ものづくり補助金平成30年度製造業群馬県

機械制御技術の高度化による新鍛造技術の確立と高効率生産体制の構築

有限会社宮田製作所

成果生産工数(1個) 396秒→122秒

この事例のポイント

  • 熱処理を外注しているため、鍛造後に福島県の委託先へ送って戻すまで6日かかり、製品の流れを阻害して完成までの時間が長くなっている。
  • 鍛造後の熱処理工程を省くため、細かな温度制御が可能な高周波誘導加熱装置を導入した。
  • 生産工数(1個) 396秒→122秒。熱間鍛造後の熱処理工程を省けたことで、外注による6日間の待ちがなくなり、製品の流れが改善した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社宮田製作所
所在地群馬県 前橋市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,機械制御
従業員数20人
資本金500万円
設立1948年

事業の背景

当社は主にコンベアチェン部品のピン、ブッシュ、ローラを製造している。コンベアチェン業界では国内メーカーがグローバルな販売を広げる中で、完成品を早く届けることが急務となっている。チェン市場は2017年に1,000億円で、2021年には1,200億円に拡大する見込みである。既存取引先の大手チェンメーカーは、コンベアチェン市場300億円(2017年)の約27%のシェアを持ち、2018年の売上高は79億円、2021年には110億円とする計画である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力熱処理を外注しているため、鍛造後に福島県の委託先へ送って戻すまで6日かかり、製品の流れを阻害して完成までの時間が長くなっている。
  • コスト・採算ステンレス材の高温加熱で硬化するため、切削加工の前に熱処理が必要となり、そのための外注コストと工程が負担になっている。
  • 納期・工程熱処理工程を省くことが課題であり、鍛造後の熱処理を不要にする必要がある。

やったこと

鍛造後の熱処理工程を省くため、細かな温度制御が可能な高周波誘導加熱装置を導入した。導入した加熱装置と常用材、加工設備(切断機、加熱装置、油圧サーボプレス、NC旋盤)を用いて工程設計を行い、温度を1,100℃から徐々に下げられるかを見極めた。試作は、1,100℃加熱材を10本鍛造、950℃加熱材を10本鍛造、850℃加熱材を40本鍛造の3種類で行い、サイクルタイム、鍛造後と切削後の寸法測定、群馬県立群馬産業技術センターでの解析により品質を評価した。850℃で切削したところ良好な切削ができ、群馬産業技術センターの解析では素材のままの硬度を維持していた。

加工機高周波誘導加熱装置
加工機油圧サーボプレス
加工機NC旋盤
加工機切断機

事業の効果

  • 生産工数(1個) 396秒→122秒
  • 製造リードタイム(500個生産) 55時間→16.9時間
  • 月産生産能力 30,000個→29,500個
  • 生産性 1倍→3.3倍
  • コスト 100%→30%

熱間鍛造後の熱処理工程を省けたことで、外注による6日間の待ちがなくなり、製品の流れが改善した。500個の製作を16.9時間で行える生産能力となり、増産対応が可能になった。コストは70%のダウンが可能となり、月産30,000個の生産能力体制の実現を目指せる見通しとなった。850℃鍛造品は1,100℃や950℃と同程度の強度を保ち、品質、生産能力、コストともに合格とされた。品質面では後工程の簡略化と取引先からの信頼性向上も見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存得意先の大手チェンメーカーへの供給拡大と、熱処理外注の解消という課題が示されているが、過去の取組との一貫性までは読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    コンベアチェン市場300億円のうち約27%のシェア、売上79億円から110億円への計画など、市場と自社の位置づけが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    熱処理6日間の外注がネック工程と特定され、850℃加熱で熱処理を省く工程改善により、リードタイム55時間から16.9時間、コスト70%減が示されている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    月産30,000個体制、生産工数396秒から122秒、生産性3.3倍向上など数値目標と成果が示され、実現性の根拠も明確。

  • 事業を進める体制2

    従業員20人と記載があるのみで、補助事業を担う人材や事務処理体制についての記述はほぼ読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    既存顧客の大手チェンメーカーへの供給という顧客ターゲットと、品質・納期の優位性が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    850℃・950℃・1,100℃の3段階試作や群馬産業技術センターでの解析など、検証方法と課題解決の流れが明確に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    熱間鍛造の熱処理工程を省く温度制御技術は、同分野で高付加価値化を図る取組として具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    国が補助する理由となる雇用創出や波及効果は記載がなく、わずかに地域の製造業の事例とうかがえる程度。

  • 費用対効果4

    生産工数69%減、生産性3.3倍、コスト70%減など、投資に対する効果が数値で示されており費用対効果がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献3

    高周波誘導加熱による温度制御と工程設計はサプライチェーンの効率化に関わるが、デジタル技術の活用やビジネスモデル面の記述は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    コンベアチェン業界のグローバル展開に触れているが、日本経済の構造転換に資する分野への進出とは明確に書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    前橋市の所在地と群馬県の公的機関の活用が見られる程度で、地域の雇用創出や成長への牽引は記載がない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

大手チェンメーカーとの取引を拡大することで、将来的には売上高1億7,000万円を見込む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。