ものづくり補助金平成29年度製造業広島県

ねじ切りバイトの製造及びねじ切り加工の数値化による大型特殊ねじの自動加工

株式会社村上製作所

成果めねじの工程数 11工程→7工程

この事例のポイント

  • 大型特殊ねじの製造では深刻な職人不足に陥っている。
  • 市販の溝入れバイトをネジ形状に沿うよう改造し、ゆるネジを加工できる仕組みを確立した。
  • めねじの工程数 11工程→7工程。設備の生産転用後の実績に基づき成果目標の達成状況を確認し、達成見通しを得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社村上製作所
所在地広島県 尾道市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,精密加工
従業員数5人
資本金500万円
設立2016年

事業の背景

従来は船舶部品のうちリーマボルトを主に製造し、今治造船・常石造船・尾道造船などとは39年の取引実績がある。現在でも船舶部品のうち70%が同製品である。現代表者となって産業機械部門を充実させた結果、産業機械部門の売上が逆転し、一業種依存からの脱却を図っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能大型特殊ねじの製造では深刻な職人不足に陥っている。
  • 人手・技能従来は職人の経験と勘によってしか加工できず、技術の継承が求められている。
  • 生産能力熟練者の手作業に頼るため生産性が低く、工程数と所要時間が多い。
  • 品質・精度総形バイトを職人の経験と勘で研いでいたため形状が安定せず、製品精度にもばらつきがあった。

やったこと

市販の溝入れバイトをネジ形状に沿うよう改造し、ゆるネジを加工できる仕組みを確立した。従来の総形バイトは職人が研いでいたため形状が安定しなかったが、改造バイトで形状を安定させた。CNC旋盤で特殊ネジ切削の最適加工条件をプログラミングし、熟練者の入力プログラムを用いて加工を行った。導入したCNC旋盤は大日金属工業製MG65×140型で、往復台上の振りはφ360mm、加工可能長は1400mmである。CAD/CAMデータを用いた加工プログラムを開発した。

加工機大日金属工業製CNC旋盤 MG65×140型
その他自社製特殊工具(改造溝入れバイト)

新しい製品・サービス:大型特殊ねじ(台形ねじ・角ねじ・のこ歯ねじ・多条ねじなど)の製造

事業の効果

  • めねじの工程数 11工程→7工程
  • めねじの所要時間 350分→210分
  • 技術習得に要する期間 10ヶ月→3ヶ月
  • 製品精度 0.1mm→0.05mm

設備の生産転用後の実績に基づき成果目標の達成状況を確認し、達成見通しを得た。めねじの工程数は11から7に減り、所要時間は350分から210分へと40%短縮された。おねじも同様の効果が見込まれる。技術習得期間は10年から3ヶ月に短縮可能と見込まれ、製品精度は±0.1mmから±0.05mmに達成が確認された。おねじとめねじが同じ角度・形状で加工でき、摺動部のスキ0.1mmで耐久性向上の見通しを得た。不良はゼロにできる見込みを得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    船舶部品のリーマボルト製造で39年の取引実績があり、産業機械部門の充実という事業の流れは読み取れるが、戦略上の位置づけの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大型特殊ねじの職人不足を課題とし、独自の刃具改造とCNC加工で若年者でも製造できる強みを示している。

  • 課題の認識と解決5

    職人不足という課題に対し、加工時間350分→210分(40%短縮)、技術習得期間10年→3ヶ月など数値目標と成果を示している。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製品精度±0.1mm→±0.05mm、工程数11→7、所要時間40%短縮など数値目標があり、達成見通しを成果として示している。

  • 事業を進める体制3

    創業者によるOJTや専属オペレーター採用計画が書かれるが、採用が求人難で未実現とあり体制の確保は十分とは言えない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大型特殊ねじの安定供給と、おねじ・めねじが面で当たり耐久性が増す点、新規顧客向け事例集などの訴求が書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    中期経営計画に沿い、CAD/CAM整備、切削条件追究、刃具研磨、OJTなど遂行方法と課題解決の進め方が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    大型特殊ねじは熟練の勘に頼っていた分野で、独自刃具とNC加工により高精度・安定品質の高水準化を図る内容になっている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    若年者でも製造できる技能継承の仕組みづくりが書かれるが、波及効果や雇用創出の国の補助理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    加工時間40%短縮、技術習得期間を10年から3ヶ月に短縮するなど、投入に対する生産性向上の数値効果が示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    NCデータ活用の加工プログラムや自動化の取り組みはあるが、サプライチェーン全体への貢献や新ビジネスモデルは薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    尾道の造船関連部品を手がける地域企業であることは読み取れるが、地域の経済成長を牽引する具体的な記述は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

中期経営計画の目標達成に向けて、技術面の成果を新規顧客につなげるため特殊ねじ加工の事例集作成やHP充実を進める。CAD/CAMデータづくり、最適切削条件の追究、刃具研磨、形状調整などで加工技術を高度化し、リードタイム短縮と品質向上を目指す。専属オペレーターの新規雇用は求人難で実現に至っていないため民間事業者に委託するなど、採用活動を継続する。創業者が後継者にOJTを実施し、技術伝承を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。