ものづくり補助金平成24年度鹿児島県

自動車用機構部品の高精度化のための試作開発と生産プロセス強化

株式会社秦野精密

この事例のポイント

  • FB加工は異方性のため穴径に歪みが生じ、熱処理後に仕上加工(切削)が必要だった。
  • 熱処理前後の製品の変化量(歪み)を三次元測定機で正確に測定し、その実態を詳細に把握した。
  • 仕上加工を要しない加工技術を確立したことで、熱処理後の仕上加工工程を削減できる見込みとなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社秦野精密
所在地鹿児島県 薩摩郡さつま町
業種輸送用機械器具製造業
技術分野熱処理
従業員数35人

事業の背景

当社の生産品は自動車向けが95%を占め、そのほとんどがファインブランキング加工(FB加工)で製造されている。FB加工は高精度な部品加工を可能にするが、金属の異方性により熱処理後に穴径の歪みが生じ、仕上加工が欠かせなかった。技術力を高めた諸外国と円高水準の中で競争する状況があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度FB加工は異方性のため穴径に歪みが生じ、熱処理後に仕上加工(切削)が必要だった。
  • コスト・採算製品によっては単価の4割を仕上加工費が占めており、この工程をなくせれば付加価値と競争力を高められると考えた。

やったこと

熱処理前後の製品の変化量(歪み)を三次元測定機で正確に測定し、その実態を詳細に把握した。FB加工後の製品と熱処理後の製品を測定して変化量を評価し、その結果をもとに金型を補正する工程を繰り返した。異方性の歪みには法則性があることが分かり、その法則性を分析して金型形状に反映させた。これにより、仕上加工を要しない加工技術を確立した。

事業の効果

仕上加工を要しない加工技術を確立したことで、熱処理後の仕上加工工程を削減できる見込みとなった。これにより製品の付加価値が高まり、競争力が強化される。高精度化により切削を必要としない製品を提供できるようになり、顧客だけでなく業界全体やユーザーにもコストダウンをもたらすと見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.6 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決製品単価の4割を仕上加工費が占めるという課題が明示され、仕上加工削減による付加価値向上の計画が読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値向上の方向性は示されるが、数値による目標値や賃上げ目標の記載は見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車向けFB加工の既存事業と異方性による歪みへの取組が一貫しており、仕上加工削減という課題が位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車向け生産が95%と記載され、仕上加工を削減できる技術が競争力強化につながるとしているが、市場や競合との比較は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    製品単価の4割を仕上加工費が占めるという課題が明示され、仕上加工削減による付加価値向上の計画が読み取れる。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上の方向性は示されるが、数値による目標値や賃上げ目標の記載は見当たらない。

  • 事業を進める体制2

    開発の工程(測定と金型補正の繰り返し)は述べられているが、担当体制や人材の記載はわずかである。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    仕上加工不要で高精度・コストダウンを提供できるという価値は示されるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    測定、金型補正を繰り返す遂行方法は述べられているが、スケジュールや期間の記載がない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    ファインブランキングで仕上加工を不要にする高精度加工は差別化の要素だが、高付加価値化の水準は数値で示されていない。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    円高や諸外国との競争に触れ、業界全体やユーザーへの波及がうかがえるが、国が補助する理由の具体的記述は少ない。

  • 費用対効果2

    仕上加工費4割の削減可能性は示唆されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    三次元測定機によるデータ分析を金型補正に用いる点はうかがえるが、デジタル技術の位置付けは限定的である。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    革新的な技術確立が国際競争に役立つと述べられ、構造転換への言及がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

高精度化で切削を必要としない製品の提供が可能になったことを受け、既存注文の増加と新規受注の拡大を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。