ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

卸業の業務範囲を拡充し、鋼材の切削工程の拡充及び穴あけ工程の新設

広田鋼業株式会社

この事例のポイント

  • 綾部工場で切削を行っていたため、売上の大半を占める本社エリアの京都南部の取引先への配送に時間がかかっていた。
  • 本社に「切削・穴あけの一貫ライン」を設置し、発注の多い鋼材、パイプの加工を対象とした。
  • 納入先業界の人材不足もあり、予想を超える受注があった。

事業者のプロフィール

事業者名広田鋼業株式会社
所在地京都府 京都市南区
業種金属製品製造業
従業員数23人
資本金1億円
設立1961年

事業の背景

当社は昭和36年創業で、京都本社、福知山営業所、綾部工場の3か所を拠点に、鋼材料全般と二次製品(鋼板、鋼材、パイプなど)を様々な業界のものづくり企業に納入する鋼材卸業者である。納入先の最終製品は機械部品、電車、車両部品、医療機器部品など多岐にわたり、それぞれのニーズに応じたきめ細かな対応が求められている。近年の鋼材価格上昇等の影響で納入先メーカーも利益が低下しており、切削など付加価値の低い前工程を外注したいというニーズがあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程綾部工場で切削を行っていたため、売上の大半を占める本社エリアの京都南部の取引先への配送に時間がかかっていた。
  • 生産能力切削だけでなく穴あけまで一括して対応してほしいという取引先からの要望が増えていたが、対応できていなかった。
  • 人手・技能取引先のメーカーでは人材不足が進み、人件費削減や材料ロス削減が喫緊の課題となっていた。

やったこと

本社に「切削・穴あけの一貫ライン」を設置し、発注の多い鋼材、パイプの加工を対象とした。切削はバンドソー加工とし、鋼材、パイプの切断を行う高精度のバンドソーマシンを導入した。このバンドソー加工は綾部工場で既に実績とノウハウのあるものである。穴あけ加工には新規にNC加工機を導入し、納入先の設計図をパソコンで読み込んで、標準品でない場合にも対応できるようにした。機械の操作は容易なものを選び、作業要員として新人2名を配置して育成を図った。

加工機高精度のバンドソーマシン
加工機NC加工機

事業の効果

納入先業界の人材不足もあり、予想を超える受注があった。迅速な対応に努めた結果、取引先が新規取引先を紹介してくれる好循環が起こり、年間受注は1割増えた。受注の半分は鋼材、パイプの切削、穴あけによるもので、残りの半分は波及した鋼板の受注であり、切削、穴あけが呼び水となって関連購買の効果もあった。卸業が部材の下拵えを担うことで、納入先は付加価値の高いコア業務に集中でき、当社の価値も高まり更なる受注増が期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和36年創業の鋼材卸で、切削は綾部工場で既に実績とノウハウがあり、その延長として穴あけ加工を拡充している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    京都府内で穴あけに対応できる中小卸は数社のみとされ、既存の加工ネットワークを生かして差別化する方針が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    納入先の利益低下や人件費・材料ロスの課題を認識し、切削・穴あけの一貫対応で付加価値を高める計画になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間受注が1割増えた結果は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、読み取りは限定的である。

  • 事業を進める体制3

    新人2名を配置して育成を図ったと書かれているが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    京都南部の既存取引先に切削・穴あけを新たに提案し、小物領域・多品種少量・1、2本から対応する点が示されている。

  • 事業化までの道筋2

    全国販売は次の企画として触れられているが、遂行方法や時期、課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    穴あけ対応できる事業者が少ない中で差別化を図るとされるが、高付加価値化や高価格化の水準は数値で示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    サプライチェーン内で卸が部材の下拵えを担い、納入先の人材を高付加価値業務に集中させる効果が、鋼板受注の増加とともに示されている。

  • 費用対効果2

    受注1割増という効果は示されているが、投入額と付加価値増加の関係を示す数値はなく、費用対効果は判断しにくい。

  • イノベーションへの貢献3

    NC加工機で納入先の設計図をパソコンで読み込む方式が示されており、デジタル活用の要素は一部うかがえる。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    卸業の付加価値を高めるビジネスモデルの構築とされるが、市場成長分野への進出や構造転換との関係は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    京都府内や京都南部の既存取引先に密着し、地域の納入先へ迅速に応える地域密着型の事業であることが示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は全国販売に向けて当社独自の販売システムを工夫する計画である。小物領域に絞り、多品種少量で価格をリーズナブルにし、1、2本から対応できる体制で差別化を図り、全国のニーズに応えていく考えである。

事業者の声

お客様のすぐに買えないことを極力なくしたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。