ものづくり補助金平成24年度福岡県

回転機のレヤー絶縁劣化診断装置の開発

桑原電工株式会社

成果従来の診断事業の売上 9,700万円→20,000万円

この事例のポイント

  • インパルス電源とオシロスコープを別々に操作し、測定者がその場で二つの操作データを比較して放電信号かどうかを判断して保存していた。
  • 過去数年の九州工業大学との共同研究で確立したレヤー絶縁劣化診断法をもとに、診断システムを開発した。
  • 従来の診断事業の売上 9,700万円→20,000万円。診断システムの開発により、インパルス電源とオシロスコープの操作、測定、保存、その場でのデータ解析までが一体化した。

事業者のプロフィール

事業者名桑原電工株式会社
所在地福岡県 北九州市
業種電気機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数175人
資本金1,500万円

事業の背景

国内工場で稼働する高電圧回転機は約50万台あり、そのうち年間6,500台が絶縁診断を受けている。当社はその約15%にあたる年間970台の診断実績を持つ。レヤー絶縁診断を実施している会社はなく、ユーザーからも強く求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能インパルス電源とオシロスコープを別々に操作し、測定者がその場で二つの操作データを比較して放電信号かどうかを判断して保存していた。
  • 生産能力持ち帰ったデータの解析に数週間かけており、多くの時間と手間がかかっていた。

やったこと

過去数年の九州工業大学との共同研究で確立したレヤー絶縁劣化診断法をもとに、診断システムを開発した。位置標定アルゴリズムを活用し、レヤー絶縁劣化による放電発生位置を推定する部分放電モニタリングを構築して、評価時間の短縮と放電位置の推定を可能にした。インパルス電源では内部放電によるノイズ放電を抑制し、診断装置からのリモート操作による操作性を向上させた。二台のオシロスコープと診断装置の通信機能を使い、診断試験の制御とデータ処理を短時間で行えるようにした。実機の稼働中の回転機で測定データを増やし、絶縁破壊電圧の回帰式の完成度を高めた。さらにループセンサーを自社製作できるようになった。

  • 検査測定インパルス試験機DWX-20PDオシロスコープ2台

新しい製品・サービス:レヤー絶縁劣化診断装置(制御・保存・解析を一体化した診断システム)

事業の効果

  • 従来の診断事業の売上 9,700万円→20,000万円
  • レヤー診断事業の売上 0万円→10,000万円
  • 当社の占有率 15%→30%

診断システムの開発により、インパルス電源とオシロスコープの操作、測定、保存、その場でのデータ解析までが一体化した。これにより診断の高精度化と自動化が進み、時間が大幅に短縮された。他社にないレヤー診断を従来診断に加えて差別化でき、占有率の拡大と売上の増加が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内高電圧回転機約50万台、年間6,500台の絶縁診断のうち自社が15%を占め、他社にないレヤー診断で差別化する点が具体的。
  • 4
    課題の認識と解決診断事業の占有率を30%へ伸ばす目標と、従来診断売上9,700万円から5年後2億円とする数字が示され、課題と計画が対応している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標占有率15%から30%、従来診断売上9,700万円から5年後2億円、レヤー診断1億円など数値目標が明示され、実現性の根拠も一部ある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制開発体制や人材、事務処理能力に関する記述は見当たらず、センサー自社製作技術の習得が書かれる程度である。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    九州工業大学との過去数年の共同研究で測定法と評価手法を確立した経緯が書かれ、既存の取組からの継続性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内高電圧回転機約50万台、年間6,500台の絶縁診断のうち自社が15%を占め、他社にないレヤー診断で差別化する点が具体的。

  • 課題の認識と解決4

    診断事業の占有率を30%へ伸ばす目標と、従来診断売上9,700万円から5年後2億円とする数字が示され、課題と計画が対応している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    占有率15%から30%、従来診断売上9,700万円から5年後2億円、レヤー診断1億円など数値目標が明示され、実現性の根拠も一部ある。

  • 事業を進める体制2

    開発体制や人材、事務処理能力に関する記述は見当たらず、センサー自社製作技術の習得が書かれる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ユーザーから熱望されている点、他社にないレヤー診断、年間6,500台の市場規模など、ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    放電位置推定や電源の高精度化など課題への対応は書かれるが、スケジュールや中長期の検証方法は具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    レヤー絶縁劣化診断を実施している他社がないと書かれ、回転機の絶縁診断分野で新規性と差別化が具体的に示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    国内の高電圧回転機の保守に関わる点はうかがえるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は明記されていない。

  • 費用対効果3

    従来は2週間かけて解析していた作業を装置で一体化し時間短縮を図った点は読めるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    インパルス電源とオシロスコープの通信連携や自動化による診断の高度化は読み取れるが、サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    高電圧回転機の絶縁診断という既存分野の高度化であり、成長分野への進出や構造転換に資する記述はうかがえるにとどまる。

  • 地域経済への波及2

    九州の大学との共同研究や北九州市の企業である点はうかがえるが、地域の雇用や経済成長への言及は薄い。

今後の展望

5年後に従来の診断事業で2億円、レヤー診断事業で1億円の売上を見込み、当社の占有率を伸ばす計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。