ものづくり補助金平成24年度佐賀県

中子を利用した射出成形によるアンダーカット・中空形状のプラスチック製品の試作・開発

唐津化成株式会社

この事例のポイント

  • 通常の射出成形ではアンダーカット形状や中空形状の製品を成形できず、ブロー成形でも変肉形状の製品は作れない。
  • 水溶性樹脂の中子に使う材料として、材料メーカーから情報提供を受け、ニチゴーポリマーの6種類の材料から選定した。
  • 水溶性樹脂の中子を用いた射出成形により、中空形状や複雑なアンダーカット形状の試作品を完成させ、技術を確立した。

事業者のプロフィール

事業者名唐津化成株式会社
所在地佐賀県 唐津市
業種プラスチック製品製造業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数25人
資本金1,000万円

事業の背景

同社は佐賀県唐津市で射出成形によるプラスチック製品を製造しており、現在の売り上げは約1億円である。通常の射出成形やブロー成形では作れない形状があり、ポンプ羽根車のように溶着で組み立てている製品には強度面の課題があった。水溶性樹脂の中子を用いた射出成形は実用化の段階にあるものの、手掛ける成形メーカーは極一部に限られていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術通常の射出成形ではアンダーカット形状や中空形状の製品を成形できず、ブロー成形でも変肉形状の製品は作れない。
  • 品質・精度ポンプの羽根車は部品を超音波溶着して作っており、溶着部分の強度が問題となるケースがある。
  • 新製品・新技術水溶性プラスチックを中子に用いた射出成形は実用化段階にあるが、中子材料は開発段階のものも多く、解決すべき課題が残っている。
  • 販路・情報発信この分野を手掛ける成形メーカーは極一部に限られるニッチな分野であり、市場を拡大する必要がある。

やったこと

水溶性樹脂の中子に使う材料として、材料メーカーから情報提供を受け、ニチゴーポリマーの6種類の材料から選定した。製品部にはPC、PPE、PMMAなど性質の異なる材料を選定した。中子と製品の形状は既存の3次元CADで設計し、花瓶部品の中子用金型1面、花瓶部品の製品用金型1面、ポンプ用羽根車の中子・製品共用切り替え金型1面の計3面を外部の金型メーカーに発注して製作した。竪型射出成形機を導入し、まず中子を成形し、次に中子をインサートして製品部を成形するインサート成形を行った。成形中の不良は金型修正で解決し、中子の強度補強、位置決めピンの追加、空洞部の空気を逃がす穴の追加などを行い、射出圧力と成形温度の条件を見つけて目標の試作品を完成させた。

  • 加工機竪型射出成形機
  • 金型花瓶部品の中子用金型・製品用金型、羽根車の共用切り替え金型計3面

新しい製品・サービス:水溶性樹脂の中子を用いた、中空形状やアンダーカット形状のプラスチック製品(花瓶部品、ポンプ用羽根車など)

事業の効果

水溶性樹脂の中子を用いた射出成形により、中空形状や複雑なアンダーカット形状の試作品を完成させ、技術を確立した。中子は高温の温水で水流を確保すると除去が容易であることを確認し、材料データで六価クロムや鉛、カドミウムなどの有害物質が混入していないことも確認した。ポンプ部品と機械部品の分野では、溶着せず一体成形できる高強度の羽根車やアンダーカット形状のパイプなどで新たな市場を開拓できると見込んでいる。装飾雑貨の分野ではデザイン性の高い製品を開発できる可能性がある一方、中子材料のコスト高は量産化に向けた課題として残っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    事業化までの道筋試作で発生した中子変形や空気膨張による破裂などの課題を、補強や空気抜き穴の追加で解決し、残る再利用コストも明示している。
  • 4
    新しさ・高付加価値中子を用いた射出成形は極一部の成形メーカーしか手掛けていないニッチ分野で、従来の射出成形では作れない中空・アンダーカット形状を実現している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果補助金投入額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果は薄い。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の射出成形技術を発展させ、中子技術で新分野開拓を図る点が事業経緯に一貫して書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    極一部の成形メーカーしか手掛けていないニッチ分野と位置付け、自社の成形技術で参入する優位性を述べている。

  • 課題の認識と解決3

    中子材料のコスト高を量産化の課題と認識し、再利用の検討を示している。今後5年で売上約1億円の2割程度の拡大を試算している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    今後5年で売上約1億円の2割程度の拡大を試算し、3品目の商品化を目指すとしている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は明示されていない。

  • 事業を進める体制3

    外部金型メーカーへの発注や材料メーカーとの連携、不良原因の分析と金型修正など、遂行の体制と対応が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    羽根車の溶着強度問題や、デザイン性の高い雑貨など顧客ニーズに対応する製品を具体的に挙げ、選ばれる理由を示している。

  • 事業化までの道筋4

    試作で発生した中子変形や空気膨張による破裂などの課題を、補強や空気抜き穴の追加で解決し、残る再利用コストも明示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    中子を用いた射出成形は極一部の成形メーカーしか手掛けていないニッチ分野で、従来の射出成形では作れない中空・アンダーカット形状を実現している。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    プラスチック成形の新たな市場分野を開拓し、今後5年で売上約2割の拡大を見込むなど、地域の事業拡大への寄与が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果は薄い。

  • イノベーションへの貢献3

    中子を用いた射出成形で溶着を不要にし、羽根車などの一体成形を可能にする点は、部品製造の新たな技術革新につながり得る。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    プラスチック成形分野の新たな開拓という方向性は示されるが、日本経済の構造転換に資する成長分野との関連は明確ではない。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

今後5年でポンプ部品・機械部品分野の売り上げ拡大を見込み、今後3品目の商品化を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。