ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

光学3Dスキャナ導入による品質保証体制の革新と高付加価値製品受注獲得

株式会社シオノ鋳工

成果導入装置によって0.01mmの精度で計測できるようになった

この事例のポイント

  • 職人の熟練手作業や肉体労働に頼る部分が多く、個人の経験や体力に依存した生産になっていた。
  • 光学式の3次元デジタイザ「ATOSシステム」を導入し、インペラなどの製品を計測・評価できる体制を整えた。
  • 導入装置によって0.01mmの精度で計測できるようになった。計測と評価を迅速化し、顧客に対して品質を保証する体制が構築できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社シオノ鋳工
所在地京都府 与謝野町
業種鉄鋼業
技術分野測定計測,測定計測
従業員数24人
資本金1億円
設立1971年

事業の背景

当社は1830年(天保元年)から与謝野町で鋳造業を承継し、鍋や釜から精度を必要とする産業機械部品へと製品を変えてきた。主要製品はポンプ部品、工作機部品、繊維機械部品、建設機械部品などである。世界的に新興国を中心に人口が増え、水と電気のインフラに欠かせないポンプの需要が伸びると見込まれている。特に海水淡水化プラント向けのポンプ用インペラは多品種小ロットで希少価値が高く、競合メーカーが少ない市場である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力職人の熟練手作業や肉体労働に頼る部分が多く、個人の経験や体力に依存した生産になっていた。
  • 品質・精度インペラ部品は曲率半径が複雑で、高い精度要求に対応するための寸法計測に多くの工数がかかっていた。
  • 人手・技能高難度の製品を計測・評価・保証する体制が十分に整っていなかった。

やったこと

光学式の3次元デジタイザ「ATOSシステム」を導入し、インペラなどの製品を計測・評価できる体制を整えた。導入装置によって対象物の大きさや素材に制限がなく、0.01mmの精度で計測できるようになった。距離測定に加えて平面度、真円度、平行度などの幾何公差の評価も可能になり、評価方法はカラーマッピングで行う。計測データから3DCADデータへ変換し、開発設計や型形状の保管に代えたリバースエンジニアリングに応用する。生産体制を高度化させ、高付加価値製品の受注につなげる。

検査測定3次元デジタイザ ATOSシステム

事業の効果

  • 導入装置によって0.01mmの精度で計測できるようになった
  • 近年は問合せが50%の伸びを示している
  • 新規の問合せから受注獲得につながる案件も5倍に伸びてきている
  • 全体としての生産業務量も40%の伸びを示している

計測と評価を迅速化し、顧客に対して品質を保証する体制が構築できた。既存顧客からの信頼が増し、問合せが50%伸び、新規の問合せから受注につながる案件は5倍に増えた。生産業務量も40%伸びている。社内では現場改善や自己啓発が進み、顧客との情報共有も迅速になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の鋳造技術の蓄積と、中子を多用する複雑形状製品の得意分野を踏まえ、高付加価値製品への展開を位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    希少価値が高く競合が少ないポンプ用インペラ市場に着目し、2倍のスピードで製作できる強みを示している。

  • 課題の認識と解決4

    精度要求への対応が課題と認識され、計測・評価・保証体制の構築で高付加価値化を図る計画が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    問合せ50%増、新規受注案件5倍、生産業務量40%増と伸びは示されるが、事前の目標値設定は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    従業員24人の規模は分かるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力についての記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    0.01mmの計測精度や顧客からの評価、インペラ市場のニーズを踏まえ、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    導入装置の活用と全社的なシステム化の方向は示されるが、スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    多品種小ロットの大型インペラという高難度分野で、競合が少なく高水準の付加価値化を図る内容と読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    海水淡水化など社会インフラのポンプ需要に触れるが、国が補助する波及効果の記述は限定的である。

  • 費用対効果3

    問合せ50%増や受注5倍など成果は示されるが、補助金額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3次元デジタイザによる計測データのCAD変換や設計への応用など、デジタル技術の活用が具体的に記述されている。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    ポンプ市場や新興国需要の成長に触れるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    与謝野町での地域ものづくりと地域社会への貢献に触れるが、地域経済への波及効果は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ロボット産業部品や航空機関連部品など、精度要求が厳しい製品にも受注を広げていく。また自社ブランドの調理器具の製作販売を計画している。

事業者の声

本事業をきっかけとして人も会社も成長していくことで地域社会の幸福に貢献していきたいです。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。