ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

ステンレス曲げ加工の高精度化による新型製品の商品化と新たな顧客の創造

株式会社工房HAL

成果製造時間の約47%が短縮

この事例のポイント

  • 食品・飲料業界向けの高付加価値型メッシュカゴの製造体制が整っていなかった。
  • ステンレスシートの曲げ加工工程の改善のため、ハイブリッドドライブベンダーを導入した。
  • 製造時間の約47%が短縮。設備導入によりステンレスシートの曲げ加工で歪みや反りがなくなり、スムーズな加工が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社工房HAL
所在地静岡県 周智郡森町
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
資本金3,000万円
設立2008年

事業の背景

同社はユーザーや工場の製造ラインごとに個別受注方式で、生産用機械装置の周辺機器や治具の製造・修理を行っている。製造する機械装置は自動車・電気機械等の製造業向けが多かったが、現在は旧来の顧客に依存せず、医療や食品業界の工場向けの周辺機器や治具の開発・生産にも取り組んでいる。生産用機械装置を取り巻く環境は厳しく、近年は倒産や廃業する同業他社も増えている。一方、景気に左右されにくい食品・飲料業界の製造ラインの装置を手がけてきたため安定した受注はあるが、近年は同業界から高付加価値型のメッシュカゴに関する引合いが多くなっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術食品・飲料業界向けの高付加価値型メッシュカゴの製造体制が整っていなかった。
  • 生産能力ステンレスシートの曲げ加工で歪みや反りが生じ、その修正板金に手間がかかっていた。

やったこと

ステンレスシートの曲げ加工工程の改善のため、ハイブリッドドライブベンダーを導入した。従来のメッシュカゴはフレーム材を使うため、フレームの継ぎ目に洗浄物のカスが付着して取り除く作業が発生していた。同社はフレーム材を使わず、1枚のステンレスシートから型を切り出し、レーザー加工機で細かい穴を多数開け、曲げ加工を施した上で繋ぎ目を溶接する方法で試作品を完成させた。試作段階では、取引先から従来のワイヤータイプのメッシュカゴより目詰まりが発生しにくく洗浄しやすいとの評価を得た。量産に向けては、曲げ加工工程の歪みや反りを解消できるハイブリッドドライブベンダーを導入して量産体制を整えた。

加工機ハイブリッドドライブベンダー

新しい製品・サービス:食品・飲料業界向けの高付加価値型メッシュカゴ(フレーム材を使わず1枚のステンレスシートから製造)

事業の効果

  • 製造時間の約47%が短縮

設備導入によりステンレスシートの曲げ加工で歪みや反りがなくなり、スムーズな加工が実現した。板金修正作業が大幅に軽減され、製造時間の約47%が短縮された。試作品で高評価を得た新型メッシュカゴの量産体制が構築された。今後は加工精度をさらに高め、食品業界に加え医療機器の洗浄・消毒・滅菌や精密機器製造の用途へ市場を広げる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    個別受注で周辺機器や治具を製造してきた既存事業の延長に、食品業界向けメッシュカゴを位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    景気に左右されにくい食品・飲料業界の取引実績と、短納期・低コスト・高耐久性の強みに言及しているが定量的な比較はない。

  • 課題の認識と解決4

    フレーム継ぎ目へのカス付着や目詰まりという課題を挙げ、一枚板からの製法で解決する事業計画が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    製造時間の約47%短縮という数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    食品・医療業界の洗浄や濾し作業での用途、取引先からの目詰まりしにくいとの評価など、顧客と選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    量産体制構築、加工精度向上、市場拡大の方向性は示されるが、スケジュールや具体的な進め方は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    メッシュカゴは一般的な製品だが、一枚板から細かい穴を開け曲げる製法で高付加価値化を図る点が書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    倒産や廃業が増える業界状況に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    製造時間の約47%短縮という効果は示されるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザー加工機や曲げ加工による製造は触れられているが、デジタル技術の活用や地域イノベーションへの貢献は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    森町という地域に所在するとの記載はあるが、地域特性を活かした経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

変化の激しい経営環境に柔軟に対応し、ユーザーごと・製造ラインごとに合わせた顧客目線の営業を維持する。市場の垣根にとらわれない製品開発を進め、短納期・低コスト・高耐久性といった自社製品の強みを活かした経営を続ける。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。