ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

電気自動車向け新規試作品の受注による販路の拡大

株式会社波多野製作所

この事例のポイント

  • 既存設備ではねじが短すぎて金型への材料の受け渡しが構造上安定せず、品質が安定しないという問題があった。
  • 強度を保ちつつねじの短小化を図るため、株式会社中島田鉄工所製の「マイクロフォーマーMF140」を導入した。
  • 電気自動車向けの軽量化された極小ねじの試作を進め、既に何種類かを製造・販売している。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社波多野製作所
所在地京都府 綾部市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数25人
資本金1億円
設立1937年

事業の背景

弊社は大手ねじメーカーのOEM事業を行っており、自動車や家電、OA機器関連のねじを生産している。近年は自動車関連のねじの割合が増加し、全体の50%以上を占めている。自動車には2000〜3000点のねじが使用されており、弊社は大量の生産設備を用いた多品種小ロット同時生産と厳しい品質基準により、安定的に高品質なねじを提供してきた。EUでは2035年にガソリン等を用いる内燃機関車の新車販売を禁止するなど、世界市場ではEV自動車へのシフトが見込まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存設備ではねじが短すぎて金型への材料の受け渡しが構造上安定せず、品質が安定しないという問題があった。
  • 新製品・新技術電気自動車向けの軽量化された極小ねじは、保有設備では対応できない高付加価値の超短寸ねじであり、製造できる設備が必要だった。
  • 販路・情報発信自動車関連のねじの割合が増加する中で、自動車産業界への販路拡大を図る必要があった。

やったこと

強度を保ちつつねじの短小化を図るため、株式会社中島田鉄工所製の「マイクロフォーマーMF140」を導入した。導入設備は独自の「フィンガレス搬送機構」により1mm程度の極短材料の加工も可能で、2mm程度のねじを安定生産できる構造である。発売から10年未満の新型機で生産継続が見込まれ、使用工具も少なくコストメリットも見込めることから、設備選定の基準を満たしていた。金型は設備メーカーの協力を得て設計・製作し、公差内に収まるよう仕上げた。ねじは製品ごとの材質や大きさに応じて微細な調整が必要なため、設備メーカーの指導を受けてノウハウを迅速に取得した。既に何種類かのEV自動車向け軽量化極小ねじの試作、製造・販売を行い、品質面でも問題がないことを確認している。

加工機マイクロフォーマーMF140

新しい製品・サービス:電気自動車向けの軽量化された極小ねじ

事業の効果

電気自動車向けの軽量化された極小ねじの試作を進め、既に何種類かを製造・販売している。品質面でも問題がないことが確認されている。導入した設備により、これまで困難だった極小・極短のねじを安定して生産できるようになった。今後は導入設備を増設して量産体制を築くとともに、試作段階からの提案営業と技術者の育成に取り組む予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    既存の大手ねじメーカーOEMや自動車関連ねじの割合50%超など、これまでの事業との連続性が具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車産業に着目し電動車向け軽量化ねじへ参入する方針は読めるが、市場動向と自社の強みを比較した記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    既存設備では短すぎるねじが安定生産できず品質が不安定という課題を認識し、超短寸ねじ対応の設備導入で解決する流れが具体的。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加率や賃上げの目標数値は示されておらず、実現可能性を数値で判断できる記述はない。

  • 事業を進める体制4

    設備メーカーの指導で迅速にノウハウを取得し、金型設計を協力会社と進めるなど、遂行体制の記述がある。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    EV向け軽量化のため8~20mmを6mm以下に短縮する需要と、試作品の製造・販売実績が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    技術者育成や設備の共有など今後の課題は挙がっているが、スケジュールや解決方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    極小・極短ねじは高付加価値だが、同分野での普及度や高価格化の水準を示す数字は書かれていない。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    EV化による部品点数減少や軽量化需要など外部環境には触れるが、国が補助する理由としての波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    EV向け軽量化ねじという新分野への取組はうかがえるが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    EV自動車へのシフトに対応する分野への進出が書かれており、成長分野への参入という方向性は読み取れる。

  • 地域経済への波及2

    綾部市の立地や地域の経済成長への寄与を示す記述はなく、地域性はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は導入設備を増設して量産体制を築き、試作段階からの提案営業と技術者の育成に取り組む。

  • 目標:自動車関連のねじの割合は全体の50%以上を占めるまで増加した

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。