ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

多品種少量向け薄板ヒートシンクの量産化生産プロセスの実現と事業化

株式会社最上インクス

成果製造リードタイム 1比(前を1とした値)→0.5比(前を1とした値)

この事例のポイント

  • 多品種少量生産のため人の作業が介在する工程が多く、特に検査工程に時間がかかり、生産リードタイムが長くなっていた。
  • IoT技術を導入し、生産効率の向上と品質保証の強化を目指した。
  • 製造リードタイム 1比(前を1とした値)→0.5比(前を1とした値)。検査リードタイムは目標どおり1/10に短縮され、製造リードタイムは1/2となり目標の1/4には届かなかったが、今後の改…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社最上インクス
所在地京都府 京都市右京区
業種金属製品製造業
技術分野機械制御,情報処理,精密加工,測定計測
従業員数97人
資本金4.6億円
設立1965年

事業の背景

当社は金属プレス加工を得意とし、試作事業、Fin事業、量産事業の3つを柱としている。主要製品は電機・電子部品、通信(光伝送)機器、車載電装、分析機器、エネルギー関連およびFin製品である。独自開発の薄板ヒートシンク「saisink」の生産に向け、複数の薄板金属加工部品と最先端の溶接技術を組み合わせた製品化を目指していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力多品種少量生産のため人の作業が介在する工程が多く、特に検査工程に時間がかかり、生産リードタイムが長くなっていた。
  • コスト・採算生産リードタイムの長さがそのまま生産コストに跳ね返っていた。
  • 品質・精度人の作業によるヒューマンエラーがあり、品質面に改善の余地があった。
  • 品質・精度検査は抜き取りで全数検査ができず、検査結果の管理も煩雑で、製品出荷後の問い合わせに対応するトレーサビリティも十分ではなかった。

やったこと

IoT技術を導入し、生産効率の向上と品質保証の強化を目指した。製造工程を自動化し、自動化したラインの状況をモニタリングできる仕組みを導入した。各製造工程と検査工程で状況を数値で記録してデータベースへ反映し、製品ひとつひとつにQRコードをレーザーで印字して、QRコードから各工程の記録を取り出せる仕組みを構築した。機器間のデータ様式の違いやデータ送信タイミングのずれにより、誤った変換データや重複データが発生したため、設定の見直しを繰り返して調整した。ソフトウェアの検証とデータベース取り込みの改善にも多くの時間をかけた。

ソフトIoTによるデータ収集・モニタリングシステム
その他自動化ライン
検査測定全数検査用の検査装置
その他製品個体識別用のQRコードレーザー印字装置

新しい製品・サービス:独自開発の多品種少量向け薄板ヒートシンク「saisink」

事業の効果

  • 製造リードタイム 1比(前を1とした値)→0.5比(前を1とした値)
  • 検査リードタイム 1比(前を1とした値)→0.1比(前を1とした値)

検査リードタイムは目標どおり1/10に短縮され、製造リードタイムは1/2となり目標の1/4には届かなかったが、今後の改善課題として残っている。これまでの抜き取り検査から全数検査による品質保証が可能になり、顧客企業からの品質要求に十分応えられるようになった。QRコードにより製品ごとに製造装置や検査結果を把握できるようになり、トレーサビリティと品質保証が強化され、コスト低減も達成できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性2

    従来の多品種少量のプレス・試作事業は読み取れるが、IoT導入が事業戦略上どう位置づけられたかは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    独自製品saisinkと品質保証の弱みを強みに転換する意図は読めるが、市場動向との関係や競争優位の具体的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決5

    製造リードタイム1/4・検査リードタイム1/10の目標と、抜き取り検査から全数検査への転換など、課題と解決策が数値つきで書かれている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製造リードタイム1/4、検査リードタイム1/10の目標値が示され、実績として検査1/10達成・製造1/2と数値で結果も書かれている。

  • 事業を進める体制4

    ITと機械の技術者リーダーを割り当て、ベンダー情報も入手して進めた体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    saisinkの販売強化や業務用LED等への参入計画は書かれるが、顧客ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    準備期間確保、試行錯誤による設定見直し、現在も改善中という遂行過程と課題が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    薄板ヒートシンクの高付加価値化・差異化は述べられるが、分野の普及度や高価格化の数値根拠は書かれていない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    競争力強化や国内製造の維持に触れる程度で、波及効果や雇用創出の記載はうかがえるにとどまる。

  • 費用対効果3

    リードタイム短縮とコスト低減の成果は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献5

    IoTによるデータ連携とQRコードによる全工程トレーサビリティを導入し、顧客の品質要求に応える仕組みとして具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    京都の本社工場やスマートセンターの所在は書かれるが、地域特性を活かした雇用や成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は「saisink」の付加価値をアピールして販売を強化するとともに、業務用LED、情報通信機器、制御ロボットといった分野への参入を強化し、新たなターゲットとしていく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。