ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

大型バランシングマシンの部品加工の短納期・低コスト化推進事業

株式会社山口精機製作所

この事例のポイント

  • 1,000mm以下の部品を加工する場合、5,000mm以下の大型部品を加工する既存設備で対応しており、効率的な加工が困難だった。
  • 大型バランシングマシン用の部品を効率よく加工するため、1,030mmの加工スペースを持つ立形マシニングセンタ(VM53R)を導入した。
  • 大型バランシングマシン部品の加工体制が整い、製造原価の低減と加工時間の短縮が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社山口精機製作所
所在地京都府 亀岡市
業種業務用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数27人
資本金4.3億円
設立1976年

事業の背景

当社は1976年の創業以来、京都で機械器具製造業に従事し、お取引先ブランドの小型バランシングマシンの国内マーケットシェアは約3割を占めている。主な製品はバランシングマシンで、自動車・家電・工作機械の回転体の開発・製造に利用されている。自動車のEV化の流れから、製造工程に組み込める自動機(大型バランシングマシン)の需要が増えつつあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力1,000mm以下の部品を加工する場合、5,000mm以下の大型部品を加工する既存設備で対応しており、効率的な加工が困難だった。
  • 人手・技能経験値の高い技術者が限られており、今後も加速する人手不足を考えると、若手技術者も独力で一定レベルの作業をできるようにする必要があった。

やったこと

大型バランシングマシン用の部品を効率よく加工するため、1,030mmの加工スペースを持つ立形マシニングセンタ(VM53R)を導入した。新設備を最大限活用するため、ベテラン技術者の持つ加工作業を構想レベルから細分化してデータ化・マニュアル化した。多彩な切削工具の絞り込みと固定治具の整理を行い、加工に関わる全工具のデータ化も実施した。形式知化した情報を社内で共有し、基礎訓練を繰り返すことで、若手技術者が熟練技術者の入力した加工データを基にプログラムを呼び出し、出荷基準を満たす部品を独力で加工できるようになった。

加工機立形マシニングセンタ(VM53R)

新しい製品・サービス:国産不織布マスク「しあわせと笑顔を包むマスク」およびマスク製造装置

事業の効果

大型バランシングマシン部品の加工体制が整い、製造原価の低減と加工時間の短縮が実現した。熟練技術者のノウハウが若手技術者へ継承され、独力で出荷基準を満たす部品を加工できるようになった。需要が高まる大型バランシングマシンを効率的に製造できる体制を構築できた。今回の取組を通じて社員全体に新たな仕事へ主体的に取り組む姿勢が生まれた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    1976年創業以来のバランシングマシン製造を基盤とし、5年後売上高5億円の目標を掲げている点が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    小型バランシングマシンの国内シェア約3割と、近畿圏の提携企業ネットワークという強みを踏まえ、EV化で伸びる大型自動機需要を狙う構成が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    大型部品の加工設備不足と若手技術者の技量不足という2つの課題を特定し、立形MC導入とデータ化で解決する計画が読み取れる。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    5年後売上高5億円という数値目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性は判断しにくい。

  • 事業を進める体制4

    従業員27人、数十年勤務の技術者、若手への知見継承と社内体制の再構築が書かれ、遂行体制は具体的に読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車メーカー向け大型バランシングマシンの需要増と、高品質で効率的な一貫生産が評価されている点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    導入後の社内体制構築や今後の新分野挑戦は書かれているが、遂行スケジュールや期限は具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金43,000千円のみ記載があり、資金調達や金融機関との関係、財務状況の見通しは公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    小型バランシングマシンの約3割のシェアや、大型自動機という高付加価値品の位置づけはうかがえるが、高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    マスク製造装置の開発と地元マスコットを使った販売が書かれるが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は明確に読み取れない。

  • 費用対効果3

    製造原価の低減と加工時間の短縮が実現したと書かれるが、補助金額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    生産管理システムYPSの活用や工具のデータ化、マニュアル化が書かれるが、先端的なデジタル技術の活用とまでは言えない。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    EV化の流れで自動機の需要が増えつつあるという市場変化を踏まえ、大型バランシングマシンへ進出する方向が読み取れる。

  • 地域経済への波及3

    京都府亀岡市の本社工場を拠点とし、地元の観光キャラクターを使ったマスク販売を続けるなど、地域との結びつきがうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

5年後の売上高5億円を目指し、大型バランシングマシンを効率的に製造する体制を活かして事業を広げる。新たな取組として、既存取引先との新分野での連携や自社オリジナル製品の開発にも挑戦していく。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。