ものづくり補助金平成24年度奈良県

高周波ウエルダーを用いた新しいエンボス加工方法の導入

クツワ工業株式会社

この事例のポイント

  • 従来からある凹ませるエンボスはメインデザインとしては弱く、他社との差別化ができなかった。
  • 遊休機械と手持ちの樹脂型でテストを重ね、型職人に相談して助言を受け、治具と加工条件を見つけた。
  • 当初数千本の受注でスタートした「ラメぷっくり筆入」はすぐにリピート受注が決まり、翌年には大手量販店のOEMに採用されてヒット商品になった。

事業者のプロフィール

事業者名クツワ工業株式会社
所在地奈良県 生駒市
業種その他の製造業
技術分野金型
従業員数32人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

ランドセル(人工皮革)のカラー展開が進み、同じ素材を使う無地のマグネット式筆入もカラー化して増産となった。その後ランドセルは刺繍やラインストーンを使った高級志向へ変化し、安価なプリントによる平坦なデザインより入学時に思い出に残る商品が求められるようになった。当社はキャラクターに頼らない方針のもと、この流れに沿う新しい模様付けの技法の開発に取り組んだ。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術従来からある凹ませるエンボスはメインデザインとしては弱く、他社との差別化ができなかった。
  • 新製品・新技術生地メーカーによるエンボスは工法の制約から繰り返し柄しかできず、型代も高価だった。
  • コスト・採算ランドセルの飾り手法をそのまま採用すると外注率が上がり、納期・品質・コストの面で難しかった。

やったこと

遊休機械と手持ちの樹脂型でテストを重ね、型職人に相談して助言を受け、治具と加工条件を見つけた。試作の中で1工程でラミネートとぷっくり膨らませる加工が見つかり、さまざまな素材で試した。加工法が見つかった後は安価な型の作製法が課題となり、試作中に適正な素材を見つけて素材メーカーの協力を得て特許を取得した。この独自エンボス技術を用いた「ラメぷっくり筆入」を開発した。

加工機高周波ウェルダー

新しい製品・サービス:ラメぷっくり筆入(独自のぷっくりエンボス加工を用いた筆入)

事業の効果

当初数千本の受注でスタートした「ラメぷっくり筆入」はすぐにリピート受注が決まり、翌年には大手量販店のOEMに採用されてヒット商品になった。他社から類似商品が出ても独自の製造方法と優れたデザイン力により市場シェアを独占した。3年間で筆入全体の受注数は1.67倍になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来のエンボス加工を進化させた独自技術で、マグネット式筆入の一貫生産という既存事業との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ランドセルの高級志向という市場動向と、キャラクターに頼らない方針、社内技術による高付加価値化が示され、競争優位の根拠が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    外注率上昇による納期・品質・コストの課題を認識し、社内技術で高付加価値化する方針が示されているが、財務効果の数値までは書かれていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化の目標は示されるが、具体的な数値目標や賃上げ目標は書かれておらず、実現可能性を判断しにくい。

  • 事業を進める体制3

    型職人の協力や要員配置の計画はあるが、人材確保や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ハートやリボン柄をぷっくり膨らませる製品価値と、大手量販店のOEM採用、受注数1.67倍という裏付けが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    2018年新入学用に向けた型製作要員配置、量産実現、デザイン体制整備の時系列スケジュールが明示され、課題解決の方法も示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    何処にもないぷっくり膨らむエンボスとして独自特許を取得し、類似品が出る中でも市場シェアを独占したと書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国内唯一の学童用筆入一貫生産工場という点はうかがえるが、雇用創出や波及効果の記述は薄い。

  • 費用対効果3

    3年間で受注数1.67倍という成果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    独自の加工技術と特許による新しい製造方法は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的ではない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    奈良県生駒市に所在し、ふるさと納税返礼品に採用された点はうかがえるが、地域の経済成長への牽引は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2018年の新入学用に向けて高精細エンボス加工の型製作を安定的に行える要員を配置し、量産を実現して一部のデザイン開発体制を整える。2017年度はOEMで文具以外の業界へのエンボス生地販売を増やす。今後は大人向け商品(財布、ポーチ、ペンケース等)の展開や、生地メーカー・生地商社を通じたレザー生地の後加工業(エンボス加工業)への参入も計画している。

  • 目標:筆入全体の受注数 1倍→1.67倍

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。