ものづくり補助金平成29年度卸売業、小売業静岡県

専業農家の廃棄野菜を活用した加工品生産事業の展開

株式会社丸憲

この事例のポイント

  • 市場価格の影響を受けにくい高付加価値な加工食品を開発して販売する必要があった。
  • 同社の倉庫の一部を加工場として整備し、生産者が集荷時に同時に集めた規格外品や廃棄部位を、生産者の手で加工してもらう体制を作った。
  • これまで廃棄していた規格外品や廃棄部位を加工食品として市場化する目途がつき、生産者の所得向上に寄与する見通しが立った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社丸憲
所在地静岡県 浜松市
業種飲食料品卸売業
資本金1億円
設立1970年

事業の背景

同社は1970年に創業し、静岡県西部や愛知県東部を中心に全国の生産者から生鮮野菜や果物を直接集荷して、中央卸売市場や仲卸、大型スーパー等に販売する農産物卸売業者である。「適地適作」「適材適所」を経営理念に掲げ、大規模専業農家と直接契約し、各地の大型冷蔵倉庫で保管することで安定供給を強みとしている。近年は異常気象が続き相場の乱高下が激しいため、経営を安定させる必要があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術市場価格の影響を受けにくい高付加価値な加工食品を開発して販売する必要があった。
  • その他生産者の規格外品や廃棄部位が廃棄されており、生産者の所得に結びつけたいという要望があった。

やったこと

同社の倉庫の一部を加工場として整備し、生産者が集荷時に同時に集めた規格外品や廃棄部位を、生産者の手で加工してもらう体制を作った。導入した鮮度維持装置、重量選別機、金属検出器などの設備を用いた。生産者から入手した廃棄処分用のカット大根を一定温度で屋内乾燥し、切り干し大根への加工実験を行った。試作と実験を繰り返し、従来の切り干し大根と同様の外観と品質を保ちながら、新たな手法で高付加価値の加工品を完成させた。完成品は直売所や既存の販路を通じて全国に販売し、地域の飲食店や惣菜店には業務用としての取り扱いを促す。

その他鮮度維持装置
加工機重量選別機
検査測定金属検出器

新しい製品・サービス:規格外・廃棄部位のカット大根を原料とした切干大根

事業の効果

これまで廃棄していた規格外品や廃棄部位を加工食品として市場化する目途がつき、生産者の所得向上に寄与する見通しが立った。農家と連携することでトレーサビリティや衛生面の安心安全を保証した加工品として販売でき、競合他社との差別化が図られる。従来にない効率的で付加価値のある新たな事業の柱となることが見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    農産物卸売業として集荷・販売してきた既存事業の延長で加工品事業を始めたと読めるが、経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大規模専業農家との直接契約や大型冷蔵倉庫による安定供給体制を強みとし、市場価格の影響を受けにくい加工食品を開発する理由が示されている。

  • 課題の認識と解決3

    異常気象による相場乱高下という課題と、高付加価値加工品で収益策を得る方向性は読めるが、数値を伴う計画は示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    生産者と連携して加工を行う体制や、試作・実験を繰り返した経緯は読めるが、人材や事務処理体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    同一生産者の安心安全な規格外品を再利用し、従来品と同等の外観・品質の切干大根を開発した点などから、価値と選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    鮮度維持装置や重量選別機など導入設備と試作の流れは書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    切干大根を規格外・廃棄部位から作る点で差別化が示されるが、分野の普及度や高価格化の数値は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    生産者の所得向上や食品廃棄ロスの解決という波及効果が示されるが、雇用や地域への効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数字はなく、所得向上の見通しがうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献2

    トレーサビリティの確保や生産者との連携が挙げられているが、先端的なデジタル技術の活用は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    廃棄ロス削減や新たな事業の柱という方向性はうかがえるが、産業構造の転換に資するとの記述は薄い。

  • 地域経済への波及3

    浜松の農家と連携した地域の規格外品を活用する点は地域性として読めるが、地域経済成長への寄与は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も取り扱う生鮮野菜の加工試作を進めて商品ラインナップを増やし、新たな収益策を見出すとともに、パートナーの生産者の所得向上と食品廃棄ロス削減などの環境問題の解決を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。