ものづくり補助金平成24年度大分県

膝関節痛及び脚の筋肉の衰えによる直立、着座、歩行が困難な人へ対応する、脱着が容易で軽くて丈夫な介護、福祉機器の開発

株式会社テオリック

成果直立・着座時に必要な力 20Nm→12Nm

この事例のポイント

  • 既存の立ち座り支援機器は介助人が必要だったり、大がかりな器具であったり、電気・電子制御の専門知識が必要だったり、高価だったりして、市場のニーズに合っていなかった。
  • デモ機の開発にあたり3Dプリンターを導入し、開発途中で変化する機構部や細かなデザイン改良に迅速かつ安価に対応した。
  • 直立・着座時に必要な力 20Nm→12Nm。「TATOE」は、電気やモーターを使わずバネの力だけで動力を生む簡素な構造で、低コストに抑えられ経済的負担も少ない。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社テオリック
所在地大分県 国東市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
資本金2,500万円
設立1999年

事業の背景

同社は切削・研削・放電加工を中心に、金型部品、精密金型部品、試作加工までを手がけ、短納期・高品質でユーザーニーズに応えてきた。本事業は平成23年から開発を進めていた介護・福祉分野の機器で、介護・福祉の現場や在宅生活で脚の機能の衰えによる立ち座り動作の負担を軽減することを目指している。介護・福祉分野への参入企業は今後も続出すると予測されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の立ち座り支援機器は介助人が必要だったり、大がかりな器具であったり、電気・電子制御の専門知識が必要だったり、高価だったりして、市場のニーズに合っていなかった。
  • 新製品・新技術デモ機は片脚の見込み重量が約1,500グラムと重く、使うには負担感が大きかったため、剛性の高い素材の選定と切削加工方法の確立による軽量化が必要だった。
  • 納期・工程膝回転サポート部の新機構の開発からデザイン決定までに時間がかかり、開発途中の機構変更や細かなデザイン改良に素早く対応する必要があった。

やったこと

デモ機の開発にあたり3Dプリンターを導入し、開発途中で変化する機構部や細かなデザイン改良に迅速かつ安価に対応した。完成品イメージの作成が可能になり検討が速やかに進み、開発期間の短縮につながった。大分大学工学部福祉環境工学科メカトロニクスコースの指導を受け、県内病院のリハビリセンターにある動作解析装置で立証実験を行った。その結果、標準体重の人が直立・着座時に必要とする約20Nmの力に対し、開発した器具は12Nmを発生するバネを搭載し約半分の力で立ち上がれることが判明した。大分県産業科学技術センターにも技術協力を依頼し、マグネシウム合金の知見や金型加工技術、CAM技術を活かして素材選定と切削加工方法を検討した。

新しい製品・サービス:膝回転サポート部の新機構を備えた立ち座り補助器具「TATOE(立とうえ)」

事業の効果

  • 直立・着座時に必要な力 20Nm→12Nm

「TATOE」は、電気やモーターを使わずバネの力だけで動力を生む簡素な構造で、低コストに抑えられ経済的負担も少ない。軽くて使いやすく、価格面と機能面の両方で優位性を持つ。平成27年9月に特許権を取得し、平成28年度からの販売開始に向けて最終調整を進めている。大分市内の福祉機器取り扱い代理店との契約も締結し、新分野での販路開拓の体制づくりが進んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    新しさ・高付加価値介護福祉分野で電気を使わないバネ式の膝サポート器具という点は、既存の介護ロボットと比べて新しいと読み取れる。価格面の優位性も示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    課題の認識と解決販売開始の予定や代理店契約は書かれているが、高付加価値化や成長につながる数値目標や計画の詳細は記載がない。
経営戦略との整合性2.7
  • これまでの取組との一貫性3

    事例では同社が平成23年から介護福祉分野の機器開発を進めてきたと書かれ、既存事業との連続性は読み取れる。ただし経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    介護現場の既存機器は介助人が必要、大がかり、専門知識が必要、高価といった課題があったと書かれ、低コストで手軽な点を強みとしている。市場動向との関係は概略のみ。

  • 課題の認識と解決2

    販売開始の予定や代理店契約は書かれているが、高付加価値化や成長につながる数値目標や計画の詳細は記載がない。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標ー

    公開情報では判断できません。

  • 事業を進める体制3

    社内の機械加工技術、産学官連携、県産業科学技術センターの協力など体制の一部は書かれているが、事務処理能力や人員の確保は記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    介護現場の負担軽減や低コスト、バネの力のみで動く簡素な構造など、製品の価値は書かれている。顧客ターゲットは要介護2程度の人と明記されている。

  • 事業化までの道筋3

    平成27年9月に特許取得、強度テスト、モニタリング、平成28年度販売開始と段階的な予定が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    介護福祉分野で電気を使わないバネ式の膝サポート器具という点は、既存の介護ロボットと比べて新しいと読み取れる。価格面の優位性も示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    高齢化の進展と介護者・本人双方の負担軽減という社会的意義が書かれているが、雇用や波及効果への言及は薄い。

  • 費用対効果3

    12Nmで約20Nmの必要力を半分程度にできたという数値があるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    3Dプリンターや産学官連携による開発は書かれているが、サプライチェーンや地域のイノベーションへの貢献は明確ではない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    高齢化時代の介護・福祉分野への参入が続くと予測されていると書かれ、成長分野への進出がうかがえる。

  • 地域経済への波及3

    大分県内の大学、病院、県産業科学技術センターと連携し、大分市内の福祉機器代理店と契約した点は地域性がうかがえる。

今後の展望

平成28年度より販売開始の予定。介護・福祉業界の競合が加速するなかで「TATOE」の成功を目指し、さらに販路を広げていく意気込みである。

業種と困りごとが近い成果事例

北海道平成24年度

装着型高照度光照射装置の開発

睡眠習慣の改善や季節性感情障害の緩和を目的に、装着型高照度光照射装置「ルーチェグラス」を開発した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。