ものづくり補助金平成24年度奈良県

三次元スキャナーとマシニングセンターによる短納期金型作製システムの開発

クラウン工業株式会社

成果金型原型作製時間 10時間→0.5時間

この事例のポイント

  • 国内のボタン市場には多数の国内外メーカーが参入しており、同業他社との差別化を図ることが急務であった。
  • 高機能三次元スキャナー、CAD/CAM、マシニングセンターを導入し、金型作製の工程を見直した。
  • 金型原型作製時間 10時間→0.5時間。三次元スキャナーとマシニングセンターの導入により、金型原型の作製と切削の時間が大幅に短縮され、金型完成までの期間が約3…

事業者のプロフィール

事業者名クラウン工業株式会社
所在地奈良県 大和高田市
業種繊維工業
技術分野金型
従業員数20人
資本金1,800万円
設立1961年

事業の背景

クラウン工業は1961年設立の婦人向けボタンの製造・販売会社で、自社工場による100%国産のボタンを製造している。国内のボタン市場規模は百億円程度とされ、海外に流出したアパレルパーツ市場はその数倍と考えられている。東南アジア、特に中国では製造コストが急激に高くなり、顧客ニーズは低価格からデザインと短納期へ移りつつあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑国内のボタン市場には多数の国内外メーカーが参入しており、同業他社との差別化を図ることが急務であった。
  • 販路・情報発信海外に流出したアパレルパーツ市場の再獲得を目指したいが、その足がかりが必要であった。
  • コスト・採算東南アジア、特に中国での製造コストが高騰し、中国での製造コストメリットがなくなりつつあった。
  • 納期・工程顧客ニーズが低価格から適正な価格によるデザインと短納期に移りつつあり、より短納期でのサンプル作成と小口受注への対応が求められていた。
  • 生産能力1つの金型作製につき金型原型の削り出しに約10時間、切削に約6時間を要し、完成まで約3日かかっていた。

やったこと

高機能三次元スキャナー、CAD/CAM、マシニングセンターを導入し、金型作製の工程を見直した。導入前は熟練作業者による彫刻的な削り出しや現物の型取り・縮小拡大トレースによる切削機での削り出しを行っていたが、三次元スキャナーで現物をスキャニングし、CAD/CAMで高精度データを作成する方式に変えた。スキャニング作業は約30分で済み、マシニングセンターにより金型の切削時間を約1時間まで圧縮できた。マシニングセンターの多軸切削工具自動交換機能により、手動での刃の交換作業を省略した。

検査測定高機能三次元スキャナー
ソフトCAD/CAM
加工機マシニングセンター

事業の効果

  • 金型原型作製時間 10時間→0.5時間
  • 金型切削時間 6時間→1時間
  • 金型完成までの期間 3日→1日

三次元スキャナーとマシニングセンターの導入により、金型原型の作製と切削の時間が大幅に短縮され、金型完成までの期間が約3日から約1日になった。マシニングセンターの自動工具交換により手動交換作業が省かれ、低コスト化も実現した。これにより高精度・低コスト・短納期・小ロットでの対応が可能になった。サンプル作成の納期が短くなったことで、デザイナーの意に沿うデザインを提案するまでにトライ&エラーを重ねる余裕ができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のデザイン開発力とボタン製造を活かす方向性は読めるが、過去の取組との連続性を明示する記述は限られる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国の製造コスト高騰や国内外の参入増を挙げ、デザイン力と短納期対応で差別化する方針が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    金型作成が約3日から約1日に短縮された数字と、デザイン提案力の再活性化という課題認識が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間約2,000万円から5年目に1億円という目標が示されるが、付加価値や賃上げの算出根拠は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員20名の体制は記載があるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力への言及はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客ニーズが低価格から適正価格のデザインと短納期へ移ったと整理され、小口受注対応の理由が明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    三次元スキャナー、CAD/CAM、マシニングセンター導入の順序と、導入前後の作業時間が具体的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ボタン市場には多数の参入があるとされ、高付加価値化の方向は示されるが、分野の認知度や高水準の価格帯への言及は薄い。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    海外に流出したアパレルパーツ市場の再獲得という国内の産業的意義は述べられるが、雇用創出や波及効果の数値は示されない。

  • 費用対効果4

    金型作成時間が約10時間から約30分、切削が約6時間から約1時間と、投資効果が時間で具体的に示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    三次元スキャナーとCAD/CAMによるデジタル化は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献までは書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    海外流出した市場の再獲得は述べられるが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    奈良県大和高田市の自社工場で100%国産製造する点は読み取れるが、地域経済への波及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後の金型量産に向けて大きな手応えを得た。顧客からの別注デザインの生産は、現状年間約2,000万円から5年目に1億円を目標とし、顧客のニーズに対応できる企画開発製造の一環システムを構築する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。