ものづくり補助金平成30年度製造業佐賀県

溶接ロボットシステム導入による作業員不足解消生産性も上げて受注増に

株式会社日商機材

成果骨格づくりの時間(1枚あたり) 120分→50分

この事例のポイント

  • 溶接作業員の不足が深刻で、溶接工程に最低3人は必要だが今はギリギリの人数で回している。
  • 溶接に特化した片持ちアーム構造でコンパクトなフレーム溶接ロボットシステムを導入し、治具にセットした鋼材を効率よく製品化できるようにした。
  • 骨格づくりの時間(1枚あたり) 120分→50分。溶接加工の自動化により、熟練溶接作業員がいないときでも容易に作業できるようになり、経験の浅い作業員による溶接忘れや仕上…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社日商機材
所在地佐賀県 佐賀県鳥栖市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数30人
資本金8,400万円
設立2013年

事業の背景

2013年に仮設ハウス販売の㈱日商販売のグループ会社として設立され、2017年から日商販売グループ向けの仮設ハウスを製造する工場として再スタートした。主力はユニット式仮設ハウスで、主な取引先は㈱日商販売と㈲日商レンタルである。㈱日商販売の全国的な販売網を背景に受注量・売上高は大きく伸びており、大手顧客との提携により当面は受注増加が見込まれている。一方で生産現場は人手不足が続いている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能溶接作業員の不足が深刻で、溶接工程に最低3人は必要だが今はギリギリの人数で回している。
  • 品質・精度不慣れな若手溶接員による溶接忘れが見られ、そのたびに熟練工による確認作業が必要になり、ハウス1棟の完成に時間がかかっている。
  • 人手・技能溶接技術の習得には約5年かかるとされ、溶接作業員のなり手を見つけにくい。
  • 生産能力他業界向けの部品製造工場を増設する計画があり、一人の溶接員の負担が増えると残業が増え、納期遅れも懸念される。

やったこと

溶接に特化した片持ちアーム構造でコンパクトなフレーム溶接ロボットシステムを導入し、治具にセットした鋼材を効率よく製品化できるようにした。「1400 G3」を2台、「1800 G3」を1台購入した。床骨格と屋根骨格は、「1400 G3」2台を左右に並べてその間に治具を置き、長さ5mのレール上を溶接ロボットが移動しながら加工する。妻骨格は、アームの長い「1800 G3」を治具の中心に据えて360度回転させながら加工する。これにより溶接加工が自動化され、高効率、高精度、高品質での加工が実現した。

ロボット溶接ロボット「1400 G3」(2台)
ロボット溶接ロボット「1800 G3」(1台)

事業の効果

  • 骨格づくりの時間(1枚あたり) 120分→50分

溶接加工の自動化により、熟練溶接作業員がいないときでも容易に作業できるようになり、経験の浅い作業員による溶接忘れや仕上がりの個人差という課題も解消された。スパッターの発生も低減し、発生した場合の除去時間は手作業の数倍早くなった。骨格づくりの時間は約6割削減されて残業時間が減り、ロボットは正確で均一に加工でき休憩なしで作業できるため、熟練作業員の負担軽減や省力化、低コスト化、生産性向上につながり、作業員不足をカバーして稼働率向上に向けた体制が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    仮設ハウス製造の事業拡大と溶接自動化の経緯は読めるが、経営戦略上の位置付けを明示する記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    受注量・売上の増加や大手顧客との提携は書かれているが、競争優位を示す市場分析は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決5

    溶接員が最低3人必要で不足が深刻と課題を明示し、骨格づくりを2時間から50分に短縮し作業時間を約6割削減と数字で示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    作業時間を約6割削減し残業が減ったと具体的な効果が書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    熟練工不足を補う体制整備に触れるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    即納・設置が可能な強みや多品種少量生産への配慮はあるが、ターゲットとニーズの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    多品種対応のプログラム変更や人手削減が今後の課題とあるが、遂行スケジュールや解決方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    ユニット式仮設ハウスの製造で、一般的な普及度や高付加価値化の水準は事例からはうかがえるにとどまる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    溶接技術者不足や外国人作業員の技術流出リスクに触れ、人材確保の課題は示されるが、波及効果の記述は薄い。

  • 費用対効果4

    作業時間を約6割削減し残業減・稼働率向上につながったと効果が数字で示され、費用対効果を一定程度読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    ロボットによる溶接自動化は書かれているが、先端デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    佐賀県鳥栖市の立地や地域の雇用創出への言及は乏しく、地域特性を活かした記述はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

溶接加工の自動化を今後も進めたいと考えているが、製品仕様ごとにプログラムを変える必要があり多品種少量生産との兼ね合いも課題である。人手が必要な部分をどう減らすか、また外国人作業員の技術定着や労働環境の改善も必要と考えており、公共工事の需要の波に備えて海外も視野に販路を確保していく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。