ものづくり補助金平成29年度製造業鳥取県

介護・福祉用パンツの立体裁断と各種素材の精密裁断が可能な自動裁断システムの導入

北村衣縫有限会社

この事例のポイント

  • 学校体育衣料は少子化により需要の伸びが期待しにくく、高齢化社会に対応する介護分野の製品への転換が必要だった。
  • 最新の自動裁断機システム(ベクターファッションQ25裁断機)と、ポジショニング・システム(MD/DN)を含むCAD/CAMソリューションを導入した。
  • 自動裁断システムの導入により稼働率が向上し、作業時間が短縮され、裁断工程の省力化と精度向上が図られた。

事業者のプロフィール

事業者名北村衣縫有限会社
所在地鳥取県 岩美町
業種繊維工業
技術分野機械制御,機械制御

事業の背景

鳥取県岩美郡岩美町で縫製業を営み、同町内の縫製業では最大規模の事業所である。ユニチカ指定工場として、「ヒカリの国ブランド」等の学校体育衣料(全国の保育園及び小中高等500校以上向けの学販品)を主に製造している。ミシン110台のうち30台が特殊ミシンで、多品種少量生産のノウハウを持つ。少子化により学校体育衣料の需要の進展が難しい状況にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑学校体育衣料は少子化により需要の伸びが期待しにくく、高齢化社会に対応する介護分野の製品への転換が必要だった。
  • 人手・技能生産体制の軸となる従業員は若年者の応募が少なく、平均年齢が60才を超えていた。
  • 生産能力裁断、縫製加工、生産能力に課題を抱えており、量産体制の整備が必要だった。
  • 新製品・新技術ガーゼ素材や伸縮素材などの難素材の加工要望が増えていたが、従来の手作業では裁断が難しかった。
  • 品質・精度ノッチ(合印)や細かいパーツの裁断に時間がかかり、裁断効率と精度が低かった。
  • 納期・工程裁断から縫製までの作業時間バランスが悪く、部品や仕掛品が滞留していた。

やったこと

最新の自動裁断機システム(ベクターファッションQ25裁断機)と、ポジショニング・システム(MD/DN)を含むCAD/CAMソリューションを導入した。部位毎に異なる編地がマッピングされたチューブ形状の生地(原反)に対し、均等に裁断するためのCADを活用した位置合わせシステムを開発し、トータルソリューションを構築した。従来の手作業による非効率な裁断プロセスをシステム化し、高速自動裁断を実現して量産体制を構築した。CADによる裁断図設計から延反、裁断、縫製までの滞留部品・仕掛品を減らし、スムーズな作業の流れを目指した。

  • 加工機自動裁断機システムベクターファッションQ25裁断機
  • ソフトベクターファッションQ25裁断機専用ソフトウエアポジショニング・システムMD/DN

新しい製品・サービス:介護・福祉用パンツ、立体的裁断製品

事業の効果

自動裁断システムの導入により稼働率が向上し、作業時間が短縮され、裁断工程の省力化と精度向上が図られた。ノッチや細かいパーツも正確かつ容易に裁断できるようになり、品質向上につながった。ガーゼ素材、伸縮素材、薄地素材などの裁断や立体的な裁断アイテムに対応できるようになった。生産性は約5.7倍、一個当たりのコストは平均83%削減された。さらに、商社から他商品の生産の引き合いも生まれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ミシン110台中30台が特殊ミシン、ベテラン多数、体育衣料で培った多品種少量生産とニッチ技術を強みとして挙げている。
  • 4
    課題の認識と解決若年者応募が少なく平均年齢60才超、難素材加工要望増加という課題を認識し、自動裁断で省力化する計画になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け介護用パンツの需要増、商社からの他商品引き合い、医療機関との検討など顧客ニーズの裏付けがある。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    学校体育衣料の製造実績と介護分野への展開方針が書かれ、既存事業の延長として生産体制整備を位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ミシン110台中30台が特殊ミシン、ベテラン多数、体育衣料で培った多品種少量生産とニッチ技術を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    若年者応募が少なく平均年齢60才超、難素材加工要望増加という課題を認識し、自動裁断で省力化する計画になっている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産性向上約5.7倍、一個当たりコスト平均83%削減という数値目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制3

    代表取締役が現場を率いる体制と、裁断から出荷まで全工程を自社で行える体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    介護用パンツの需要増、商社からの他商品引き合い、医療機関との検討など顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    新製品分野への販路開拓や新市場参入の計画が示されているが、スケジュールの具体性は限定的である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    ガーゼ・伸縮素材など難素材や立体裁断に対応する高付加価値性が示され、新素材分野の開拓も計画されている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    介護・福祉用品の生産体制整備や新たな需要創出が挙げられ、地域の雇用や商社の引き合いにつながっている。

  • 費用対効果3

    投資額に対し生産性約5.7倍、コスト83%削減という効果が示され、費用対効果の説明がある。

  • イノベーションへの貢献3

    自動裁断と位置合わせシステムの開発、カメラ認識装置の開発協力などデジタル技術の活用が示されている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    鳥取県岩美町で同町内最大規模の縫製業として地域の雇用を担う事業であることが書かれている。

今後の展望

介護・福祉用パンツは医療機関や商社と商品化を検討中で、CADメーカーとカメラ認識装置の開発協力による新製品分野の販路開拓を目指す。新市場として人形・フィギアの衣装(キット販売など)や子供服・ペット用衣料のキット販売への参入も計画している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。