ものづくり補助金平成29年度製造業山口県

ワイヤー放電加工技術の活用による厚物難削材の低コスト加工法の確立

株式会社伸和精工

成果既存のワイヤー加工機より約50%短縮

この事例のポイント

  • 厚物の難削材加工では切削加工の速度が遅く、加工条件が悪いため工具寿命が短く、費用がかさんでいる。
  • 厚物の難削材ワークの加工に対応するため、ワイヤー放電加工機として牧野フライス製作所製U6.H.E.ATを導入した。
  • 既存のワイヤー加工機より約50%短縮。厚物の加工時間が既存のワイヤー加工機より約50%短縮され、マシニングセンタの負荷が軽減した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社伸和精工
所在地山口県 宇部市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数18人
資本金1,000万円
設立1971年

事業の背景

創業以来50年、精密加工を得意とし、一般生産用機械、半導体製造装置、各種工作機械、食品製造機械などの部品を、1個から数十個単位の多品種少量生産で切削加工している。近年は航空宇宙産業の国際規格IS09001:2015を取得し、JAXAや大学の研究機関からの依頼を受けて航空宇宙分野にも参入した。令和2年には経済産業省より地域未来牽引企業に認定された。現在は水門関係の受注があり、技術の転用・応用で事業拡大が見込めるが、受注が落ち込むと収益環境が厳しくなる生産型の体制である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力厚物の難削材加工では切削加工の速度が遅く、加工条件が悪いため工具寿命が短く、費用がかさんでいる。
  • 生産能力加工に時間がかかり機械が長時間占領されるため、工程および生産管理が難しく、従来の仕事の納期にも影響が出ている。
  • 人手・技能工具寿命管理や段取りは作業者の経験に左右されるため、熟練職人に負荷がかかっている。
  • 人手・技能労働人口の減少や職人の高齢化、若者のものづくり離れにより、人員の確保も困難になっている。

やったこと

厚物の難削材ワークの加工に対応するため、ワイヤー放電加工機として牧野フライス製作所製U6.H.E.ATを導入した。400mmもの厚物を高精度で加工できる機種で、スピード向上のためワイヤー径は0.3の仕様を、無人運転の障害をなくすため大容量ワイヤー供給装置の仕様を採用した。既設機械の移動を最小限にとどめ、無人運転を考慮して機械レイアウトを決定した。業者による搬入とレベル出しを経て設置し、約2日間にわたり基本操作、各機能、保守の説明を受けた。その後テストカットを行い、スピードと精度を確認した。

  • 加工機ワイヤー放電加工機 U6.H.E.AT牧野フライス製作所製

事業の効果

  • 既存のワイヤー加工機より約50%短縮

厚物の加工時間が既存のワイヤー加工機より約50%短縮され、マシニングセンタの負荷が軽減した。マシニングセンタでは不可能な重ね加工への工程移行が可能になり、無人加工ができるようになって人手不足の中でも稼働効率が向上した。加工条件はウィザードで材質、板厚、加工内容、加工方法を選ぶと条件が提示されるため、若手オペレーターでも加工でき、熟練職人に依存せず、生産管理もしやすくなり納期への影響も解消された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性創業50年の精密加工を基盤に、水門関係の技術転用と航空宇宙分野への参入を継続しており、事業の一貫性が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ISO9001認証やJAXA・大学からの依頼など航空宇宙分野の実績を持ち、厚物難削材加工という強みを活かす計画になっている。
  • 4
    課題の認識と解決加工時間が既存ワイヤー加工機より約50%短縮し、工具寿命や段取りの課題を解消する計画で、課題認識と解決が具体的。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果加工時間短縮の効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    創業50年の精密加工を基盤に、水門関係の技術転用と航空宇宙分野への参入を継続しており、事業の一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ISO9001認証やJAXA・大学からの依頼など航空宇宙分野の実績を持ち、厚物難削材加工という強みを活かす計画になっている。

  • 課題の認識と解決4

    加工時間が既存ワイヤー加工機より約50%短縮し、工具寿命や段取りの課題を解消する計画で、課題認識と解決が具体的。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間約50%短縮の実績は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は事例紹介に明示されていない。

  • 事業を進める体制3

    機械メーカーによる約2日間の操作指導とテストカットを行い、既設機械の移動や設置場所確保も実施している。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    航空宇宙分野で同様のニーズがあり今後の受注に期待と述べ、市場規模の予測も示しているが、顧客ターゲットは限定的。

  • 事業化までの道筋3

    機械導入、レイアウト決定、納入、操作指導、テストカットという段階的な遂行手順が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    航空宇宙分野の高精度な多品種少量加工で、ISO認証を取得し高水準の技術を要する分野に取り組んでいる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用4

    航空宇宙市場が2030年に52兆円に達すると予測され、地域未来牽引企業にも認定されるなど地域経済への貢献が読み取れる。

  • 費用対効果2

    加工時間短縮の効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    無人加工を可能にし、条件設定をウィザード化して若手でも加工できる仕組みを作り、生産性とノウハウの継承に貢献している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    航空宇宙分野へ進出し、量産型への事業転換を目指すとしており、成長分野への進出という方向性は読み取れる。

  • 地域経済への波及3

    山口県宇部市の地域未来牽引企業に認定されており、地域の技術で高付加価値の仕事を受注する方向性がある。

今後の展望

航空宇宙分野でも本事業の技術に同様のニーズがあるため今後の受注に期待している。航空宇宙分野の市場は2030年に52兆円に達すると予測されている。一方、新型コロナウイルス感染症で受注が大きく落ち込み経営は厳しい。今後は多品種少量生産を続けながら、ロットの大きな受注を取り込める新たな設備を整え、量産型へ事業転換して安定した収益体制を構築したい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。