28年度製造業高知県

熟練工技術のデータ化による建機部品試作対応の高効率化

四国スッピル工業有限会社

成果工程数 1回→4回

この事例のポイント

  • 受注が増加している建機部品について、短納期の試作対応が求められるが、試作の短納期要求に応える生産体制が十分ではなかった。
  • 立型マシニングセンタMILLAC561VII(オークマ製)1機を導入した。
  • 工程数 1回→4回。試作対応力が強化され、短納期での試作対応が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名四国スッピル工業有限会社
所在地高知県 南国市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数23人
資本金1,000万円
設立1979年

事業の背景

当社は昭和48年の創業以来、大手建機メーカーや産業機械メーカーの部品量産を手掛けており、主力は油圧シリンダーやチャックシリンダーなどの油圧部品である。近年は3本目の柱として建機メーカー向けの土木建機部品が成長している。主要取引先の建機メーカーは海外でも市場を拡大しており、製品をいち早く市場に投入する必要がある。そのため設計段階からモジュール化・部品の共通化による開発スピード向上に努めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力受注が増加している建機部品について、短納期の試作対応が求められるが、試作の短納期要求に応える生産体制が十分ではなかった。
  • 人手・技能特殊工具を使う工程は精度が低く、熟練工が手作業で仕上げを行う必要があり、多大な時間と労力を要していた。
  • 人手・技能特注工具による加工は周速の調整が必要で難易度が高く、熟練工にしか作業ができなかった。
  • コスト・採算特注工具は高価で注文から納品まで時間がかかり、サイズごとに必要になるためコスト高だった。

やったこと

立型マシニングセンタMILLAC561VII(オークマ製)1機を導入した。本機は高剛性で寸法安定性と操縦性が高く、機械学習機能と最新のティーチング機能、加工データ蓄積・プロジェクト化機能を備える。熟練工の特殊工具による加工を単純な4工程に分解し、工程ごとに適切な周速で加工する方式に改めた。市販の超硬合金工具を使い、工具材質をハイスから超硬合金に変えて主軸回転速度を上げることで、約5倍の高速加工を可能にした。加工条件は機械に移転してデータとして共有し、誰でも同じ精度で加工できる体制とした。

加工機立型マシニングセンタ MILLAC561VII(オークマ製)

事業の効果

  • 工程数 1回→4回
  • 加工速度 1倍→5倍

試作対応力が強化され、短納期での試作対応が可能になった。熟練工の加工ノウハウをデータ化して機械に移転し、若手工員でも同じ精度で加工できるようになった。仕上げ面の精度が格段に向上し、特注工具を使う場合と遜色ない全体加工時間を実現した。市販工具により調達期間と購入コストも削減した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    建機メーカーのモジュール化・部品共通化に沿い、規格化や標準化への取組が過去から続いていると読める。ただし経営戦略上の位置付けは具体的な文言では示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外市場拡大の建機メーカーが取引先で、海外では代替できない精度を実現していると記載があり、自社の強みと外部環境の関係が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    試作の短納期対応が課題と明記され、特殊工具を分解して規格化する解決策と、5年後に当該メーカー売上3.2倍という目標が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    5年後に当該メーカーへの売上を3.2倍にする目標が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    若手工員でも加工できる体制を整えると書かれているが、人員計画や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    建機メーカーの試作短納期ニーズ、熟練工不要で同じ精度を出せる点など、選ばれる理由が事例中で整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    規格化とデータ化の方法は説明されているが、スケジュールや中長期の検証内容は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    市販超硬工具で約5倍の高速加工を実現した点は示されるが、分野の普及度や高価格化に関する記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    海外製造移管の懸念が当面ないと述べるが、国が補助する経済波及や雇用創出の理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    特注工具比でコストを抑え調達期間を短縮できると記載されるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    機械学習機能とティーチングで熟練工のノウハウをデータ化・共有する点は示されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    建機部品という成長分野への取組はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    高知県の事業者であることはうかがえるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への記述は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

主要取引先の建機メーカーは国内外に市場を拡大しており、試作対応力の強化を強みに受注拡大を図る。5年後に同メーカーへの売上を3.2倍にする計画である。海外では代替できないものづくりの精度を実現しており、海外への製造移管の懸念は当面ないと考える。今後は異なる業界への進出も視野に入れる。

  • 目標:売上 1倍→3.2倍

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。