ものづくり補助金平成29年度製造業奈良県

吉野林業の新たな挑戦 おが粉と精油を活用した木材総合ビジネスの展開

この事例のポイント

  • おが粉・精油の原料は建材生産時に出る廃材で、建材生産量に依存するため調達量に制約があった。
  • 精油抽出機を刷新し、従来の減圧温熱循環式に代えて水蒸気蒸留式を導入した。
  • 水蒸気蒸留式の導入で精油の着色が抑えられ、工業用原料として大口メーカーにも対応できるようになった。

事業者のプロフィール

所在地奈良県 吉野郡吉野町
業種木材・木製品製造業(家具を除く)
技術分野材料製造プロセス
設立1960年

事業の背景

当製材所は1960年創業のひのき専門の製材所で、近年の建材需要低迷を受け1994年から建材以外の製品開発を進めてきた。現在はひのき精油とおが粉を主力とする建材以外の製品が売上の7割以上を占める。ひのき精油やおが粉は建材生産時の副産物を原料としていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力おが粉・精油の原料は建材生産時に出る廃材で、建材生産量に依存するため調達量に制約があった。
  • 品質・精度従来の方式では精油抽出時に釜の素材と成分が反応して着色が残り、工業用原料には不向きだった。
  • 新製品・新技術ひのき精油の品質を向上させ、より多角的な販路を開拓する必要があった。

やったこと

精油抽出機を刷新し、従来の減圧温熱循環式に代えて水蒸気蒸留式を導入した。これにより釜の素材と精油成分の反応による着色を抑え、香りの持続性が高い精油の製造が可能になった。事業に先駆けておが粉製造機を導入し、廃材や低価値材を原料とするおが粉の生産体制を整えた。

加工機おが粉製造機
加工機精油抽出機(水蒸気蒸留式)

事業の効果

水蒸気蒸留式の導入で精油の着色が抑えられ、工業用原料として大口メーカーにも対応できるようになった。これにより生産量の拡大と販路の開拓が実現し、加工生産プロセスが完成した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1994年から建材以外の製品開発を続け、30種以上を開発し主力商品が売上の7割以上とあり、一貫性は読み取れるが経営戦略としての明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    建材需要低迷を背景に、間伐材など低価値材を使う自社完結の木材総合ビジネスや香料会社との提携が強みとして具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    精油の着色問題を課題として認識し、水蒸気蒸留式の導入で工業用原料として大口メーカーへ販路を広げる計画が書かれている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産量拡大と品質向上を目標としているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    代表が開発を主導してきたことはうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記載は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    精油の香りの持続性や工業用・香料用・一般用の用途が示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    水蒸気蒸留式への刷新と生産量拡大の方向性はあるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ひのき精油自体は独自性がないと明記され、着色の少ない高品質化で工業用原料に対応する点が差別化として書かれている。

公的補助の必要性27%
  • 波及効果・雇用2

    建材需要低迷や吉野木材業界の活性化への寄与がうかがえるが、雇用創出や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    建材依存からの脱却で木材産業の構造転換に触れるが、成長分野への進出としての具体的な説明は弱い。

  • 地域経済への波及4

    吉野材の間伐材や端材など地域の資源を活かし、吉野木材業界の活性化につなげる点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。