ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

細菌検査体制の高度化による安心・安全な京都伝統の味噌づくり

株式会社本田味噌本店

成果微生物検査の所要日数 14日→2日

この事例のポイント

  • 取引先から味噌の微生物管理について厳しい要求があるが、完成品のみで行っていた微生物検査では生産工程のどこで微生物が発生したかを特定しにくかった。
  • 微生物検査を自社で行えるよう専用設備を導入し、2019年12月に設備を入れて翌年1月にテスト稼働を開始した。
  • 微生物検査の所要日数 14日→2日。微生物検査を内製化し、生産工程の複数箇所で検査できるようになったことで、発生原因を工程ごとに特定し、殺菌や洗浄方法を改…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社本田味噌本店
所在地京都府 京都市
業種食料品製造業
技術分野バイオ
従業員数98人
資本金1.5億円
設立1950年

事業の背景

天保元年創業の味噌店で、西京白味噌を主力とし、白みそ(淡色系甘みそ)の分野では日本最大のシェアを持つ。年間生産規模は約4,000トンで、取引先は一般消費者、百貨店、外食関連企業、商社、食品加工メーカーなど多岐にわたる。食肉加工メーカーなどから味噌の微生物数値を厳格に管理した安定供給が求められていた。国内外で和食の魅力が見直され、味噌の輸出や訪日外国人による日本食消費の増加が見込まれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度取引先から味噌の微生物管理について厳しい要求があるが、完成品のみで行っていた微生物検査では生産工程のどこで微生物が発生したかを特定しにくかった。
  • 納期・工程微生物検査を外部機関に委託しており、検査に14日程かかっていたため、取引先ごとの多様な要望に迅速に応えられず失注の恐れがあった。
  • 人手・技能アルコール濃度・食塩濃度の検査は手作業で専門知識を持つ従業員2名が従事する必要があり、人手がかかっていた。

やったこと

微生物検査を自社で行えるよう専用設備を導入し、2019年12月に設備を入れて翌年1月にテスト稼働を開始した。導入したのは高圧蒸気滅菌器、卓上多本架遠心分離機、純水製造装置、バイオクリーンベンチで、検査培地の研究や制菌に有効な設備洗浄方法の確立を重ねて検査体制を整えた。あわせてアルコール濃度の測定にガスクロマトグラフ、塩分濃度の測定に電位差自動滴定装置を導入し、従来手作業だった検査を自動化した。これにより検査精度は±0.3%から±0.1%に向上し、非専門家1名で対応できるようになった。

その他高圧蒸気滅菌器
検査測定卓上多本架遠心分離機
その他純水製造装置
その他バイオクリーンベンチ
検査測定ガスクロマトグラフ
検査測定電位差自動滴定装置

新しい製品・サービス:米麹による白味噌の甘さを活かしたスープやパスタソース、西京白味噌を使った洋風レシピ、味噌風味のスイーツ、京都産の米と大豆を使った新商品。

事業の効果

  • 微生物検査の所要日数 14日→2日
  • 検査精度 0.3%→0.1%
  • 検査従事人数 2人→1人

微生物検査を内製化し、生産工程の複数箇所で検査できるようになったことで、発生原因を工程ごとに特定し、殺菌や洗浄方法を改善して製品の衛生レベルが向上した。検査日数が大幅に短縮され、検査結果を迅速に工程改善へ生かせるようになり生産性も大きく向上した。取引先の多様な食の安全への要望に対応できるようになり、受注増加に貢献した。検査に従事していた専門家は他の業務に回せるようになり、生じた余力を新商品開発に充てられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業1830年の味噌製造から、微生物検査の内製化や西京白味噌の高度処理技術へと一貫した強みを示し、事業との整合が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    白みそ国内シェア日本最大、微粒味噌は高度処理技術でしか作れないと差別化を具体的に示し、強みと優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    取引先の微生物管理要求を課題として挙げ、検査体制の内製化で検査日数を14日から2日に短縮した具体策が書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    検査精度を±0.3%から±0.1%へ、検査日数を14日から2日へ改善する数値目標と結果が示されているが、付加価値額や賃上げの目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制4

    専門家2人を検査担当へ転配し、非専門家1名で対応可能とした人員配置が示され、体制確保が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    取引先の微生物管理要求や食の安全への関心が背景として書かれるが、顧客ターゲットの裏付けは定性的な記述にとどまる。

  • 事業化までの道筋4

    2019年12月導入、翌年1月テスト稼働、検査培地研究や洗浄方法の検証を重ねたと段階的な進め方が書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    京味噌や白みそのシェアは示されるが、微粒味噌の高付加価値化を示す価格水準の数字は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    味噌の輸出増加や訪日客の日本食消費増加がうかがえるが、国が補助する積極的理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    検査日数の短縮や受注増加への貢献は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    検査の自動化や生産工程の見える化はうかがえるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    味噌の海外需要増加や新市場開拓の機会に触れるが、日本経済の構造転換に資するとは書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統的な味噌造りや綾部工場の立地が書かれるが、地域の雇用や経済成長への効果は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2020年8月にバイオ燃料を得る設備とFSSC22000の認証を取得した新工場「丹場醸房」を綾部市に開設し、固有の職人技をデジタル化して次世代に伝える仕組みを整える。国内向けに加え海外進出も視野に入れ、取引先の要望に応じた商品づくりを進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。