蜜柑AIビジョン導入による蜜柑の台湾市場への輸出拡大

静岡県の卸売業・小売業の会社が、ものづくり補助金で蜜柑の検査をAIに切り替え、台湾市場への輸出拡大につなげた採択事例です。

株式会社マルマ

成果傷の混入率 2%→0.01%

この事例のポイント

  • 蜜柑の外観検査は、各農家が選果場に持ち込む前に行い、さらに選果場で荷受け担当者が目視で確認するダブルチェックで行っていたが、人の目による選別では基準を統一できなかった。
  • これまで人の目に頼っていた蜜柑の外観検査を、「蜜柑AIビジョン」の導入により自動化しました。
  • 傷の混入率 2%→0.01%。選果精度が大幅に向上し、傷や腐敗の混入率を大きく下げることができた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社マルマ
所在地静岡県 浜松市北区
業種飲食料品卸売業
資本金1億円
設立1950年

事業の背景

同社は、地域の農業者が生産する農産物を出荷組合の形態で全量出荷の契約のもと、全国55か所の市場・スーパー等へ出荷・販売する青果物販売代行事業者である。特に“マルマみかん”は九州から北海道の各地域で最高級商品として40年以上の販売実績がある。

台湾やインドネシアなどアジア諸国の経済発展に伴う富裕層の拡大を受け、海外への輸出も計画していた。以前は透過式光センサーで糖度と酸度の糖酸比を測り、等級・サイズごとに選果していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度蜜柑の外観検査は、各農家が選果場に持ち込む前に行い、さらに選果場で荷受け担当者が目視で確認するダブルチェックで行っていたが、人の目による選別では基準を統一できなかった。
  • 人手・技能人の目による選別作業に時間や人員がかかりすぎており、機械化による選別精度の向上が必要だった。
  • 品質・精度梱包物に1つでも腐った蜜柑が混入すると多くの蜜柑が腐敗するおそれがあり、2週間ほどかかる海外輸送に対応するには傷や腐敗のある果実を混在させないことが求められた。
  • 販路・情報発信従来の選果システムは製品の外傷を検知できず、海外への輸出に対応しきれないという問題が発生していた。

やったこと

これまで人の目に頼っていた蜜柑の外観検査を、「蜜柑AIビジョン」の導入により自動化しました。小型高速画像処理装置と高度検査アルゴリズムを組み合わせ、傷や腐敗のある果実を検出する仕組みを構築しました。

選果機に投入する際の目視確認を、AIによる検査へ転換しました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 傷の混入率 2%→0.01%
  • 腐敗の混入率 0.3%→0.2%
  • 検出可能な傷の大きさ 1mm→0.4mm
  • 荷受け作業の人数 6名→1名

選果精度が大幅に向上し、傷や腐敗の混入率を大きく下げることができた。手に触れる機会が減ったことで衛生面や品質面も向上した。

人の目による選別作業がなくなったことで荷受けの人員を減らし、残業時間の削減につながった。検査能力の信頼性が増し、海外への長期輸送に対応できる体制を構築でき、同社ブランドの付加価値向上と新たな販路開拓につながった。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性台湾・インドネシアの富裕層拡大に着目し、40年以上のマルマブランドと選果精度向上を組み合わせた競争優位性が読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決傷混入率2%から0.01%以下、腐敗混入率0.3%から0.2%以下と、課題を数字で捉え解決している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け2週間の海外輸送に傷や腐敗のない果実が求められる点を明確にし、顧客ニーズへの対応が整理されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、残業削減や販路開拓の効果にとどまる。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の糖度選果システムを活用してきた経緯から、外観検査の強化へ自然につながる取組として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    台湾・インドネシアの富裕層拡大に着目し、40年以上のマルマブランドと選果精度向上を組み合わせた競争優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    傷混入率2%から0.01%以下、腐敗混入率0.3%から0.2%以下と、課題を数字で捉え解決している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、残業削減や販路開拓の効果にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    総務部・営業農事部の担当者が取材対応し、選果機導入と運用を担う体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    2週間の海外輸送に傷や腐敗のない果実が求められる点を明確にし、顧客ニーズへの対応が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    AI検査への転換と更なる改善への着手という段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    蜜柑の外観AI検査は一般的でなく、0.4mmの傷まで検出できる高水準の選果を実現している。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    地域農業者の出荷組合と連携し、海外販路開拓やマルマブランドの付加価値向上につながる波及が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金額や費用対効果を示す数字がなく、残業削減などの効果を述べるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献4

    AI画像処理による高度検査アルゴリズムを農産物選果に導入し、産地のイノベーションにつながっている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    海外輸出の拡大は触れているが、日本経済の構造転換に資する記述は弱い。

  • 地域経済への波及4

    浜松市の地域農業者と連携し、九州から北海道の販路と地域の農産物ブランドを支えている。

同じ設備を入れた採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。