ものづくり補助金平成29年度製造業大阪府

最新レーザー溶接機の導入による高品位加工の実現と成長分野への積極進出

株式会社千代田工業所

この事例のポイント

  • ステンレスやアルミニウムの加工でTIG溶接を使うと加工対象物に歪みが生じ、溶接部分を高品位に仕上げるのが難しい。
  • 高品位な溶接を実現するため、ファイバーレーザー溶接機を導入した。
  • ファイバーレーザー溶接機の導入により、溶接部分の仕上がり品質が高まり、溶接後の研磨などの2次加工工程をなくすことが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社千代田工業所
所在地大阪府 豊中市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,精密加工
従業員数22人
資本金3,500万円
設立1969年

事業の背景

株式会社千代田工業所は豊中市で薄板精密板金加工を行い、0.3mm〜3.2mmの薄板をレーザー、パンチプレス、曲げ、溶接などで加工している。電子・通信機器、金銭機器、医療・理化学機器などの筐体やパネル、シャーシ、機構部品を、多品種少量で公差0.1mm前後の高い加工精度により製造してきた。顧客の品質要求が高まる中、成長分野と見込む半導体、医療・理化学機器の分野で高い溶接品質が求められるようになっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ステンレスやアルミニウムの加工でTIG溶接を使うと加工対象物に歪みが生じ、溶接部分を高品位に仕上げるのが難しい。
  • 生産能力溶接後に歪みや焼けを取る2次加工が必要で、工程が増えて生産性を妨げていた。
  • 品質・精度半導体、医療・理化学機器などの成長分野では顧客の求める溶接品質が高まっており、従来の方法では応えにくくなっていた。

やったこと

高品位な溶接を実現するため、ファイバーレーザー溶接機を導入した。従来の炭酸ガス(CO2)レーザー溶接機に比べ、溶接部分(ビード)が小さく、加工部周辺の焼けや歪みも少ない。ビードや焼けを研磨する2次加工をなくすことができ、溶接後にそのまま塗装やメッキの加工を施せる。レーザーを回転させるように照射して溶接部分に幅を持たせることも可能で、アルミなど熟練を要する素材の溶接も比較的容易に行える。あわせて、曲げ加工用の能力の高い60tプレスブレーキ2台を新たに導入し、工場全体の生産効率向上を図った。

  • 加工機ファイバーレーザー溶接機プレスブレーキ(60tタイプ)2台

事業の効果

ファイバーレーザー溶接機の導入により、溶接部分の仕上がり品質が高まり、溶接後の研磨などの2次加工工程をなくすことが可能になった。溶接後にそのまま塗装やメッキができるため、加工時間と工程の短縮にもつながる。アルミなど熟練が必要な素材も比較的容易に溶接できるようになった。品質と生産効率を追求した結果、医療・理化学機器などの新規取引が増え、売上高と営業利益も増加傾向にある。

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.0 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性5Sや「考えるものづくり」を平成21年頃から継続し、その延長で溶接機を導入しており、過去の取組との一貫性が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性薄板精密板金の多品種少量、公差0.1mm前後への対応を強みとし、半導体・医療・理化学機器という成長分野の顧客要求に応える構成になっている。
  • 4
    課題の認識と解決TIG溶接の歪みと2次加工の必要性という課題を認識し、ファイバーレーザー溶接機で2次加工工程の削減につなげる計画になっている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、売上・営業利益が増加傾向とあるのみで目標の実現可能性は読み取りにくい。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    5Sや「考えるものづくり」を平成21年頃から継続し、その延長で溶接機を導入しており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    薄板精密板金の多品種少量、公差0.1mm前後への対応を強みとし、半導体・医療・理化学機器という成長分野の顧客要求に応える構成になっている。

  • 課題の認識と解決4

    TIG溶接の歪みと2次加工の必要性という課題を認識し、ファイバーレーザー溶接機で2次加工工程の削減につなげる計画になっている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、売上・営業利益が増加傾向とあるのみで目標の実現可能性は読み取りにくい。

  • 事業を進める体制3

    現場中心の勉強会を毎月開き、技能検定受験支援や資格手当で社員の能力を高める体制があり、導入設備を運用する人材育成が見られる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    半導体・医療・理化学機器の顧客から高品質な溶接が求められており、需要の裏付けと選ばれる理由が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は自動化設備などの投資を継続し食品加工機械など新分野を目指すとあるが、スケジュールや課題解決方法の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    TIG溶接に比べ溶接部が小さく焼けや歪みが少ない高品位加工を武器に、新分野の高付加価値品を狙う点が読み取れる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    半導体・医療機器など成長分野の開拓と業容拡大を掲げ、新規取引の獲得を通じた地域産業への影響が想定される。

  • 費用対効果2

    2次加工工程の短縮や生産効率の改善は述べられているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    溶接機に搭載されたIoT機能に触れているが、サプライチェーン全体への貢献としての記述は弱い。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    半導体・医療・理化学機器という成長分野への進出を目指しており、構造転換に資する方向性が読み取れる。

  • 地域経済への波及2

    地域の特性や雇用創出への言及はなく、地域経済の牽引という観点の記述は薄い。

今後の展望

今後も自動化設備など生産効率化と品質向上につながる投資を継続し、食品加工機械など新たな分野の開拓を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。