ものづくり補助金平成24年度和歌山県

桐箪笥(きるだんす)の表面の塗装することによる新商品の開発(多色、多目的化)

株式会社シガ木工

この事例のポイント

  • 桐製筆箇の表面を着色するには工場内の温湿度を一定に保つ必要があるが、空調設備がなく、生産工程で製品の反りや変色が起きやすかった。
  • 桐筆表面の着色性向上を目的として空調機器を導入し、工場内の気温と湿度を安定させた。
  • 空調設備により工場内の温湿度を安定させ、天候に左右されず着色した桐筆を安定して供給できる体制を目指した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社シガ木工
所在地和歌山県 和歌山市
業種木材・木製品製造業(家具を除く)
技術分野塗装
従業員数9人
資本金1億円
設立1914年

事業の背景

同社は1914年設立で、明治時代から100年以上の業歴をもつ伝統工芸品「紀州筆」の老舗メーカーである。主力製品の桐筆は経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定され、主に家具専門店や百貨店に卸している。阪神淡路大震災後は伝統的な和の建築が減り、高額な筆の購入を避ける傾向が強まって需要が減退した。大手家具量販店の台頭で消費者の低価格志向が強まり、高価格帯の桐筆は選択肢にも上がりにくくなっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力桐製筆箇の表面を着色するには工場内の温湿度を一定に保つ必要があるが、空調設備がなく、生産工程で製品の反りや変色が起きやすかった。
  • 品質・精度着色の色合いを安定させるための温湿度管理が課題となっていた。
  • 生産能力雨の日が続くと湿度の影響で納期が遅れ、同社の信用にも関わるため、屋外の湿度が高い日でも仕事ができる環境が必要だった。

やったこと

桐筆表面の着色性向上を目的として空調機器を導入し、工場内の気温と湿度を安定させた。空調により生産工程での製品の反りや変色を防ぎつつ表面の着色化に取り組んだ。染色した砥粉を塗料の下地として用いることで、カラーバリエーション豊富な表面着色と年輪の風合い、通気性を備えた筆の製造が可能になった。着色に用いる和染色料には急性毒性がないことを実験で確認し、製品の安全性も確保した。試作品を展示会に非売品として出展し、評価を得た。

新しい製品・サービス:染色した砥粉を下地に用いて表面を着色し、年輪の風合いと通気性を保った桐筆

事業の効果

空調設備により工場内の温湿度を安定させ、天候に左右されず着色した桐筆を安定して供給できる体制を目指した。染色した砥粉の下地により、カラーバリエーション豊富な表面着色と年輪の風合い、通気性を両立した製品の製造が可能になった。着色板は50年程度ほとんど色落ちせず使用できる耐久性があり、染色料の安全性も確認された。試作品は百貨店バイヤーからも一定の評価を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決温湿度管理で着色時の反りや変色を防ぐ課題が明確で、空調導入により着色製品の開発に至った経緯が具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値桐箪笥の着色は一般的でなく、染色砥粉を下地に用いた着色で年輪の風合いと通気性を両立させた点が新規性として書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値化や賃上げを示す数値目標は書かれておらず、今後5〜10年の成果見込みが述べられるにとどまる。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    100年以上の業歴や和筆製造の標準化への関与、洋室向け焼桐製品での転換が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    業界古参や経済産業大臣指定伝統的工芸品の認定、家具専門店・百貨店への卸しが書かれ、強みは読み取れるが市場分析の数字は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    温湿度管理で着色時の反りや変色を防ぐ課題が明確で、空調導入により着色製品の開発に至った経緯が具体的に書かれている。

事業の実現可能性2.4
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げを示す数値目標は書かれておらず、今後5〜10年の成果見込みが述べられるにとどまる。

  • 事業を進める体制2

    従業員9人の規模と協力業者への依頼による少量生産体制は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    着色桐箪笥の耐久性が50年程度と示され、家具店・百貨店での評価もあるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    中長期の展開として低価格帯提供や認知度向上が挙げられるが、遂行方法やスケジュールは具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    桐箪笥の着色は一般的でなく、染色砥粉を下地に用いた着色で年輪の風合いと通気性を両立させた点が新規性として書かれている。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用3

    伝統工芸品の維持やメーカー数減少の防止が語られ、若い職人の確保に触れるが、波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す付加価値額や生産性の数値は書かれておらず、空調導入の効果は定性的な記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    和歌山市の伝統工芸として地域の特性を活かしている点は読み取れるが、地域経済の成長への寄与は具体的に示されていない。

今後の展望

小口の受注には対応できているが、まとまった受注への対応には廃棄処理設備の導入などの課題がある。今後は引合いの状況を見ながら体制を見直す予定である。桐筆の販売数量増加には認知度向上が必須と考えている。

事業者の声

今、取り組んでいることが成果(結果)に結びつくまで5年、10年掛かる。見えにくいかもしれないが、粘り強く中長期的な視点でものづくりに取り組んで欲しい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。