ものづくり補助金平成24年度佐賀県

高硬度・高耐銹性シャフトの評価システムの確立による拡販

株式会社YSK

この事例のポイント

  • 鋼は錆びやすく、強度を高めるほど錆びやすくなるため、硬くて長持ちする製品ほど錆に弱いというジレンマがあった。
  • シャフト径に合わせて熱処理条件を選定した上で、新たに導入した小型摩耗試験装置で耐摩耗性を評価した。
  • 高硬度・高耐摩耗性・高耐腐食性を併せ持つシャフト、ステンレス鋼YSU-1の開発が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社YSK
所在地佐賀県 有田町
業種一般機械器具製造業
技術分野熱処理
従業員数168人
資本金3,200万円
設立1973年

事業の背景

当社は機械の要であるシャフトの生産販売を50年以上続けている。シャフトの原料である鋼は錆びやすく、強度を高めるほど錆びやすいため、硬くて長持ちする製品ほど錆に弱いという問題があった。食品機械に取り付けたシャフトや海に近い場所に据え置く製品は特に錆びやすい条件下にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度鋼は錆びやすく、強度を高めるほど錆びやすくなるため、硬くて長持ちする製品ほど錆に弱いというジレンマがあった。
  • 品質・精度食品機械に取り付けたシャフトは錆が発生しやすい条件下にあり、食品であるため錆の発生を避けなければならず、海に近い場所に据え置く製品も錆びやすかった。
  • 新製品・新技術硬度と耐腐食性、さらに耐摩耗性を併せ持つシャフトを開発する必要があった。

やったこと

シャフト径に合わせて熱処理条件を選定した上で、新たに導入した小型摩耗試験装置で耐摩耗性を評価した。小径用の摩耗試験で往復動による摩耗を調べ、一点荷重試験装置で耐転がり疲労特性を評価し、耐摩耗性は硬度以外の要因もあると考察した。富山大学との共同研究で耐摩耗性の高い試験片と低い試験片の組織の違いを比較し、現在も研究を続けている。導入した塩水噴霧試験装置で熱処理後の試験片の腐食状況を調べ、焼入部の外径が高い耐腐食性を示したことから、高周波焼入によって高耐腐食性のシャフトを製作できると結論づけた。製品の形状から高い耐食性を持たせることが難しいと判断し、加工内容に応じて耐腐食性を高める表面処理(2次加工)を実施した。

  • 検査測定小型摩耗試験装置一点荷重試験装置塩水噴霧試験装置

新しい製品・サービス:ステンレス鋼シャフト YSU-1

事業の効果

高硬度・高耐摩耗性・高耐腐食性を併せ持つシャフト、ステンレス鋼YSU-1の開発が実現した。既存のシャフトとの差別化を図りながら拡販を進めており、食品機械製造などの現場ではYSU-1を取り付けた機械がすでに使われている。顧客からの「さらに錆びにくいもの」「もっと硬いもの」という要望に応じて、その都度最適な製品を研究している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち11観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決錆と硬度のジレンマという課題を明示し、高周波焼入による硬度・耐腐食性を両立したYSU-1の開発で解決を図った流れが読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け硬く錆びにくく摩耗に強いステンレスシャフトという価値と、食品・空圧・医療機械メーカーという顧客ターゲットが明確に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値高硬度と耐腐食性を併せ持つシャフトという、同分野で高水準の差別化製品を開発したことが明記されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性食品機械・空圧機械など顧客ニーズへの対応は触れられるが、市場動向や自社の強み・弱みを数字で示す記述はない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    50年以上シャフトを生産販売してきた事業継続性が書かれ、高周波焼入技術の蓄積が開発につながったと読める。ただし戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    食品機械・空圧機械など顧客ニーズへの対応は触れられるが、市場動向や自社の強み・弱みを数字で示す記述はない。

  • 課題の認識と解決4

    錆と硬度のジレンマという課題を明示し、高周波焼入による硬度・耐腐食性を両立したYSU-1の開発で解決を図った流れが読み取れる。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    「より大きいサイズを」という要望への対応は今後の課題とされ、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    富山大学との共同研究や試験装置の導入は書かれるが、人材や事務処理体制についての記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    硬く錆びにくく摩耗に強いステンレスシャフトという価値と、食品・空圧・医療機械メーカーという顧客ターゲットが明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    大きいサイズへの対応や性能向上を今後の課題とし研究継続を示しているが、スケジュールや遂行方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    高硬度と耐腐食性を併せ持つシャフトという、同分野で高水準の差別化製品を開発したことが明記されている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用ー

    公開情報では判断できません。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    クリーンルーム向けシャフトへの展開は書かれるが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    佐賀県有田町に所在することは書かれるが、地域の特性を活かした雇用創出や成長への言及はうかがえない程度。

今後の展望

現在のYSU-1は小さいサイズしかないため、「より大きいサイズを」という顧客の要望に応える必要がある。今後も研究を続け、性能面でもより良い製品を目指す。クリーンルームで使うシャフトを用いる機械を製造するメーカーを主なターゲットとし、食品機械・空圧機械・医療機械などのメーカーに低価格で高品質なシャフトを販売していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。