ものづくり補助金平成24年度山口県

樹脂金型の基礎知識を習得する教材用「スケルトンモールド」シリーズの開発

株式会社サン精機

この事例のポイント

  • 金型作りのノウハウが一部の熟練工にしか蓄積されておらず、技術の継承に危機感があった。
  • 透明金型教材「スケルトンモールド」として、実際の金型と同様の機能を持ち動きを確認できる装置システムを3種類製作した。
  • CAD/CAMソフトウェアの更新により製作にかかる時間を相当量短縮できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サン精機
所在地山口県 萩市
業種生産用機械器具製造業
技術分野位置決め
従業員数30人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

当社は昭和48年に工作機械部品の製造工場として発足し、各種金型の設計製作や半導体関係の治具設計製作を中心とする機械加工業を営んでいる。従業員は30名ほどで、精密治具や金型のほか、搾油機や椿油などの食用油脂まで幅広い製品を扱っている。医療機器や食品関係の部品加工・製造も行い、少数のメンバーで多くの事業を手掛けている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能金型作りのノウハウが一部の熟練工にしか蓄積されておらず、技術の継承に危機感があった。
  • 人手・技能経験の浅い金型職人は、金型が成形機の中でどのように機能するか理解しないまま製造に携わるケースが少なくなかった。
  • 人手・技能少数精鋭の体制で多くの事業を扱うため、金型部品事業に携わる人数が3名ほどに限られていた。

やったこと

透明金型教材「スケルトンモールド」として、実際の金型と同様の機能を持ち動きを確認できる装置システムを3種類製作した。製品は2プレートスライダ付金型(注射器成形)、3プレート金型(スプーン・フォーク)、3プレートスライダ付金型(コップ)の3種類である。既に受注生産していた試作品「クリアモールド」は内部構造が見えるよう透明アクリル樹脂で作られていたが、稼働が確認できないことや金型タイプが1種類のみであることへの改善要望があった。製作にあたっては約10年前に導入したCAD/CAMソフトウェアを更新して開発の効率化を図った。部品の透明化のため樹脂の鏡面加工をダイヤモンド等を用いた工具で行い、目標とする透明度に達した。

新しい製品・サービス:金型の内部構造と動きを視覚的に確認できる透明金型教材「スケルトンモールド」(3種類の透明金型装置)

事業の効果

CAD/CAMソフトウェアの更新により製作にかかる時間を相当量短縮できるようになった。当社の設計担当者も金型の仕組みを理解したことで、効率的な設計と品質管理が可能になった。一般社団法人日本金型工業会の展示会「インターモールド」に出展したところ多くの問い合わせを受け、大手メーカーや教育機関への販売実績も積んでいる。当社全体の市場競争力が底上げされた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性熟練工に依存する金型ノウハウと、CAD/CAMや鏡面加工などの自社技術を組み合わせ、3種類の透明金型装置を製作している。
  • 4
    課題の認識と解決金型技術の継承危機と経験の浅い職人の理解不足という課題を認識し、動く装置システム化で改善要望に応えている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け展示会で多くの問い合わせがあり、金型部品メーカーのデモ用途など新たなニーズも確認されたとの記述がある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値や賃上げの目標値は示されておらず、販売実績が積み上がっているとの記述にとどまる。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    金型部品事業の既存取組と金型の教材化が連続しており、クリアモールドの試作から本事業へ発展した経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    熟練工に依存する金型ノウハウと、CAD/CAMや鏡面加工などの自社技術を組み合わせ、3種類の透明金型装置を製作している。

  • 課題の認識と解決4

    金型技術の継承危機と経験の浅い職人の理解不足という課題を認識し、動く装置システム化で改善要望に応えている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値や賃上げの目標値は示されておらず、販売実績が積み上がっているとの記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    約30名の従業員のうち、金型部品事業に携わる人員を確保し、一般販売可能な生産・販売体制を組織したと書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    展示会で多くの問い合わせがあり、金型部品メーカーのデモ用途など新たなニーズも確認されたとの記述がある。

  • 事業化までの道筋3

    試作品へのアンケートを踏まえ、稼働確認と金型種類の追加を計画に取り入れ、今後の機能拡張も予定している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    金型の内部動作を見せる教材は一般的でなく、透明化の鏡面加工で目標透明度を達成し、3種類の製品を開発している。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    金型を扱う大手メーカーや教育機関への販売が進み、熟練工依存からの技術継承という社会的課題の解決に寄与している。

  • 費用対効果3

    CAD/CAMの刷新で製作時間を相当量短縮し、設計担当者の理解も深まり、当社全体の市場競争力が底上げされたとしている。

  • イノベーションへの貢献3

    CAD/CAMの刷新や、樹脂流動を目視できる装置の開発予定があり、金型業界の技術底上げへの貢献を掲げている。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    将来の日本の金型技術の底上げに貢献したいと述べているが、市場成長分野への進出という観点は明確でない。

  • 地域経済への波及2

    萩市の地域企業として事業を営むが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済への効果は具体的に書かれていない。

今後の展望

様々な製品形状・サイズへの特別注文に素早く対応できる体制作りを急いでいる。実際の樹脂が金型内を流動して製品が成形される工程を目視できる装置も開発予定である。今後は大手メーカーが中心の注文を、日本全国の中小企業や教育機関へも広げたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。