ものづくり補助金平成29年度製造業静岡県

耐食性の高いステンレスにおける極小径穿孔の品質安定化と技術確立

成果不良発生率を半減させた

この事例のポイント

  • 極小径穿孔の加工では、ドリルの剛性が下がるため送り量を下げる必要があるが、送り量を下げると切り屑の発生が増えてドリルが破損するという矛盾を抱えていた。
  • 新たな工作機械を導入し、ドリルや送り速度の微調整に費やしていた時間の短縮と、作業者の技量に左右されない安定した精度の実現を目指した。
  • 不良発生率を半減させた。新設備の導入によりドリルの回転数と送り量の矛盾が解決し、作業者の技量に左右される微調整が不要になった。

事業者のプロフィール

所在地静岡県 牧之原市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
設立1973年

事業の背景

飯塚製作所は牧之原市に事業所を構え、主にNC旋盤を使って小型金属部品を加工している。ステンレスの加工を得意とし、受注品目の全てが液体クロマトグラフ用カラム部品およびその継手である。現在、カラムの穴径は1φと0.5φが主流で、0.5φまでの穿孔は多くの加工業者ができるが、同社が手がける0.25φの穿孔は非常に難しく、加工できる業者は極めて少ない。この技術を確立すれば他業者との差別化が可能になるため、懇意にしているメーカーの推薦もあり取り組んだ。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度極小径穿孔の加工では、ドリルの剛性が下がるため送り量を下げる必要があるが、送り量を下げると切り屑の発生が増えてドリルが破損するという矛盾を抱えていた。
  • 人手・技能ドリルの回転数と送り速度の微調整には作業者の技量が求められ、加工に多くの時間を要していた。
  • 生産能力作業者が加工中は機械を離れられず、他工程との並行作業が難しく、この工程が全体の作業効率を制約するボトルネックになっていた。
  • 品質・精度完成品ごとに加工品質に誤差が生じていた。

やったこと

新たな工作機械を導入し、ドリルや送り速度の微調整に費やしていた時間の短縮と、作業者の技量に左右されない安定した精度の実現を目指した。導入した新型機械により、ドリルの回転数と送り量の矛盾が解決した。これにより作業者による微調整が不要になり、品質が向上して不良発生率を半減させた。小径穿孔加工の技術的問題点と効率性が安定し、ボトルネックが解消された。

加工機新型の工作機械(複数工程を集約できる機械は導入を検討中)

事業の効果

  • 不良発生率を半減させた

新設備の導入によりドリルの回転数と送り量の矛盾が解決し、作業者の技量に左右される微調整が不要になった。これにより品質が向上し、不良発生率を半減させることに成功した。小径穿孔加工の技術的問題点と効率性が安定し、ボトルネックが解消された。今後は0.16φの加工に挑戦していく。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来から小型金属・ステンレス部品加工を手がけ、取引先の推薦もあったとあり、技術の延長に事業を位置付けている。ただし経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    0.25φの穿孔は加工業者が極めて少なく差別化できると書かれ、強みは読み取れる。市場規模や顧客動向の記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    ドリル送り量と回転数の矛盾、微調整に時間がかかる課題を明示し、新設備で不良発生率を半減させたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    不良発生率を半減させたとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、数値目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    代表者の熱意や作業者の技量への言及はあるが、体制や人材、事務処理能力を確保した記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    液体クロマトグラフ用カラム部品と継手が受注の全てで、0.25φ穿孔の難度が差別化理由と書かれている。ただし顧客ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    課題と解決方法(新設備導入、微調整時間の短縮)は示されるが、スケジュールや中長期の検証内容は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    0.25φ穿孔は加工業者が極めて少ないとあり、同分野で高水準の加工を図る取組と読み取れる。普及度の数値までは示されていない。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    液体クロマトグラフが新薬開発や品質管理に用いられると書かれるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    不良発生率を半減させたとあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    牧之原市に事業所を構えることは書かれるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用拡大の記述は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

0.16φの微細加工への挑戦を続けるとともに、複数の工程を集約できる新たな機械の導入も検討している。

事業者の声

これからは新たな試作品の製作や、未だに行ったことがない、0.25φよりもさらに小さな0.16φの加工に挑戦していきたい。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。