ものづくり補助金平成29年度製造業山口県

鋼材ケガキロボットの導入による省力化推進と収益向上計画

伊ヶ崎工業株式会社

成果ケガキ作業速度 1倍→4倍

この事例のポイント

  • 鋼材加工の前工程であるケガキ作業に手間と時間がかかっていた。
  • H型鋼の加工に対応するケガキ作業の自動化のため、自動ケガキロボット「梁ロボHRO05 300幅タイプ」を導入した。
  • ケガキ作業速度 1倍→4倍。ケガキ作業が自動化されたことで、手作業と比べて4〜5倍のスピードで作業でき、作業時間はおよそ半分に短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名伊ヶ崎工業株式会社
所在地山口県 下松市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,測定計測
従業員数9人
資本金1,000万円
設立1964年

事業の背景

建築物の鉄骨部分の工場製作から現場組み立てまでを行う同社は、早くから機械化に取り組んできた。鉄骨加工の前段階では、顧客の設計図から鉄骨図や単品加工図を作成し、その図面をもとに鋼材表面へ加工情報を描き込むケガキ作業が発生していた。熟練工の引退や若手の業界離れにより人材不足が深刻化しており、外国人研修生等に労働力を依存せざるを得ない状況が続いている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能鋼材加工の前工程であるケガキ作業に手間と時間がかかっていた。
  • 品質・精度巻き尺と差し金、墨ツボを用いた手作業のため、図面や巻き尺の数字の読み違いなどヒューマンエラーが発生していた。
  • 人手・技能ケガキ作業は正確さが求められるため、図面を理解できるベテラン技術者でなければ行えなかった。

やったこと

H型鋼の加工に対応するケガキ作業の自動化のため、自動ケガキロボット「梁ロボHRO05 300幅タイプ」を導入した。幅100〜300mmのH型鋼に対応可能である。CADで単品図を描き、鋼材のサイズ・長さ・取り付け部品の位置とマークを書き込んでおく。そのデータを梁ロボ専用ソフトで変換してSDカードに取り込み、ロボットに差し込んで梁の上を自走させ、インクジェットで印字してケガキを行う。CADオペレーターの作業は1工程増えるが、単品図のデータ変換は比較的簡単なため大きな時間ロスにはならない。

事業の効果

  • ケガキ作業速度 1倍→4倍
  • ケガキ作業時間 100%→50%

ケガキ作業が自動化されたことで、手作業と比べて4〜5倍のスピードで作業でき、作業時間はおよそ半分に短縮された。ヒューマンエラーがなくなり高精度を確保でき、手作業で起きていた1〜2mm程度のケガキ誤差もほぼ解消された。梁ロボが動いている間は他の作業が可能になり、人員配置の柔軟性が高まった。さらに図面を読めない作業員でも操作できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決ケガキ作業の手間、誤差1~2mm、ベテラン依存という課題を示し、ケガキ時間を約1/2に短縮した成果まで具体的に書かれている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標ケガキ作業を4~5倍のスピードにし、約1/2の時間短縮につながったと数字で成果が示されており、目標値の実現性は高いと読める。
  • 4
    費用対効果導入によりケガキ作業が4~5倍速くなり約1/2の時間短縮になったと数字で示され、投資効果がうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性ベテラン依存や人材不足への言及はあるが、市場動向や競合に対する自社の強み・弱みの分析は読み取れない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    鉄骨の工場製作から現場組立までを行う事業と、ケガキ自動化の関係は示されるが、過去の取組や経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    ベテラン依存や人材不足への言及はあるが、市場動向や競合に対する自社の強み・弱みの分析は読み取れない。

  • 課題の認識と解決4

    ケガキ作業の手間、誤差1~2mm、ベテラン依存という課題を示し、ケガキ時間を約1/2に短縮した成果まで具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    ケガキ作業を4~5倍のスピードにし、約1/2の時間短縮につながったと数字で成果が示されており、目標値の実現性は高いと読める。

  • 事業を進める体制3

    CADオペレーターの作業工程が1つ増えることや、専用ソフトでの変換が示されるが、体制や人材計画の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ケガキ精度の向上や図面を読めない作業員でも操作可能になる点は示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由は書かれていない。

  • 事業化までの道筋3

    導入から今後の展望として新規採用とベテランの実務への再配置が示されるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    ケガキ工程の自動化は一般的な普及度が高いとは書かれておらず、新市場性や高付加価値化の水準はわずかにうかがえる程度。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    人手不足や若手の業界離れへの対応は語られるが、国が補助する波及効果や雇用創出の具体的な理由は書かれていない。

  • 費用対効果4

    導入によりケガキ作業が4~5倍速くなり約1/2の時間短縮になったと数字で示され、投資効果がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    CADデータと連動させた自動化は読み取れるが、サプライチェーンやイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    周南地域の企業であることは示されるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用の牽引についての記述は薄い。

今後の展望

今回の導入で新規採用人員をケガキに充て、ベテラン社員を溶接などの実務に充てることで収益性をさらに高めていく。今後も資金をかけてでも自動化・機械化できるところは変えていき、少人数でも仕事量を減らさない工夫を続ける。スマホ世代でも取り組みやすい作業環境を整え、定着率の向上を目指す。

事業者の声

同業者からのものづくり補助金の情報を得て、今回初めてチャレンジしました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。