ものづくり補助金平成24年度大分県

医療・介護用三次元網状マットレスの製造にかかる金型の開発

株式会社エコ・ワールド

この事例のポイント

  • 床ずれを防ぐため体圧分散に優れた医療・介護用マットレスが必要だったが、低反発素材は長時間使用するとへたりが生じやすかった。
  • ポリエチレン樹脂を高温で溶解して押し出す際に用いる押出口の金型を新たに開発し、1回の押出しで硬い層と柔らかい層の二層網状構造を成形できるようにした。
  • 二層構造により他社製品との差別化に成功し、用途も広がった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エコ・ワールド
所在地大分県 玖珠郡玖珠町
業種家具・装備品製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数30人
資本金4,250万円
設立1999年

事業の背景

株式会社エコ・ワールドはもと産業廃棄物処理業者で、2001年に三次元網状構造体の製造技術を特許取得し、その技術を使った健康マットレス『E-CORE』をOEMで供給し始めた。後発の同業他社が有名スポーツ選手を使った広告を行ったことで、先行する同社にも注文が殺到し売上が急拡大した。一方で病院や介護施設では主流のウレタン製マットレスが使われており、医療・介護向けの需要を取り込む余地があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術床ずれを防ぐため体圧分散に優れた医療・介護用マットレスが必要だったが、低反発素材は長時間使用するとへたりが生じやすかった。
  • 品質・精度表面層と裏面層を別々に製造して接着すると接面部が弱くなり、長く使ううちに剥がれやすかった。
  • 生産能力従来の金型は段取り替えに洗浄などの手間と長い時間がかかり、生産効率が低かった。

やったこと

ポリエチレン樹脂を高温で溶解して押し出す際に用いる押出口の金型を新たに開発し、1回の押出しで硬い層と柔らかい層の二層網状構造を成形できるようにした。これにより表面層はソフトな低反発、裏面層はハードな高反発の二層一体構造の『E-CORE』を完成させた。金型はすべての部位にテフロン処理を施し、樹脂の流れを良くして洗浄や研磨の手間を省き、段取り替えの時間を短縮した。さらに金型の押えや枠などの各部品と電源センサー、温度センサーも更新した。

  • 金型二層網状成形用金型テフロン処理済み
  • 検査測定温度センサー電源センサー

新しい製品・サービス:医療・介護用の二層構造マットレス『E-CORE』(表面ソフト低反発・裏面ハード高反発)

事業の効果

二層構造により他社製品との差別化に成功し、用途も広がった。業界で大きな反響を呼び、大手寝具メーカーをはじめ各社との取引拡大につながった。テフロン処理した金型により段取り替えの時間が短縮され、生産効率が改善した。介護認定があれば補助金で購入できるため、病院や介護施設からの新規需要とリピート需要も取り込める見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性病院で主流のウレタン製マットレスに対し通気性と体圧分散を強みとし、後発他社の広告で売上が急拡大した経緯から、市場と自社の強みを踏まえた方針が読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決へたりや接面部の剥がれ、段取り替えの手間といった課題を明示し、一回の押出しで二層を成形する金型開発で解決を図っており、課題と対策の対応が具体的。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け体圧分散や通気性、二層構造による他社との差別化、病院・介護施設という顧客ターゲットが整理されており、選ばれる理由が読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産効率の改善は述べられているが、付加価値や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性を判断する数字がない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    廃棄カートリッジ再生から2001年の特許取得、OEM供給を経て医療・介護向け製品へ展開しており、技術の継続的な発展は読み取れるが、数値を伴う中長期計画は書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    病院で主流のウレタン製マットレスに対し通気性と体圧分散を強みとし、後発他社の広告で売上が急拡大した経緯から、市場と自社の強みを踏まえた方針が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    へたりや接面部の剥がれ、段取り替えの手間といった課題を明示し、一回の押出しで二層を成形する金型開発で解決を図っており、課題と対策の対応が具体的。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産効率の改善は述べられているが、付加価値や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性を判断する数字がない。

  • 事業を進める体制2

    社員数30人と設立年の記載はあるが、補助事業を遂行する人材配置や事務処理の体制については書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    体圧分散や通気性、二層構造による他社との差別化、病院・介護施設という顧客ターゲットが整理されており、選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋2

    今後は医療・介護に特化した製品づくりを進める方針は示されているが、遂行スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ポリエチレン網状マットレスの分野で、世界初とされる二層一体型のハイブリッド製品を開発し、他社との差別化に成功したと書かれている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    大手寝具メーカーとの取引拡大は述べられているが、川上・川下への波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    段取り替え時間の短縮や生産効率の向上は記載があるが、補助金投入額に対する効果を示す数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    ハイテク製法や二層構造の開発はうかがえるが、地域やサプライチェーンのイノベーションへの貢献までは書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    医療・介護分野への進出は示されているが、市場の成長や日本経済の構造転換に結びつく説明は書かれていない。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

今後も医療・介護に特化した製品づくりを進めていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。