ものづくり補助金平成24年度鳥取県

膜タンパクを標的とした医薬品探索研究に有効な発光細胞及びマウスの開発

株式会社ジーピーシー研究所

この事例のポイント

  • 任意の膜タンパクの活性化状態をリアルタイムでモニターできる発光細胞及びマウスを試作・評価した。
  • 膜タンパク質が光る研究ツールとして、投与した薬や化学物質の到達場所や薬効を発光の強弱で見ることができる可視化システムを開発した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ジーピーシー研究所
所在地鳥取県 米子市
業種学術・開発研究機関
技術分野発酵

事業の背景

当社は鳥取大学発のベンチャー企業として設立され、遺伝子組み換え技術を用いて医薬品開発等に役立つソリューションを提供している。発光タンパク質を応用した分子イメージング技術を中核に、創薬開発や機能性成分の探索研究に有用な基盤技術を作出・提供している。遺伝子工学、ゲノム解析、発光蛍光技術、動物実験など複数のバイオ領域の専門家が連携し、顧客の研究開発を支援している。

課題と取り組み

やったこと

任意の膜タンパクの活性化状態をリアルタイムでモニターできる発光細胞及びマウスを試作・評価した。Bアレスチン発光システムを構築し、目的の細胞を得るために多数のクローンを解析したうえで、マウスHPRT遺伝子領域への導入に成功した。発光細胞の機能評価に必要な発光ベクターは構築を完了した。発光システム導入前のmES細胞でキメラマウスを作製することに成功し、発光システム保持マウスの作製に向けた技術面の準備を整えた。マウス肥性幹細胞への遺伝子導入にNucleofector 2b、細胞数の計測にLuna自動細胞計数装置、細胞や受精卵の保存に生物試料保存用液体窒素容器を導入した。

新しい製品・サービス:任意の膜タンパクの活性化状態をリアルタイムモニターできる発光細胞及びマウス

事業の効果

膜タンパク質が光る研究ツールとして、投与した薬や化学物質の到達場所や薬効を発光の強弱で見ることができる可視化システムを開発した。このシステムを導入した細胞やマウスを製薬企業や研究機関に販売している。さらに、生物の約24時間のリズムである体内時計の変化を発光強度で測定し、リアルタイムで解析する技術も開発した。この技術は、リズム障害や睡眠障害、社会的時差ボケを改善する医薬品シーズや機能性食品成分の探索研究に活用されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    顧客とニーズの裏付け製薬企業を主なユーザーとし、膜タンパクの活性化状態を発光の強さで測定できる点など、製品の価値と顧客ターゲットが具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値発光タンパク質を用いた膜タンパク活性化のリアルタイムモニター技術や体内時計のリアルタイム解析は、従来測定困難だったとされ新規性が具体的に示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性公開事例では製薬企業への提供を想定と書かれるのみで、市場動向や競合に対する自社の優位性の分析は読み取れない。
経営戦略との整合性2.3
  • これまでの取組との一貫性3

    鳥取大学発ベンチャーとして発光タンパク質の分子イメージング技術を中核に事業を続けており、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明記は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    公開事例では製薬企業への提供を想定と書かれるのみで、市場動向や競合に対する自社の優位性の分析は読み取れない。

  • 課題の認識と解決2

    課題としては膜タンパク標的の探索効率化が示されるが、高付加価値化や成長につながる事業計画の具体的記述はわずかにうかがえる程度。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標数値は書かれておらず、サービス開始時期が事業終了3年目と示されるのみで実現可能性の数値根拠は薄い。

  • 事業を進める体制3

    遺伝子工学、ゲノム解析、動物実験などのスペシャリストが連携する体制が記載され、人材面の体制は読み取れるが人数等の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    製薬企業を主なユーザーとし、膜タンパクの活性化状態を発光の強さで測定できる点など、製品の価値と顧客ターゲットが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    研究開発の継続、性能評価と技術標準化、事業終了3年目のサービス開始という流れは示されるが、課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    発光タンパク質を用いた膜タンパク活性化のリアルタイムモニター技術や体内時計のリアルタイム解析は、従来測定困難だったとされ新規性が具体的に示されている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    体内時計の乱れによるリズム障害や睡眠障害の医薬品シーズ探索に役立つと記載され、社会的意義はうかがえるが波及効果の数値は薄い。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    遺伝子組み換え技術による発光細胞・マウスの開発という新技術の活用は読み取れるが、サプライチェーンへの貢献の記述は薄い。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    医薬品開発の効率化への寄与は示されるが、日本経済の構造転換に資する成長分野としての位置付けは直接的には読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    鳥取県米子市の本社と鳥取大学発ベンチャーという地域性はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への貢献の記述はわずか。

今後の展望

当初予定していた研究開発を継続し、開発したマウスの性能評価と技術の標準化を進める。事業終了3年目に、医薬品開発を行う国内外の製薬企業へサービスを開始する計画である。

事業者の声

今回の研究では、蛍光・発光タンパク質の応用し、膜タンパク質が光る研究ツールの開発に成功しました。これにより、投与した薬や化学物質がどこに到達したのか、またその薬効等を発光の強弱で見ることができる「可視化システム」の開発が可能になりました。この可視化システムを導入した細胞やマウスを製作し、製薬企業や研究機関に販売しています。今回の可視化システムを活用し、生物が持つ約24時間のリズム「体内時計」の変化を発光強度の変化によって測定できる技術を開発しました。この技術を用いることで体内時計に作用する化合物等の効果やその投与タイミングを検証することが可能です。さらにこの技術では、これまで測定することが困難であった体内時計のリアルタイム解析が可能になりました。今回の可視化システムを導入した体内時計のリアルタイム解析技術は、体内時計の乱れによるリズム障害や睡眠障害、社会的時差ボケを改善する医薬品シーズや機能性食品成分の検索研究に役立てられています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

北海道平成24年度

装着型高照度光照射装置の開発

睡眠習慣の改善や季節性感情障害の緩和を目的に、装着型高照度光照射装置「ルーチェグラス」を開発した。

北海道平成24年度

高機能性発酵タマネギ味噌の開発

農学博士の西村弘行氏の指導を受け、タマネギに含まれるケルセチン配糖体が米麹由来の酵母の働きでケルセチンに変わる点に注目した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。