ものづくり補助金平成24年度広島県

ガスベント・ハングリー射出成形法を用いた高機能樹脂製品の製造ならびに市場獲得計画

株式会社山本製作所

成果ドライアイスショットブラスト洗浄を廃止

この事例のポイント

  • 現在の受注部品は重要保安部品に指定されており、物性強度と外観品質の高い水準が求められている。
  • 新工法であるガスベント・ハングリー射出成形法を可能とする電動式制御成型機を導入した。
  • ドライアイスショットブラスト洗浄を廃止。ガスベント・ハングリー式射出成形機の導入により、ドライアイスショットブラスト洗浄を廃止し、金型洗浄のコストを削減した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社山本製作所
所在地広島県 東広島市
業種プラスチック製品製造業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数86人
資本金1億円
設立1979年

事業の背景

株式会社山本製作所は広島県東広島市に本社を置くプラスチック製品製造業者である。ポリアセタール(POM)などエンジニアリングプラスチックの成形を行っており、POMは金型が汚れやすく、ドライアイスによる金型洗浄を頻繁に必要としていた。受注部品は重要保安部品に指定され、高い物性強度と外観品質が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度現在の受注部品は重要保安部品に指定されており、物性強度と外観品質の高い水準が求められている。
  • コスト・採算POMの成形で金型が汚れやすく、ドライアイスによる金型洗浄を頻繁に行う必要があり、コストと収益性の面で負担になっていた。
  • 生産能力成形時の揮発性ガスが金型表面に付着してシボを覆うため、外観品質を確保できなかった。

やったこと

新工法であるガスベント・ハングリー射出成形法を可能とする電動式制御成型機を導入した。射出前にシリンダー内の揮発性ガスを排出する仕組みで、金型への汚れ付着を防ぐ。新たな射出成形加工方法の調査、試作による金型汚れの確認(10,000ショットで汚れ発生なし)、成形機メーカーの選定と仕様検討、シリンダーメーカーとのシリンダー仕様検討を行った。その後、各設備の発注・製作・設置と動作確認・試作・量産を進め、性能試験で製品外観と製品強度の安定を確認した。

加工機ガスベント・ハングリー式電動射出成形機(電動式制御成型機)
加工機シリンダー(ガスベント・ハングリー式用)

新しい製品・サービス:新開発の植物樹脂材料による鏡面金型成形(塗装レス)

事業の効果

  • ドライアイスショットブラスト洗浄を廃止
  • ドライアイスショットブラスト洗浄のコストを削減

ガスベント・ハングリー式射出成形機の導入により、ドライアイスショットブラスト洗浄を廃止し、金型洗浄のコストを削減した。外観品質の要求レベルを確保でき、品質リスクが低減した。金型洗浄が不要となって収益性が改善した。新開発の植物樹脂の鏡面金型による成形で塗装レスを可能にし、新製品の受注が拡大した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    重要保安部品の受注を背景に射出成形機を導入し事業拡大を目指すとあるが、過去の取組との関係や経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    POMの金型汚れという課題を挙げ、他社ではできない高難度加工製品の受注に言及しているが、市場動向と自社の強みの分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    金型のドライアイス洗浄の廃止、コスト削減、品質リスク低減といった課題と目標が具体的に示され、解決手段との対応が読み取れる。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    収益性の改善や売上拡大を目標にしているが、数値目標は示されておらず、実現可能性の根拠も薄い。

  • 事業を進める体制2

    1台目導入の失敗リスク覚悟や性能試験の実施にはふれているが、人材や事務処理体制についての記述はうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    重要保安部品の物性強度と外観品質の要求に応えるという顧客ニーズと、10,000ショットで汚れなしという根拠が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    試作、成形機メーカー選定、発注、設置、動作確認、量産という工程が段階的に示され、1台目の失敗リスクにも言及している。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    POMの金型汚れ対策として新工法を導入し、植物樹脂の鏡面金型塗装レスで高難度加工を実現するなど、高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    自動車部品業界での新規分野進出や社会貢献への言及はあるが、経済波及効果や雇用創出の具体的な数字は示されていない。

  • 費用対効果4

    金型洗浄の廃止と洗浄コストの削減、2台目で23台中10台に導入したという数字から、費用対効果の一端が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    植物由来樹脂を地場で初めて成形したことはうかがえるが、サプライチェーン全体への貢献については触れられていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地場で植物由来樹脂の成形に成功したと記されており地域性はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への波及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成26年に2台目を導入し、現在は23台中10台がこの成形機になっている。製法特許を2件取得し、高難度加工製品の受注を拡大している。今後は自動車業界に限らず幅広い分野へ進出する方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。