ものづくり補助金平成28年度製造業佐賀県

汎用性の高いNC旋盤導入による多能工化と技術承継の推進

株式会社鶴丸鉄工所

この事例のポイント

  • 長年の下請けで少品種多量生産に適した方式をとってきたため、多品種少量生産への移行が必要になり、従来の方式では対応できなくなる可能性があった。
  • 多品種少量生産体制への移行と短納期の実現、若手技術者の多能工化を進めるため、新設備「らくらく名人 CNC普通旋盤 TAC510X1000型 32i-B」を導入・設置した。
  • 設備導入により、部品加工工程の自動化が進み、加工時間が短縮され、加工精度が向上して複雑な加工も可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社鶴丸鉄工所
所在地佐賀県 佐賀市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数8人
資本金1,000万円
設立1958年

事業の背景

昭和33年に創業した当社は、治具・消耗工具などの機械工具を製造している。近年は製造業向け生産設備の製造に力を入れ、佐賀県や福岡県の企業から受注を得ている。事業拡大を目指す製造業向け生産設備の受注は多品種少量で納期が短いケースが大半である一方、長年の下請けによる少品種多量生産の方式では対応が難しくなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力長年の下請けで少品種多量生産に適した方式をとってきたため、多品種少量生産への移行が必要になり、従来の方式では対応できなくなる可能性があった。
  • 人手・技能従業員の高齢化が進み、技術の円滑な承継が大きな課題となっていた。
  • 人手・技能旋盤加工とフライス盤加工で技術者が棲み分けを行ってきたため、多能工化が課題となっていた。
  • 納期・工程段取り換えやNC旋盤のプログラミングに時間を要し、多品種少量生産や短納期への対応が難しかった。
  • コスト・採算生産個数100個の場合、加工時間1時間に対しプログラミングに2時間かかっており、この工程の改善が不可避だった。

やったこと

多品種少量生産体制への移行と短納期の実現、若手技術者の多能工化を進めるため、新設備「らくらく名人 CNC普通旋盤 TAC510X1000型 32i-B」を導入・設置した。本機は操作が簡単で熟練技能を内蔵しており、メーカー主催の研修会に参加して仕様・機能などの基本的な取り扱い方法を習得した。試運転の結果、自動化、加工時間の短縮、加工精度の向上が確認でき、検収した。加工データは「らくらく名人」に蓄積されるため、一度プログラムを作れば同じ形状の部品を繰り返し製作できる。さらに搭載の加工ソフト「らくらくソフト」により、作業従事者の技術や熟練度を問わず部品製作ができ、CADデータをNCデータに変換できるためプログラム作成時間も短縮された。

  • 加工機らくらく名人 CNC普通旋盤 TAC510X1000型 32i-B
  • ソフトらくらくソフト

事業の効果

設備導入により、部品加工工程の自動化が進み、加工時間が短縮され、加工精度が向上して複雑な加工も可能になった。これまで外注していた部品も内製化できるようになった。作業者の技術や熟練度に依存しない部品製作が可能となり、技術承継の道も開けた。また、多品種少量受注への対応力が高まり、当社が課題としていた品質向上や加工時間短縮が実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決生産100個で加工1時間に対しプログラミングに2時間かかる課題を具体的に示し、NC旋盤導入で工程改善につなげており、課題認識と解決策が明確。
  • 4
    これまでの取組との一貫性昭和33年創業の治具・工具メーカーが製造業向け生産設備へ注力してきた経緯を踏まえ、多品種少量生産への移行を計画しており一貫性が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性佐賀・福岡の企業から受注し、取引先要望に柔軟対応してきた強みを活かし、多品種少量・短納期対応を進める点で外部ニーズと経営資源が整合している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    新しさ・高付加価値製造業向け生産設備の多品種少量受注という分野の高付加価値化を述べているが、普及度や高価格化の根拠は薄い。
経営戦略との整合性4.3
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和33年創業の治具・工具メーカーが製造業向け生産設備へ注力してきた経緯を踏まえ、多品種少量生産への移行を計画しており一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    佐賀・福岡の企業から受注し、取引先要望に柔軟対応してきた強みを活かし、多品種少量・短納期対応を進める点で外部ニーズと経営資源が整合している。

  • 課題の認識と解決5

    生産100個で加工1時間に対しプログラミングに2時間かかる課題を具体的に示し、NC旋盤導入で工程改善につなげており、課題認識と解決策が明確。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間短縮や内製化による効果は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    メーカー研修で操作を習得し、試運転で効果を確認して検収した経緯があり、OJTによる多能工化の進め方も示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    取引先要望への対応力、多品種少量・短納期というニーズの裏付け、操作が簡単で熟練技能を内蔵する設備の特長が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    高齢技術者への負荷集中、OJTによる若手の多能工化、雇用延長を含む承継計画が示され、課題と遂行方法は概ね妥当。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    製造業向け生産設備の多品種少量受注という分野の高付加価値化を述べているが、普及度や高価格化の根拠は薄い。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    技術承継や多能工化による雇用継続、地域の製造業向け受注への対応が述べられており、一定の社会的意義がある。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す付加価値額や生産性の数値がなく、加工時間短縮の効果も定量的でないため判断が弱い。

  • イノベーションへの貢献3

    CADデータをNCデータに変換し、加工データを蓄積して誰でも部品製作できる仕組みを導入しており、デジタル活用で工程改善を図っている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    多品種少量・短納期化による生産方式の転換は示されるが、日本経済の構造転換への寄与は直接述べられていない。

  • 地域経済への波及3

    佐賀・福岡の地域企業から受注し地域の製造業を支える事業であり、地域での受注拡大と技術承継の取組が読み取れる。

今後の展望

当社ができることを積極的にPRして受注を増やしていく。社内では人材育成と設備導入およびIT化による効率アップを進め、取引先のニーズへ柔軟に対応できる力を伸ばす。若手従業員の多能工化を進める一方、雇用延長など高齢技術者が活躍できる体制を整備し、労働負荷の平準化と技術継承を進める。機械に興味のある人材や集中して作業できる人材を呼び込み育てることで企業の成長を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。