ものづくり補助金平成24年度高知県

次世代高能率加工を実現するための動バランス調整装置商品化のための試作開発

株式会社坂本技研

この事例のポイント

  • 加工賃の半分以上が刃物代に消えてしまう状況が散見されるようになっていた。
  • 社内加工現場の作業者(社内ユーザー)に実験装置を使ってもらい、課題や問題点をユーザー視点で出してもらった。
  • 動バランス調整により振動が起こりにくくなり、刃物の過度な消耗がなくなり、回転数を上げて作業時間を大幅に短縮できる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社坂本技研
所在地高知県 南国市
業種生産用機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数25人
資本金1,500万円
設立1988年

事業の背景

当社は加工業を営み、五軸同時加工を得意としていた。チタン合金や耐熱合金などの難削材や難しい加工を要求されることも多かった。当時アメリカのツールメーカーが開発した動バランス調整装置はツールホルダのみを対象としており、刃物の動バランスまでは調整できなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算加工賃の半分以上が刃物代に消えてしまう状況が散見されるようになっていた。
  • 品質・精度難削材や難しい加工の要求が多く、切削時の動バランスが取れず振動が起き、刃物が過度に消耗していた。
  • 品質・精度試作した実験装置では、動バランス調整中に時間経過とともに測定結果が安定しなくなる問題があった。

やったこと

社内加工現場の作業者(社内ユーザー)に実験装置を使ってもらい、課題や問題点をユーザー視点で出してもらった。特に安全性と操作性に重点を置いた。社内の開発設計メンバーが問題点を解決するための計画図作成と装置設計を行い、部品を再設計した。装置製作のための原材料・部品の手配、組込み装置の手配を行い、組立・調整まで行って試作装置を製作した。マシニングセンタに取り付けるツールホルダと刃物を一体で動バランス調整できる立形装置とし、国内で広く使われるBT規格とHSK規格のツールホルダに対応させた。試作装置の安全性と操作性について評価を行い、外観や操作性も考慮した新しい装置とした。

新しい製品・サービス:ツールホルダと刃物を一体で動バランス調整できる立形動バランス調整装置

事業の効果

動バランス調整により振動が起こりにくくなり、刃物の過度な消耗がなくなり、回転数を上げて作業時間を大幅に短縮できる。本装置を取り入れた切削加工では、従来手法と比べて3〜5割の加工時間短縮が見込め、コスト競争力のある部品加工が実現できる。切削加工における加工時間の短縮化と振動低減により品質向上にも効果がある。難削材への加工に幅広く対応でき、国内製造加工業界の活性化に寄与する。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性アメリカ製はツールホルダのみ調整だったのに対し、刃物とホルダを同時調整できる独自装置とした点で強みが具体的に示されている。
  • 4
    課題の認識と解決加工賃の半分以上が刃物代に消える状況を課題とし、動バランス調整で加工時間を3〜5割短縮する解決策が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け国内製造加工業向けに難削材加工や新エネルギー分野への対応を想定し、顧客ターゲットと選ばれる理由が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献動バランス技術で振動低減と品質向上に寄与するとあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションは書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    加工業として五軸同時加工を得意とし、2010年頃から動バランス装置の開発に着手したと経緯が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    アメリカ製はツールホルダのみ調整だったのに対し、刃物とホルダを同時調整できる独自装置とした点で強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    加工賃の半分以上が刃物代に消える状況を課題とし、動バランス調整で加工時間を3〜5割短縮する解決策が示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間3〜5割短縮が見込めると記載があるが、売上や付加価値額の数値目標や賃上げ目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    社内の開発設計メンバーや社内ユーザーによる評価体制が書かれているが、人数や事務処理体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    国内製造加工業向けに難削材加工や新エネルギー分野への対応を想定し、顧客ターゲットと選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、評価、2015年の自社運用、再来年の販売開始という段階的な計画が書かれているが、詳細なスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ツールと刃物の同時動バランス調整という、同分野で高付加価値を図る独自性が示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    国内製造業の競争力強化や仕事の国内回帰、海外流出防止という国が支援する理由が述べられているが、経済波及の数値はない。

  • 費用対効果3

    加工時間3〜5割短縮という効果は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    動バランス技術で振動低減と品質向上に寄与するとあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションは書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    新エネルギー分野や産業機械分野への販路拡大が触れられているが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    高知県内や中四国の企業へ普及させる計画が示されているが、地域の特性を活かした雇用創出の記述は薄い。

今後の展望

2015年中は開発者が自社工場で試験的に使用しながら改良を進める。来年以降は自社工場で運用して意見を反映し、完成度を高める。再来年には高知県内や中四国の企業に向けて工法の普及と装置販売を始め、売上の拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。