ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業徳島県

形状追従型の新規湿式研磨機と環境負荷低減のスラッジ処理タンクの試作開発

石原金属株式会社

この事例のポイント

  • 砥石が固定式のヘッドのため、鋼板端部のダレ部分は砥石が接触せず加工ムラが生じていた。
  • 大型ステンレス鋼板の端部のダレに追随できるよう、硬質ゴムなどの弾性装置を備えたフレキシブルヘッドを試作開発した。
  • フレキシブルヘッドにより大型ステンレス鋼板の端部まで研磨できるようになり、未研磨部はなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名石原金属株式会社
所在地徳島県 徳島市
業種建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
技術分野精密加工
従業員数48人
資本金4,800万円
設立1959年

事業の背景

当社はステンレス鋼板の研磨を手がけ、水に浸しながら砥石が水平に回転する湿式研磨加工機を開発していた。乾式では困難とされていた大型ステンレス鋼板の研磨精度は向上したが、顧客からは大型ステンレス鋼板に対する高い研磨精度の要求が続いていた。現状の加工機では端部に加工ムラが発生するため、新しい研磨ヘッドの開発が必要な状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度砥石が固定式のヘッドのため、鋼板端部のダレ部分は砥石が接触せず加工ムラが生じていた。
  • 新製品・新技術大型ステンレス鋼板の高い研磨精度の要求に応えるため、乾式から湿式加工への転換が急務となっていた。
  • その他湿式研磨で発生する砥石くずやステンレス切削くずを含むスラッジの有効な処理が課題となっていた。

やったこと

大型ステンレス鋼板の端部のダレに追随できるよう、硬質ゴムなどの弾性装置を備えたフレキシブルヘッドを試作開発した。検証実験の結果、未研磨部は認められず、製品の品質を向上させることができた。湿式研磨加工で生じる排水処理のため排水処理機構を設置した。加工液中のスラッジを圧縮する装置を含むスラッジ処理槽を開発製作し、スラッジを産業副産物として再利用できるようにした。

加工機フレキシブルヘッド
その他スラッジ処理槽(スラッジ圧縮装置)
その他排水処理機構

新しい製品・サービス:形状追従型の新規湿式研磨機と環境負荷低減のスラッジ処理タンク

事業の効果

フレキシブルヘッドにより大型ステンレス鋼板の端部まで研磨できるようになり、未研磨部はなくなった。端部に生じていた加工ムラが改善され、製品の品質が向上した。スラッジを圧縮して排水処理できるようになり、環境負荷の低減につながった。スラッジは産業副産物として再利用できる処理槽を開発した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    乾式研磨から湿式研磨への転換が急務と書かれ、既存の研磨事業との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大型ステンレス鋼板の高研磨精度要求や東京オリンピックによる需要増に触れるが、自社の強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    端部のダレによる加工ムラという課題を特定し、フレキシブルヘッドとスラッジ圧縮装置で解決する具体的な方策が示されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、品質向上や未研磨部がないという定性的な成果のみ書かれている。

  • 事業を進める体制2

    開発体制や人材、事務処理能力について書かれておらず、従業員数48人の記載にとどまる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型ステンレス鋼板の研磨精度向上という価値と顧客の高精度要求は読み取れるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    試作開発と検証実験を行ったことは書かれるが、今後の遂行スケジュールや中長期の課題検証は具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    湿式研磨でのフレキシブルヘッドは高水準の品質向上を図る取組みで、大型ステンレス板の研磨精度向上が明確に示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    高層ビルの免震用ベースプレートへの応用など社会インフラへの広がりに触れるが、雇用創出や波及効果の記載は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額、生産性向上の数値が示されず、費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献3

    スラッジを再利用可能な処理槽や排水処理の仕組みで環境負荷低減を図るが、デジタル技術の活用や地域・サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ステンレス板の湿式加工への転換は需要分野への進出とみられるが、日本経済の構造転換への言及はわずかである。

  • 地域経済への波及2

    徳島県の企業であることは示されるが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

大型ステンレス鋼板は東京オリンピックの影響もあり、今後大幅な増加が見込まれている。高層ビルの免震用技術のベースプレートとしての応用も進んでいる。当社は差別化された技術で市場開拓を進めていく。

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。