高出力レーザー溶接機の導入によるハイジュエリーの生産性向上

山梨県の製造業(ハイジュエリー)の会社が、ものづくり補助金で高出力レーザー溶接機を導入し、溶接の作業効率と生産性を高めた採択事例です。

株式会社太滝

成果溶接作業の時間短縮は目標▲50%に対して実績▲58.4%

この事例のポイント

  • 以前のレーザー溶接機は出力不足で、リングの切断面の中心まで光が届かず、生産性が低かった。
  • 国内有力メーカー3社の製品からいくつか候補を検討し、既にレーザーマーカーを導入していて信用・信頼性の実績があったメーカーのレーザー溶接機「Desktop7004」に決定しました。
  • 溶接作業の時間短縮は目標▲50%に対して実績▲58.4%。溶接作業の時間短縮は目標▲50%に対して実績▲58.4%、待ち時間の短縮は目標▲50%に対して実績▲89.1%となり、…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社太滝
所在地山梨県 甲府市
業種その他の製造業
技術分野精密加工
従業員数13人
資本金100万円
設立2015年

事業の背景

甲府市でジュエリーの製造や加工などを行う株式会社太滝は、2015年に創業した比較的新しい会社である。取引先から品質の高さが評価され、コロナ禍でも安定した経営基盤を構築している。

小売店や修理店からサイズ直しを中心としたジュエリーリフォームの依頼が増加し、売り上げの約2割を占めている。国内宝飾品小売市場規模は1兆円近く、ブライダルジュエリーとハイエンドジュエリーを合わせた市場規模はジュエリー全体の20%と想定されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力以前のレーザー溶接機は出力不足で、リングの切断面の中心まで光が届かず、生産性が低かった。
  • 人手・技能切断面をあらかじめ斜めに削る工程が必要で、その工程が大きな負担となっていた。
  • 品質・精度既存の機械は溶接面が波紋状になるなど加工品質が低かった。
  • 生産能力4人の職人が1台のレーザー溶接機を使用していたため、作業の待ち時間が長く、生産性低下の原因となっていた。

やったこと

国内有力メーカー3社の製品からいくつか候補を検討し、既にレーザーマーカーを導入していて信用・信頼性の実績があったメーカーのレーザー溶接機「Desktop7004」に決定しました。同機は作業机の上に置いて使用でき、メモリー機能により出力や表面仕上げなどの設定を記憶できるため、作業効率の改善やミス防止につながります。

高出力の同機を導入したことで、リングの切断面の中心までレーザーが届くようになり、削り工程は不要となりました。また、溶接面が平面の円になることで溶接する面積が減少し、大幅に作業効率が向上しました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 溶接作業の時間短縮は目標▲50%に対して実績▲58.4%
  • 待ち時間の短縮は目標▲50%に対して実績▲89.1%

溶接作業の時間短縮は目標▲50%に対して実績▲58.4%、待ち時間の短縮は目標▲50%に対して実績▲89.1%となり、いずれも計画時の目標値より良好な結果が得られました。削り工程が不要になり、作業効率と生産性が向上しました。

利益率の高い小売店・修理店に生産性向上分を振り向けることで利益率向上を目指しています。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 5

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標溶接時間短縮は目標▲50%に対し実績▲58.4%、待ち時間は目標▲50%に対し実績▲89.1%と、計画値を大きく上回っている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ハイエンド市場は全体の20%と想定され、既存取引先からの品質評価を強みとして、リフォーム需要に応える優位性が示されている。
  • 4
    課題の認識と解決出力不足による削り工程の負担を課題と認識し、導入後に作業時間を目標▲50%に対し実績▲58.4%と短縮した実効性がある。

もう一歩だった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献高出力レーザー溶接機の導入は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の品質重視の取り組みや独自の溶接加工法を継続してきたことが書かれ、ハイエンド・リフォーム事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ハイエンド市場は全体の20%と想定され、既存取引先からの品質評価を強みとして、リフォーム需要に応える優位性が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    出力不足による削り工程の負担を課題と認識し、導入後に作業時間を目標▲50%に対し実績▲58.4%と短縮した実効性がある。

事業の実現可能性3.6
  • 付加価値・賃上げの目標5

    溶接時間短縮は目標▲50%に対し実績▲58.4%、待ち時間は目標▲50%に対し実績▲89.1%と、計画値を大きく上回っている。

  • 事業を進める体制3

    職人が従業員として在籍し、既存の職人が機械を使っている体制が示されているが、事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    品質の高さで取引先から評価され、ブライダルやハイエンドの短納期・高品質ニーズに応えていることが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    生産性向上分を利益率の高い小売店・修理店へ振り向ける方針と、OEMから自社商品開発・中国進出を検討する方向が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ハイエンドジュエリーの製造に特化し、一般的な普及品と異なる高水準の高付加価値化を図っている点が読み取れる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    若い世代の雇用創出や職人の労働環境改善に取り組み、若者が次々入社している点が地域の雇用面で国が補助する理由になる。

  • 費用対効果3

    作業時間短縮と待ち時間の削減により生産性が上がり、利益率の高い分野へ振り向ける計画があり、費用対効果の筋道がある。

  • イノベーションへの貢献2

    高出力レーザー溶接機の導入は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    宝飾業界の職人の労働環境改善に触れるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出は明確に書かれていない。

  • 地域経済への波及4

    山梨の地場産業である宝飾業で職人を育成し、県外出身者が多い状況の中で地域の雇用と技術を支えている点が強い。

今後の展望

利益率の高い自社商品の開発も視野に入れ、将来的にはOEMだけでなく自社商品の開発を進めます。より大きな市場を目指し、中国への進出も検討しています。

事業者の声

非常に満足しています。待ち時間も作業効率も向上し、現場の職人たちは『やっぱり新型の機械はいいね』と喜んでいます。

満足する品質の製品ができたとき。

特にハイエンドジュエリーの製造には、日本の職人たちが高い技術力を発揮し、使い心地を追求する『本来のものづくり』が生きている。当社もそこを目指していきたい。

公式の事例集より(原文のまま)

同じ設備を入れた採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。