ものづくり補助金平成29年度製造業滋賀県

低融点ポリオレフィン成分を含む合成繊維製包装材の開発

株式会社ツジトミ

この事例のポイント

  • 不織布は薄くて柔らかいため、既存のスリット加工でシワが発生し、製造ロスが生じていた。
  • 補助事業期間は平成30年8月から12月までで、ロールスリッター(輪切り型スリッター)の技術導入と立ち上げを行った。
  • スリット工程のプロセス時間は目標の5分の1にできた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ツジトミ
所在地滋賀県 東近江市
業種繊維工業
技術分野機械制御,機械制御,精密加工,精密加工
従業員数80人
資本金4,500万円
設立1925年

事業の背景

当社は不織布原反の製造・販売を主な事業としており、大手や海外メーカーが検討しにくい中ロット・多品種・短納期の生産と供給に強みを持つ。その強みを活かして贈答用の包装材を新規事業として展開しようとしている。不織布は織布や編布に比べて生産コストが安く、原材料を選ぶことで印刷適性や耐水性、融着性を持たせることもできる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度不織布は薄くて柔らかいため、既存のスリット加工でシワが発生し、製造ロスが生じていた。
  • 生産能力シワを防ぐためにテンションを手作業で少しずつ調整する必要があり、作業速度が遅くなっていた。
  • コスト・採算シワを完全には無くせず大きな歩留まりロスが生じており、コスト要求の厳しい包装材業界への参入の障害になっていた。

やったこと

補助事業期間は平成30年8月から12月までで、ロールスリッター(輪切り型スリッター)の技術導入と立ち上げを行った。開反工程がないため理論上は折れジワが発生しない方式である。低融点ポリオレフィン繊維を含む原材料では刃と裁断面の摩擦熱による融着が懸念されたため、回転数と刃の押し切る速度を検討して最適化した。刃はSKS-2の片刃を採用し、シリコン系油剤を使用した。刃の冷却にはボルテックスクーラーを導入し、不織布製造ラインを調整して品質に影響しないレベルの緩い巻きを実現した。目標はスリット工程のプロセス時間を5分の1にすること、折れジワ不良を0にすることとした。

加工機ロールスリッター(輪切り型スリッター)
その他ボルテックスクーラー

新しい製品・サービス:ポリオレフィン繊維を用いた極薄の不織布製贈答用包装材

事業の効果

スリット工程のプロセス時間は目標の5分の1にできた。ロールスリッターの導入により布の折れジワの発生が0になり、歩留まりロスを減らせた。これらにより製品コストを大幅に削減でき、包装材事業の推進に大きく貢献した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の不織布事業と強みを活かし、贈答用包装材への新規展開を目指すと書かれているが、経営戦略上の位置づけの詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中ロット・多品種・短納期に強みがあり、大手が検討しにくい領域で、極薄不織布の印刷適性を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    スリット時のシワ不良と製造ロスが課題と明示され、ロールスリッター導入による解決策が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    スリット工程のプロセス時間を5分の1にする目標を設定し、成果として5分の1を達成したと書かれている。賃上げ目標はない。

  • 事業を進める体制2

    補助事業期間や担当者(専務取締役)の記載はあるが、人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    従来品より印刷適性が優れ細かな柄を表現できる点、贈答用包装材という顧客ターゲットが明確に述べられている。

  • 事業化までの道筋3

    実施期間は平成30年8月から12月と書かれ、技術課題と対策を表1で整理しているが、中長期の検証は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来のエンボス型PP不織布より印刷適性が高い極薄の特殊不織布で、高付加価値化を図る製品と説明されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    包装材業界への参入や製品コスト削減が述べられるが、川上・川下への波及や雇用創出などの国の補助理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    歩留まりロス低減と製品コストの大幅削減が述べられているが、補助金額に対する数値の費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    包装材業界への新分野進出が述べられるが、日本経済の構造転換に資する具体的な記述は薄い。

  • 地域経済への波及2

    滋賀県東近江市の立地は示されるが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内のギフト市場は膨大で、特殊な不織布製包装材が参入する余地は十分にあると考えている。市場の主流であるエンボス型ポリプロピレン製不織布に比べ、当社開発品は細かな柄まで表現でき印刷適性で優れるため、この強みを営業に生かす。今後は不織布の提供に加え、プリントや製袋加工を付加した包装材の生産・販売にも進出したいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。