ものづくり補助金平成24年度島根県

航空機、エネルギー関連向特殊鋼素材製品の高付加価値、効率化加工

馬潟工業有限会社

この事例のポイント

  • 航空産業からの受注に向けて生産体制を増強する必要があった。
  • 同時5軸複合旋盤を導入した。
  • 導入した同時5軸複合旋盤により、大型難削材の加工能力が増強された。

事業者のプロフィール

事業者名馬潟工業有限会社
所在地島根県 松江市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数40人
資本金1,000万円
設立1975年

事業の背景

同社は、島根県が中心となって組織されたSUSANOOに参加し、航空関連産業からの受注を目指している。主力はエネルギー関連の大型プラント用素材の中・大型加工品で、難削材と呼ばれる加工が難しい素材の特殊加工を得意としている。航空部品はインコネルやチタン合金などの難削材を多く使い、大型部品を精密に加工できる企業は国内でも限られている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力航空産業からの受注に向けて生産体制を増強する必要があった。
  • 生産能力大型難削材の加工は時間がかかることがあり、高付加価値化の手法を見出す必要があった。
  • コスト・採算小さな加工でも旋盤からフライス盤へ移動が必要で、段取り時間が大きかった。
  • 人手・技能複合旋盤の使用経験のある社員がおらず、操作経験を積む必要があった。
  • 新製品・新技術難削材加工には特殊な刃具と独特な加工条件を見つける必要があり、刃物選定と加工技術の習得が求められた。

やったこと

同時5軸複合旋盤を導入した。従来は小さく簡単な加工でも旋盤からフライス盤へ移動させており、大幅な段取り時間がかかっていたが、この複合旋盤により無駄な段取りを省くことが可能になった。複合旋盤のミーリング機能の能力を確認するとともに、社員の操作経験を積んだ。今まで経験した加工物で機械操作訓練と試作加工を行い、刃物によっては大きすぎて機械内部の干渉が発生したため、剛性を持った特殊な工具が必要だと分かった。

事業の効果

導入した同時5軸複合旋盤により、大型難削材の加工能力が増強された。段取りの排除と加工順位の再構築により、難易度の高い加工でも高い付加価値で受注できるようになった。機械の特性を活かした工程を設定でき、受注品の工程効率化が図れた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性エネルギー関連部品の加工実績を活かし航空産業へ展開する計画で、既存技術との一貫性と新事業の柱としての位置付けが明確。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、高付加価値化の実現可能性を数値で示していない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    エネルギー関連部品の加工実績を活かし航空産業へ展開する計画で、既存技術との一貫性と新事業の柱としての位置付けが明確。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    難削材の大型荒加工を得意とし、航空部品の難削材需要に対応できる強みを示している。競争優位の数値的裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決3

    段取り替えの多さという課題を認識し、同時5軸複合旋盤導入で工程を省略する実効的な対策を計画している。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、高付加価値化の実現可能性を数値で示していない。

  • 事業を進める体制3

    社員の操作経験の蓄積や加工ノウハウ、試作加工による訓練を行う体制が記載されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    航空機産業からの受注ニーズに対応する高精度加工を提案する方針が示されているが、顧客ターゲットの整理は簡潔。

  • 事業化までの道筋3

    干渉問題の発見と剛性を持つ特殊工具の必要性を認識し、加工プログラムやシステム構築を進める段階的な計画がある。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    インコネルやチタン合金などの難削材で大型精密部品を加工できる企業は国内で限られると述べ、高付加価値性を示している。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    島根県が推進する航空機関連受注の取組に参画し、地域の新たな産業振興につながる点が示されている。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値的な費用対効果の記載がない。

  • イノベーションへの貢献3

    同時5軸複合旋盤と加工プログラム作成システムを導入し、航空産業のサプライチェーンへの参入を図っている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    エネルギー産業から航空機産業への進出を図り、成長分野への事業転換を目指す計画になっている。

  • 地域経済への波及3

    松江市の地元企業として島根県の産業振興策に参画し、地域の雇用と技術力を活かす事業となっている。

今後の展望

航空機産業からの受注体制は整いつつあり、今後は具体的な受注品を想定した加工プログラム作成のためのシステムを構築中である。製品実現技術を磨く必要があり、既存のエネルギー関連難削材加工を通じて機械の特性や工具の再検討も行っている。既存顧客と新規顧客に高付加価値加工を提案し、営業活動の拡大を図る。

事業者の声

導入した同時5軸複合旋盤により、今まで出来なかった加工の領域が拡大できました。既存顧客はもとより新規顧客獲得に向け、高付加価値加工を提案し営業活動の拡大を図っていきたいと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。