ものづくり補助金平成30年度製造業福島県

パルパー導入によるFSC認定商材専用の生産体制の確立

有限会社幸栄

成果原料処理の全製造工程の処理能力 1倍→4倍

この事例のポイント

  • 国際認証紙を既存の小型パルパーで扱うと、原料の破棄やパルパー内・貯蔵タンク内の清掃に約8時間を要し、原料ロスも生じて工程管理の負担が大きかった。
  • 国際認証紙を材料とするだるまの絵付けキットを新たな事業として製造するため、国際認証紙専用のパルパーを新規に導入し、専用の製造ラインを確立した。
  • 原料処理の全製造工程の処理能力 1倍→4倍。専用ラインの確立により原料の入替工程がなくなり、清掃時間と原料ロスが大きく減って製造工程の無駄がなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社幸栄
所在地福島県 白河市
業種その他の製造業
従業員数16人
資本金300万円
設立1991年

事業の背景

「白河だるま」は江戸末期から製作される福島県の伝統工芸品で、有限会社幸栄が白河市内の2工場で製造・販売している。だるま産業ではベトナムや中国からの輸入品が増え、品質の差は年々縮まっている。このため製品の新たな付加価値や差別化の方向性を打ち出す必要があると考えていた。そうした折、製紙関連の取引先から回収紙を使った環境配慮型だるまの製作を依頼された。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程国際認証紙を既存の小型パルパーで扱うと、原料の破棄やパルパー内・貯蔵タンク内の清掃に約8時間を要し、原料ロスも生じて工程管理の負担が大きかった。
  • 生産能力小型パルパーは処理能力が低く、国際認証紙を液状にするのが難しいという欠点があった。
  • コスト・採算伝統工芸品は需要の減少と海外からの安価な輸入品の増大により価格競争が起き、利益が縮小する傾向にあった。

やったこと

国際認証紙を材料とするだるまの絵付けキットを新たな事業として製造するため、国際認証紙専用のパルパーを新規に導入し、専用の製造ラインを確立した。これにより国際認証紙製品以外の材料が混入しない体制を整え、製造工程における無駄と物的・人的ロスの削減を図った。導入後は原料の入替工程がなくなり、パルパーの清掃に要していた8時間が皆無となった。さらに原料処理に要する時間が現状と比較して約75%削減でき、清掃時の処分が必要だった原料ロスも約100%削減できることを確認した。

加工機国際認証紙専用パルパー

新しい製品・サービス:国際認証紙を材料とした白河だるまの絵付けキット

事業の効果

  • 原料処理の全製造工程の処理能力 1倍→4倍
  • パルパーの清掃時間 8時間→0時間
  • 原料ロス 100%→0%
  • 原料処理に要する時間 100%→25%

専用ラインの確立により原料の入替工程がなくなり、清掃時間と原料ロスが大きく減って製造工程の無駄がなくなった。原料処理の時間も大きく短縮され、生産性の向上の目途が立った。これにより新規顧客を増やして売上増につなげる体制が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    江戸末期から続く白河だるまの再利用精神を背景に、国際認証紙の絵付けキット製造を新事業として位置づけている。経営戦略上の明確な位置付けは読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    海外からの安価な輸入品増大と価格競争に触れ、製紙関連取引先からの依頼があったことがうかがえる。自社の強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    原料処理の全工程で約4倍の処理能力、原料ロス約100%削減、原料処理時間約75%削減など、課題と効果が数字で示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    原料処理時間約75%削減や生産性向上の目途は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    2拠点の工場と代表者の存在はわかるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    環境配慮型の絵付けキットとして、SDGsに関心のある層をターゲットにする方向性が書かれているが、ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    専用ラインの確立や販売方法の検討が書かれ、スケジュールは一部読み取れるが、遂行方法の詳細は少ない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    伝統工芸品で価格競争に直面する中、環境配慮型の付加価値化を図る方向性が示されている。高水準の高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    伝統工芸品産業の維持や地域への親しまれ方に触れるが、波及効果や雇用創出の具体的な記述は少ない。

  • 費用対効果4

    小型パルパー導入で清掃8時間が皆無になり、原料ロス約100%削減、処理時間約75%削減と費用対効果が数字で示される。

  • イノベーションへの貢献2

    回収紙の再利用という環境配慮の取り組みはうかがえるが、先端デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    白河市の伝統工芸と地域の人々に親しまれてきた点、観光客向け建物の整備が書かれ、地域特性の活用はうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

伝統工芸品の現状を打開するため、回収紙や廃棄紙を使った環境配慮型だるまの絵付けキットの製造を推進し、SDGsを重視する層のニーズを捉える。ECサイトの開設、ポップアップイベント、キッズイベント、展示商談会への出展、外国人旅行客向けの体験型商品などで販路を広げ、付加価値を生み出して事業の柱にすることを目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。