ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

CNCパイプベンダー設備導入による曲げ工程の高度化

株式会社富士根産業

成果年間作業時間 1,920時間/年→144時間/年

この事例のポイント

  • 環境負荷低減のための冷媒切り替えに伴う市場ニーズに対応する必要があったが、新規格に対応する機械が自社になかった。
  • 従来機では曲げられなかった配管の加工に対応するため、直径15mmまでのパイプを加工できるCNCパイプベンダーを導入した。
  • 年間作業時間 1,920時間/年→144時間/年。パイプセット確認センサーの導入により、人由来だったばらつきが±0.3mmまで精度が向上・安定化し、画像センサーによる誤…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社富士根産業
所在地静岡県 沼津市
業種電気機械器具製造業
技術分野精密加工,製造環境
資本金8億円
設立1962年

事業の背景

株式会社富士根産業は、冷凍・空調機器用部品の製造・組立を行い、室内機・屋外機及びコンプレッサー用の溶接タンクや配管類を主に手掛けている。製品は大手空調機器メーカーに数多く採用されている。空調業界では環境対策として、従来の冷媒からオゾン層破壊係数の小さい自然冷媒やR32への切り替えが進んでおり、自然冷媒は使用圧力が高いため配管材料にもより高い強度が求められている。強度を上げるには肉厚を厚くするか高強度銅管などへ材質を変える必要があるが、曲げには強い力が要るため既存の機械や手曲げでは対応が困難だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術環境負荷低減のための冷媒切り替えに伴う市場ニーズに対応する必要があったが、新規格に対応する機械が自社になかった。
  • 生産能力従来のパイプベンダーは直径8mmまでのパイプにしか対応できず、肉厚の大きい配管や高強度材料の曲げ加工ができなかった。
  • 品質・精度製品のコンパクト化で部品同士の隙間が小さくなり、より高精度な加工技術が求められていた。
  • 人手・技能材料供給時のストッパへの突き当て確認や品質の全数検査を人の目視に頼っており、作業者の負担と不良の発生リスクがあった。

やったこと

従来機では曲げられなかった配管の加工に対応するため、直径15mmまでのパイプを加工できるCNCパイプベンダーを導入した。あわせて材料を自動供給する装置と曲げ完成品を排出するマテハンロボットを導入し、工程の自動化を進めた。曲げ送りには従来よりばらつきの小さい方式を採用した。材料供給時の突き当て確認は、人の目視から接触式センサーによる確認に変更し、曲げ方向が決まっている配管には画像センサーで向きを判別して逆向きのワークが加工されないようにした。パイプを曲げる際の油は刷毛塗りからオイルジェッターに変更した。機械導入後は試作テストを行い、材料の自動供給とロボットによる加工品排出が問題なく稼働することを確認した。

加工機CNCパイプベンダー
その他材料自動供給装置
ロボットマテハンロボット
検査測定接触式センサー
検査測定画像センサー
その他オイルジェッター

事業の効果

  • 年間作業時間 1,920時間/年→144時間/年
  • 加工可能なパイプ径 8mm→15mm

パイプセット確認センサーの導入により、人由来だったばらつきが±0.3mmまで精度が向上・安定化し、画像センサーによる誤加工防止と合わせて不良発生はなくなり歩留まり100%を達成した。自動化と工程改善により全数検査を廃止でき、余剰人員を付加価値の高い業務に再配置できるようになった。ステンレス管や鋼管など強度の高い材料の曲げ加工を行う生産体制が整い、小ロット多品種の案件も効率化された。その結果、企業全体の生産性が向上し業界での優位性が高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    新冷媒対応の規格変更と高強度配管需要への対応が急務と述べられ、従来機の限界から導入の必要性はうかがえるが、過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    空調業界の自然冷媒移行と製品コンパクト化による高精度要求が述べられ、大手メーカーへの採用実績もあるが、競争優位の根拠は数値で示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    課題として高強度材の曲げ不可と精度ばらつきを挙げ、CNCパイプベンダー導入と自動化で解決する方針が具体的に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    年間作業時間1,920時間から144時間への削減見込み、精度±0.3mm、歩留まり100%など数値目標と成果が示されている。

  • 事業を進める体制2

    試作テストの実施や営業技術課の係長が事業を担ったことはうかがえるが、人材や事務処理体制の具体的な確保内容は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大手空調メーカーへの採用実績と高強度・高精度品への需要は読み取れるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    試作テスト、材料自動供給、画像センサー導入などの工程は述べられるが、中長期の検証やスケジュールは具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    自然冷媒向けの強度の高い配管加工を自社で可能にした点はうかがえるが、分野の普及度や高価格化の数値は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    空調機器の環境対応という社会的背景はうかがえるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    作業時間の大幅削減や歩留まり100%など効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    画像センサーや自動供給の導入はうかがえるが、サプライチェーンやイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    沼津市の地域企業であることは示されるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新たな生産体制で多様な市場ニーズに対応していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。