ものづくり補助金平成24年度山口県

寝息解析デバイスを活用した睡眠ヘルスケアシステムの試作開発

株式会社医療福祉工学研究所

この事例のポイント

  • 従来の睡眠計測装置は身体にセンサー等を取りつけて計測するため、患者の負担が大きい。
  • まず専門家の助言を受けながら、低侵襲かつ効率的な計測方法の調査・検討を行った。
  • 従来は病院への入院が必要で、検査結果が出るまで約1週間かかっていた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社医療福祉工学研究所
所在地山口県 宇部市
業種その他のサービス業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数12人
資本金1,500万円
設立2004年

事業の背景

当社は山口大学発のベンチャーで、医療・福祉分野の機器やシステムの商品化・販売を行っており、主力は遠隔読影事業である。遠隔読影事業は契約医療機関から送られたCT・MRIなどの画像を山口大学の専門医が診断する仕組みで、売上は順調に伸びてきた。一方、睡眠時無呼吸症候群が原因の交通事故が社会問題となり、SAS患者向けの睡眠状態モニタリングのニーズが高まるなど、睡眠関連ビジネスの市場は年々増加している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他従来の睡眠計測装置は身体にセンサー等を取りつけて計測するため、患者の負担が大きい。
  • コスト・採算従来の睡眠計測装置による検査は高額である。
  • 品質・精度市販の簡易な睡眠計は体の動きや寝相によって測定結果に大きなずれが生じ、精度の高い検査には向かない。

やったこと

まず専門家の助言を受けながら、低侵襲かつ効率的な計測方法の調査・検討を行った。そのうえで、オープンソースのソフトウェアを活用し、従来品より睡眠状態を簡易かつ高精度に計測できる寝息計測用デバイスを試作・開発した。次に、計測デバイスで録音した聴音データをシステムサーバーへ送る携帯端末用のデータ収集アプリと、聴音データの管理・解析を行うWebサーバアプリケーションを設計・開発した。聴音データの解析方法は山口大学理工学研究科へ委託し、無呼吸症候群の検出アルゴリズムを作成した。最後に、試作したシステムの検証実験と評価を行い、専門家の助言も受けながら処理動作の改良とバグの修正を行った。

  • 検査測定寝息計測用デバイス
  • ソフトデータ収集アプリ携帯端末用Webサーバアプリケーション

新しい製品・サービス:睡眠健康管理システム(寝息計測による睡眠ヘルスケアシステム)

事業の効果

従来は病院への入院が必要で、検査結果が出るまで約1週間かかっていた。本事業で自宅での計測が可能となり、起床後すぐに計測結果が分かるシステムを試作・開発したことで、検査結果が出るまでの時間を短縮し、患者の肉体的・精神的負担を軽減できた。また、費用も従来の検査と比べて大幅に下げられると見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げに関する数値目標は書かれておらず、わずかに費用削減や時間短縮の方向性がうかがえる程度。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    遠隔読影事業など既存事業の延長として睡眠分野へ進出している旨は書かれているが、経営戦略上の位置づけは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    SAS増加や従来装置の身体負担・高額さ、簡易睡眠計の精度問題が挙げられ、市場課題は読み取れるが自社の強みとの関係は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    従来検査の入院や1週間の結果待ちという課題と、自宅計測・起床後即結果という解決策は示されているが、事業計画としての詳細は薄い。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げに関する数値目標は書かれておらず、わずかに費用削減や時間短縮の方向性がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    山口大学の研究室への委託や専門家の助言を受けた体制は書かれているが、社内の人員規模や事務能力の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    運輸業のドライバースクリーニングや在宅医療、介護など顧客候補は挙げられているが、選ばれる理由の整理は不十分。

  • 事業化までの道筋3

    今後の課題として操作簡略化や精度向上、データ収集の継続が挙げられ、事業化への流れは示されるが時期や方法は不明確。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    睡眠関連市場は年々増加傾向とあり成長分野だが、従来型より廉価で高精度という点の高付加価値性は具体的数値で示されていない。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    交通事故の社会問題化とSAS患者の見守りニーズに触れており、社会的必要性はうかがえるが経済波及効果の記述はない。

  • 費用対効果2

    費用を従来より大幅に下げられると考えているとあるが、補助金投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    録音した寝息の解析や携帯端末とサーバーを使うデジタル活用が示され、医療分野の新しい仕組みとしてうかがえる。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    睡眠ヘルスケアという成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は書かれていない。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

今後は計測時の操作の簡略化、機器の精度向上、計測結果の表示の分かりやすさ改善が課題である。運輸業界のドライバーのスクリーニング検査、在宅医療の状態モニタリング、介護現場の介護者疲労モニタリングや被介護者見守りサービスなどの市場を有望と考えており、展示会出展やモニター利用を通じてニーズを深掘りし、改良・追加開発と事業化を進める予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。