ものづくり補助金平成29年度建設業岐阜県

新規格解体式掘削機械の開発とその優位性を活かした差別化検証

中部電気工業株式会社

成果ユニット数 10ユニット→7ユニット

この事例のポイント

  • 送電線新設工事の減少により、長年培った経験やノウハウが埋没し、人材・技術が不足している。
  • 国内初となる機体重量5トンクラスの解体式掘削機械を開発した。
  • ユニット数 10ユニット→7ユニット。完成した開発機は機体重量5.573トンで重量目標を達成し、従来の10ユニットを7ユニットまで削減した。

事業者のプロフィール

事業者名中部電気工業株式会社
所在地岐阜県 岐阜市
業種設備工事業
従業員数20人
資本金2,000万円
設立1948年

事業の背景

当社は創業から中部電力の発変電設備と送電設備の保守工事を柱としてきたが、2005年から送電線工事建設を中核とする事業変革を行った。高度経済成長期後は送電線の新設工事が大幅に減少し、建機メーカーも専用建機から撤退した。送電線工事業界では、高度成長期に建設された設備の改修・更新工事の増加が見込まれる一方、働き手の高齢化による人材不足と技術継承が課題となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能送電線新設工事の減少により、長年培った経験やノウハウが埋没し、人材・技術が不足している。
  • 生産能力建機メーカーが専用建機から撤退し、新規の解体式掘削機を購入することが困難になった一方、既存建機は老朽化で使用の限界に近づいている。
  • 新製品・新技術山岳地など建機の使用に制限がある狭所での改修・更新工事が増える見込みのため、コンパクトで現地での組立・解体が可能な掘削機が必要になった。

やったこと

国内初となる機体重量5トンクラスの解体式掘削機械を開発した。地雷除去建機の開発実績がある建機製造メーカーの協力を得て、ユニット数を極力少なくし、モノレールやヘリコプターで搬入できるよう各ユニットを2トン以下にすることを目指した。組立時に不具合の発生率が高いエンジンとコンピュータ部分を一体型にし、配管も接続作業が容易な場所に配置して油漏れを防いだ。開発後は組立・解体時間や作業量、安全性を検証し、最大掘削深さやアームスイングなど機能面も確認した。さらにエクステンションアームと専用バケットも同時に開発した。

その他分解型ミニ油圧ショベル ZX50U-5B
その他エクステンションアーム
その他専用バケット

新しい製品・サービス:国内初の機体重量5トンクラス解体式掘削機械

事業の効果

  • ユニット数 10ユニット→7ユニット

完成した開発機は機体重量5.573トンで重量目標を達成し、従来の10ユニットを7ユニットまで削減した。解体時間は2時間2分45秒で目標の4時間以下をクリアし、組立・解体作業の省力化も実現した。機能面では最大掘削深さ4530mmを達成し、組立完了後は機体本体を旋回させずにアーム部だけをスイングさせることができるようになった。機体の小型化による掘削能力の低下はエクステンションアームと専用バケットで補っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業からの送電工事事業と2005年の事業変革を踏まえ、解体式掘削機の開発が位置付けられている。戦略上の明確な位置付けは読み取れるが具体性は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    送電線新設工事の減少、建機メーカー撤退、山岳地など狭所での工事増加が挙げられ、外部環境の認識はある。ただし競争優位の数値的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    既存建機の老朽化と人材不足を課題とし、組立・解体時間2時間2分45秒、1時間16人から解体4.09人などの数値で解決策を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    解体時間2時間2分45秒を目標4時間以下に対し達成、作業人員16人から大幅削減と数値で示される。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    地雷除去建機の開発実績がある建機メーカーの協力を得たと書かれ、外部連携は読み取れるが、社内の人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ヘリコプター搬入可能な2トン以下を目指し、組立・解体の容易さや地域建設会社・自然災害時の孤立地域での活用可能性を挙げ、ターゲットと選ばれる理由が示される。

  • 事業化までの道筋3

    開発後に組立・解体時間や安全性を検証し、今後は同業他社への水平展開や情報発信を進めるとあるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内初の機体重量5トンクラス解体式掘削機械と明記され、ユニット数を7に削減して従来の10から改善した高水準の新規性がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    送電線の改修・更新増加や自然災害時の孤立地域での活用可能性に触れ、電力の安定供給や業界活性化を掲げるが、波及効果の定量は示されていない。

  • 費用対効果2

    作業人員の削減や時間短縮は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    電気系統とコンピュータ部分を一体化した開発と書かれるが、デジタル技術の活用や業界全体のイノベーションへの言及は限定的である。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    送電線工事業界の人材不足と老朽化対応に触れるが、日本経済の構造転換や成長分野への進出は直接的に書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    岐阜市の企業として地域の建設会社へのPRや自然災害時の孤立地域での活用に触れ、地域性はうかがえるが、地域経済成長への寄与は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

同機を同業他社に水平展開するとともに、組立・解体が容易な点を活かして地域の建設会社にPRしていく。自然災害時に土砂崩れ等で孤立した地域でも活躍できる可能性があり、活用の場を広げるために情報発信による認知度向上に努める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。