ものづくり補助金平成29年度卸売業、小売業愛媛県

高機能生簀導入による活魚備蓄プロセス改善

有限会社灘水

成果生簀容量の10〜12%の活魚が備蓄可能

この事例のポイント

  • 温度管理の限界から状態の悪い活魚が正品として販売できず、活魚B品として委託販売されるため、正品価格の半値程度でしか取引されない。
  • FRP製10トン生簀・濾過槽一体型と冷暖水機を導入した。
  • 生簀容量の10〜12%の活魚が備蓄可能。備蓄容量が増え、仕切り板の使用で魚種やサイズ別の備蓄が可能になったことで、追加注文への対応や在庫切れによる失注が防げる…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社灘水
所在地愛媛県 伊予市
業種飲食料品卸売業
従業員数5人
資本金1,000万円
設立1965年

事業の背景

当社は活魚卸売業者で、主力商品は養殖のサバ・ヒラメ・シマアジである。夏場はハモ、冬場はフグやクエ・ハタ等の旬の鮮魚も取り扱い、年間を通して10〜15種類の魚を扱っている。時化による仕入不能に備えて事前に大量仕入を行い、備蓄水槽を活用して顧客の活魚ニーズに対応している。活魚は取り扱いや水温・塩分濃度などの管理が難しく、適切な環境整備が納品先や最終消費者まで活きの良い状態で届けることにつながる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度温度管理の限界から状態の悪い活魚が正品として販売できず、活魚B品として委託販売されるため、正品価格の半値程度でしか取引されない。
  • コスト・採算状態の悪い魚は仕入値を下回る価格で取引されるため、大きな損失が出ている。
  • 生産能力備蓄水槽は汲み上げ海水をかけ流して使用しており、夏季と冬季の水温変化に対して設備の能力が不足している。

やったこと

FRP製10トン生簀・濾過槽一体型と冷暖水機を導入した。FRP製生簀は繊維強化プラスチック製で、生簀容量の10〜12%の活魚が備蓄可能である。濾過槽にはサンゴやマットが入っており、循環ポンプにより海水を常時濾過槽に送り込む仕組みである。冷暖水機は水温を15〜20℃に維持でき、濾過槽で濾過された海水を繰り返し使用することで水温変化を抑え、活魚をストレスなく備蓄できるようにした。これにより廃棄率の低減と、取扱魚種や尾数の増加を図った。

加工機FRP製10トン生簀・濾過槽一体型
その他冷暖水機

事業の効果

  • 生簀容量の10〜12%の活魚が備蓄可能
  • 冷暖水機は水温を15〜20℃に維持できる装置

備蓄容量が増え、仕切り板の使用で魚種やサイズ別の備蓄が可能になったことで、追加注文への対応や在庫切れによる失注が防げるようになった。垂直な仕切り板を柔軟に設置できるため全体の目視確認ができ、社員一人ひとりの商品に対する意識も向上した。水温や水質の管理が自動化され、仕入れ地域との海水温度差や昼夜の気温変化に対応して最適な活魚の備蓄環境が実現し、活魚の品質向上、作業負担の軽減、作業効率の向上が図られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    活魚備蓄の取組が元々の事業であることは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    活魚にこだわり備蓄水槽を活用してきた強みは読めるが、市場動向との関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    温度管理の限界で活魚B品となり正品の半値程度でしか売れず、損失が出ていた課題が具体的に示されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの数値目標は書かれておらず、廃棄率低減や取扱魚種増加の方向性がうかがえるだけである。

  • 事業を進める体制2

    従業員5名の規模は読めるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の記述はほとんどない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客ニーズへの対応や高級魚の取扱いなど対象は示されるが、ニーズの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後の活動予定として高知県産活魚の関東流通計画が示されるが、スケジュールや解決方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    活魚の備蓄と温度管理に特化した取組で、高付加価値化を図る方向性がわずかにうかがえる。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地元漁師との連携や高知県産活魚の東京販売など地域への波及がわずかに読み取れる。

  • 費用対効果2

    廃棄率の低減や取扱魚種・尾数の増加は書かれているが、投資額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地元漁師との連携や高知県産活魚の流通計画が地域の事業として示されるが、雇用や成長への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

安定した備蓄環境の整備により、これまで取り扱いが困難だった高級魚のクエやハタなどの販売が可能になる。地元漁師と連携して高知県産の活魚を東京へ販売する計画があり、今後はカツオやマグロ、深海魚の金目鯛などを活かしたまま関東の市場へ流通させたい。現状は地元漁師への指導段階で、準備が整い次第取り扱いを開始する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。