ものづくり補助金平成24年度長崎県

鋳造品の短納期試作フローの構築

株式会社峯陽

この事例のポイント

  • 鋳造品の形状が複雑化し、試作に必要な期間が長くなっている。
  • 3次元CADデータをベースに模型製作、鋳造、加工の各プロセスを構築し検証した。
  • 試作の寸法傾向をデータとして蓄積し、鋳造の方案作成に反映しつつある。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社峯陽
所在地長崎県 諫早市
業種はん用機械器具製造業
技術分野動力伝達
従業員数94人
資本金1億円
設立1948年

事業の背景

近年、鋳造業では製作が容易な形状や材質の製品が海外から調達されるケースが増えている。国内の鋳造メーカーが生き残るには、薄肉で形状が複雑な技術的優位性のある製品を効率良く短納期で製造することが課題となっている。鋳造業は製品ごとに模型(金型または木型)が必要なため、リピート品の量産は短納期対応が比較的可能だが、初品や少ロットの試作は工期短縮が課題である。また、鋳造業界の取引価格はkg単位の重量基準であり、軽量化を進めると単価が下がるという矛盾を抱えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術鋳造品の形状が複雑化し、試作に必要な期間が長くなっている。
  • 納期・工程初品や少ロットの試作品は工期が長く、受注拡大の障害になっている。
  • 品質・精度初品の寸法精度が安定せず、模型の修正回数や修正時間がかかっている。

やったこと

3次元CADデータをベースに模型製作、鋳造、加工の各プロセスを構築し検証した。3次元計測機を製造現場で活用できるかを検証し、製品図を3D-CAD化して試作品と形状を比較した。図面を3D化したモデルと実際の試作品を細部まで比較することで、修正の要否と修正が必要な場合の詳細データを確認できた。比較結果をもとに模型を修正し、再度試作品と製品図を比較して、全ての形状が規格内にあることを確認した。さらに、模型から試作までの期間がこれまでよりどの程度削減できたかを検証した。

新しい製品・サービス:3Dプリンターによる新たな模型づくりを研究している。3Dプリンターで成形したプラスチック等の模型を型枠で固めた後、加熱等によりプラスチックを溶解させ、そこに金属を流し込んで、複雑な形状で小型の製品を単体から小ロットで製造する。

事業の効果

試作の寸法傾向をデータとして蓄積し、鋳造の方案作成に反映しつつある。これを繰り返すことで初品の寸法精度が次第に改善され、模型の修正回数や修正時間が削減できれば、短納期化をさらに加速できることが分かった。3Dプリンターによる新たな模型づくりを通じて、単体から小ロットの製造も可能になり、エネルギー分野や宇宙・航空分野への新規進出も期待される。製品の高度化による業容拡大も期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決試作工期の課題を示し、模型製作から試作までの期間を半減、工期30%短縮という目標と3次元計測による検証フローが具体的に記載されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け薄肉・複雑形状で精度を要する製品をターゲットとし、少ロット化・短納期化という顧客ニーズへの対応が明示されている。
  • 4
    事業化までの道筋3D-CAD化、模型製作、鋳造、加工の各プロセス構築と検証の流れ、修正回数削減の見通しが段階的に示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制事業者概要に従業員数94人とあるが、補助事業を遂行する人材や体制の具体的な記述はほぼない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    鋳造業の短納期化と薄肉・複雑形状分野への注力は読み取れるが、過去の取組との連続性を示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海外調達増加と薄肉・複雑形状の優位性に触れ、発電プラント用ステンレス部品等をターゲットとするが、強み・弱みの定量的な裏付けは乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    試作工期の課題を示し、模型製作から試作までの期間を半減、工期30%短縮という目標と3次元計測による検証フローが具体的に記載されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    工期30%短縮と期間半減の目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現根拠も限定的。

  • 事業を進める体制2

    事業者概要に従業員数94人とあるが、補助事業を遂行する人材や体制の具体的な記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    薄肉・複雑形状で精度を要する製品をターゲットとし、少ロット化・短納期化という顧客ニーズへの対応が明示されている。

  • 事業化までの道筋4

    3D-CAD化、模型製作、鋳造、加工の各プロセス構築と検証の流れ、修正回数削減の見通しが段階的に示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    薄肉・複雑形状の鋳造品は他社との差別化分野とされるが、高付加価値化・高価格化の水準を示す数値は書かれていない。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    海外調達増加への対応や発電プラント・舶用過給機市場への参入など地域・産業面の意義はあるが、雇用や波及効果の数字は乏しい。

  • 費用対効果3

    試作期間半減・工期30%短縮という効果目標はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3次元計測機と3次元データによる製品検証、3Dプリンターを用いた新たな模型づくりなど先端的デジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    エネルギー分野や宇宙・航空産業への新規進出の可能性に触れるが、構造転換への位置づけは限定的。

  • 地域経済への波及2

    長崎県諫早市の企業であることは分かるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への記述はほぼない。

今後の展望

ターゲットはマーケットは発電プラント用ステンレス部品と舶用過給機である。短納期化が実現すれば、国内及び近隣諸国の市場への参入も現実的となる。対象分野は薄肉で寸法・形状の精度が求められる製品であり、国内でも収益性が期待でき、市場拡大とシェア獲得が見込まれる。

  • 目標:期間を半減させる(目標)
  • 目標:30%短縮(目標)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。