ものづくり補助金平成24年度愛媛県

コムギ無細胞系を用いた膜タンパク質を認識する抗体の試作品開発

株式会社セルフリーサイエンス

成果4つの膜タンパク質に対して1タンパク質あたり1000クローン以上の抗体を取得した

この事例のポイント

  • 膜タンパク質の調製そのものが難しく、構造を保持した抗原を作ることが困難であった。
  • 自社の無細胞タンパク質合成液にリポソームを加え、リポソームの種類や濃度、大きさの条件を検討して最適な合成条件を試行した。
  • 4つの膜タンパク質に対して1タンパク質あたり1000クローン以上の抗体を取得した。超音波破砕機の導入により膜タンパク質の構造を保持したまま抗原として合成できるようになり、調製の課題が解決された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社セルフリーサイエンス
所在地愛媛県 松山市
業種学術・開発研究機関
技術分野真空
従業員数25人
資本金9,500万円
設立2002年

事業の背景

同社は愛媛大学発の小麦胚芽無細胞タンパク質合成技術を事業化するため2002年に設立された。主力は合成試薬「WEPRO」と全自動タンパク質合成装置で、大学・研究機関・製薬企業などが主要取引先である。膜タンパク質は重要な創薬ターゲットだが、質の良い構造認識抗体が作りにくく解析が遅れていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度膜タンパク質の調製そのものが難しく、構造を保持した抗原を作ることが困難であった。
  • 人手・技能効率的かつ構造認識で抗体を選抜できず、良品の抗体が市場に少なかった。

やったこと

自社の無細胞タンパク質合成液にリポソームを加え、リポソームの種類や濃度、大きさの条件を検討して最適な合成条件を試行した。これにより膜タンパク質の構造を保持したまま抗原として合成できるようにした。超音波破砕機を導入し、リポソームの調製に用いた。愛媛大学からアルファスクリーン法による抗体選抜方法を導入し、アルファスクリーン専用測定機器と超低温フリーザーを導入した。4つの膜タンパク質それぞれについて1タンパク質あたり1000クローン以上の抗体を取得し、選抜した抗体は超低温フリーザーで保管した。

新しい製品・サービス:膜タンパク質を認識する抗体の試作品

事業の効果

  • 4つの膜タンパク質に対して1タンパク質あたり1000クローン以上の抗体を取得した

超音波破砕機の導入により膜タンパク質の構造を保持したまま抗原として合成できるようになり、調製の課題が解決された。アルファスクリーン専用測定器と超低温フリーザーの導入により、高次構造を認識する抗体を選抜できるようになった。試作品開発では想定以上に良質な抗体が得られ、当初の予定どおり事業化を目指せるようになった。論文発表後は国内外の研究者からの反応が広がり、本格的な販売への兆しが見えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性愛媛大学から導入したアルファスクリーン法と独自の無細胞合成技術を組み合わせ、構造認識抗体を1タンパク質あたり1000クローン以上取得できる強みを示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け市場ニーズとして質の良い構造認識抗体の不足を挙げ、論文発表後に国内外の研究者から反応が広がっていると述べている。
  • 4
    新しさ・高付加価値膜タンパク質を認識する良品の構造認識抗体は市場に少なく、その供給を目指すと述べられている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標数値目標や売上見込みの記述がなく、事業化の時期や効果は『大きな事業になる可能性』など定性的な表現にとどまる。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    2002年設立の小麦胚芽無細胞タンパク質合成技術を基盤に、タンパク質合成試薬や装置事業を展開しており、本事業もその延長として位置付けられる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    愛媛大学から導入したアルファスクリーン法と独自の無細胞合成技術を組み合わせ、構造認識抗体を1タンパク質あたり1000クローン以上取得できる強みを示している。

  • 課題の認識と解決3

    膜タンパク質の調製難と抗体選抜の困難を2つの課題として整理し、リポソーム合成と選抜システムで解決する計画になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    数値目標や売上見込みの記述がなく、事業化の時期や効果は『大きな事業になる可能性』など定性的な表現にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    愛媛大学プロテオサイエンスセンターの支援を受け、試作品を開発した体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    市場ニーズとして質の良い構造認識抗体の不足を挙げ、論文発表後に国内外の研究者から反応が広がっていると述べている。

  • 事業化までの道筋3

    試作の経緯を示し、当初スケジュールどおり事業化を目指せると述べ、論文発表による営業活動の課題にも対応している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    膜タンパク質を認識する良品の構造認識抗体は市場に少なく、その供給を目指すと述べられている。

公的補助の必要性4.0
  • 波及効果・雇用4

    膜タンパク質は重要な創薬ターゲットだが解析が遅れており、良質な抗体の供給は創薬・生命科学の発展に資すると読み取れる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    アルファスクリーン法や無細胞合成技術を組み合わせた新しい抗体選抜の仕組みを構築し、創薬現場の課題解決に貢献し得る。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    バイオ産業の発展に貢献したいとの方針と、創薬分野への進出を示しており、成長分野への展開として読み取れる。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

同社の研究試薬、自動合成装置に続く第三の柱として、膜タンパク質の合成と抗体作製を大きな事業に育てることを検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。