ものづくり補助金平成29年度製造業奈良県

鋳造シミュレーション導入による新素材開発及び地域雇用の創出

五位堂工業株式会社

この事例のポイント

  • 鋳物・鋳造業界は企業数が減って業界規模が縮小する一方で、顧客ニーズは高度化しており、高付加価値製品の製造体制の構築が急務だった。
  • 鋳造シミュレーションソフトおよび3D-CADソフトを導入した。
  • 鋳造シミュレーションと3D-CADの導入により、設計検討の期間を約3分の1程度に短縮できた。

事業者のプロフィール

事業者名五位堂工業株式会社
所在地奈良県 香芝市
業種鉄鋼業
技術分野材料製造プロセス,材料製造プロセス,複合・新機能材料,複合・新機能材料
従業員数33人
資本金1,000万円
設立1962年

事業の背景

鋳物・鋳造業界では後継者不足や経営不振による廃業が続き、企業数が減少して業界規模が縮小しつつある。当社は船舶用エンジン部品、工作機械部品、船用・陸用ストレーナ部品、建設機械部品を中心に、FC(ねずみ鋳鉄)やFCD(ダクタイル鋳鉄)の1kgから1tの中小物を少量・多品種で製造している。主要顧客の要望も踏まえ、「耐熱性」に特化した新規製品の開発を進めることになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術鋳物・鋳造業界は企業数が減って業界規模が縮小する一方で、顧客ニーズは高度化しており、高付加価値製品の製造体制の構築が急務だった。
  • 納期・工程耐熱性に特化した新規製品では、追加原料による溶湯挙動や凝固過程が想定しにくく、トライ&エラーを繰り返す試作工程となるため効率が非常に悪かった。

やったこと

鋳造シミュレーションソフトおよび3D-CADソフトを導入した。鋳造シミュレーションにより試作前に溶湯挙動や凝固過程を検討できる体制をつくり、トライ&エラーの試作を減らした。3D-CADでは熟練者のノウハウをデータ化し、暗黙知の改善に着手した。特に鉄が冷えて固まる際の冷却スピードを調整する冷やし金の配置は担当者によって異なり曖昧だったため、データとして蓄積・共有できるようにした。

ソフト鋳造シミュレーションソフト
ソフト3D-CADソフト

新しい製品・サービス:耐熱性に特化した新規製品

事業の効果

鋳造シミュレーションと3D-CADの導入により、設計検討の期間を約3分の1程度に短縮できた。これにより顧客ニーズを満たす品質とサイクルタイムを実現できた。熟練者のノウハウをデータ化したことで、冷やし金の配置などの暗黙知が蓄積・共有され、技術継承の面でも大きな成果となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    鋳物業で耐熱性に特化した新規製品開発を進めた経緯があり、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    主軸製品と主要顧客の要望を踏まえて耐熱性に特化したとあり、外部ニーズと強みへの言及はあるが、競争優位の具体的な根拠は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    試作工程の効率の悪さを課題と認識し、シミュレーション導入で設計検討期間を約3分の1に短縮したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    顧客ニーズを満たす品質・サイクルタイムを実現したとあるが、付加価値や賃上げの数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    企業概要に従業員数33名とあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    耐熱性に特化した製品と顧客要望への対応は書かれているが、ターゲット顧客や選ばれる理由の整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    試作工程の課題と導入による改善は書かれているが、中長期の遂行スケジュールや課題解決方法の詳細はうかがえるにとどまる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    耐熱性に特化した新規素材開発とあり高付加価値化を図る意図はうかがえるが、分野での水準や普及度の記述は薄い。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    地域雇用の創出がタイトルに掲げられているが、波及効果の具体的な内容や規模は書かれていない。

  • 費用対効果3

    設計期間の約3分の1短縮という数字はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3D-CADとシミュレーションソフトの導入で熟練者のノウハウをデータ化し、暗黙知の改善とサプライチェーンへの技術継承に取り組んだと書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    鋳物業の高付加価値化や新規素材開発はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及4

    奈良の歴史と地域特性を活かした「奈良県産鋳物」というジャンルの開拓を掲げ、地域の付加価値創出が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

「奈良」という歴史に縁深い地域特性を活かし、今後はBtoC分野にも視野を広げて家庭用品や多様化する趣味嗜好に合わせた製品で「奈良県産鋳物」というジャンルを開拓し、定番化を目指す。

事業者の声

鋳物業において、環境への配慮や高い減衰性・複雑形状への対応力は、現代の製品群に対して欠かせない企業力です。企業力を活かしつつ、新技術による高度な製造方法、トレーサビリティ確立による品質の見える化など、当社は進化を続けています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。