2026年から、賃金引上げ特例の判定方式が根本的に変わるなど、採否や補助額に直結する重要な見直しが入っています。
過去に申請した経験がある方ほど、「前と同じ感覚」で読むと要件を取り違えるおそれがあります。この記事では、第20回の変更点を一覧で押さえたうえで、実務でつまずきやすい細かい論点まで踏み込んで解説します。
小規模事業者持続化補助金とは
持続化補助金は、ものづくり補助金・新事業進出補助金・デジタル化・AI導入補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3〜4回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。
補助上限額は最大250万円(インボイス・賃上げ等の特例要件を満たした場合)、補助率は2/3〜最大3/4。小規模事業者にとって、自己負担を抑えて新しい挑戦ができる大きなチャンスです。令和7年度の予算規模は総額2,000億円にも上り、毎年約3万件以上の応募があります。
詳しくはこちら:【2026年】小規模事業者持続化補助金の最新情報を解説!
目次
小規模事業者持続化補助金の申請枠
「自社はどの枠が最適かわからない」という方は、無料で確認できるガイドもご用意しています。最も選択されるのは「通常枠」ですが、追加要件を満たせば「賃金引上げ枠」や「創業枠」などの特別枠にも申請できます。能登半島地震の被災事業者の方はより優遇して補助を受けられる「災害支援枠」に申請できます。
詳しくはこちら:持続化補助金の申請枠(通常枠・特別枠)を徹底比較
持続化補助金の補助率・補助上限
通常枠を中心に以下の内容で実施予定です。
補助率
- 2/3
(賃金引上げ特例の一部事業者は3/4)
補助上限額
- 通常枠:50万円
- インボイス特例:+50万円
- 賃金引上げ特例:+150万円
条件を満たすことで、最大250万円まで補助上限が引き上げられる可能性があります。
補助事業実施期間
交付決定日からおよそ10か月以内です。この期間内に、計画された補助事業を完了させる必要があります。
持続化補助金の申請要件
小規模事業者持続化補助金に申請するには、主に「小規模事業者であること」と「補助対象事業者の条件を満たすこと」の2つが必要です。
ここでは、申請前に必ず確認しておきたい基本要件をわかりやすく解説します。
① 小規模事業者であること
持続化補助金は、その名の通り「小規模事業者」を対象とした制度です。
業種ごとに、以下の従業員数要件を満たしている必要があります。
業種別の従業員数要件
- 商業・サービス業:5人以下
- 宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業・建設業・その他:20人以下
※従業員数には以下は含まれません。
- 会社役員
- 個人事業主本人
- 業務委託スタッフ
- 一定条件を満たすパート・アルバイト
そのため、実際には「思ったより対象になる」ケースも多く、個人事業主や小規模法人でも活用しやすい補助金となっています。
② 補助対象事業者の条件を満たすこと
従業員数だけでなく、以下の基本条件を満たしている必要があります。
主な対象要件
- 株式会社・合同会社などの営利法人、または個人事業主である
- 一定要件を満たしたNPO法人である
- 資本金5億円以上の大企業に100%支配されていない
- 直近3年間の課税所得の平均額が15億円以下である
- 申請時点で既に事業を開始している
つまり、「すでに事業を行っている小規模事業者」であれば、多くのケースで申請対象になる可能性があります。
持続化補助金 補助対象経費
持続化補助金では、事業計画に必要な経費のみが補助対象となります。補助対象経費は以下の13区分に分かれており、いずれかに該当する必要があります。
主な補助対象経費

- 機械装置等費(業務効率化設備・厨房機器・製造機械など)
- 広報費(チラシ・パンフレット・広告運用・Web広告など)
→広報費が補助される補助金はこちら - 展示会等出展費(展示会出展料・ブース設営費など)
→展示会出展が補助される補助金はこちら - 旅費(販路開拓に必要な出張費など)
- 開発費(試作品開発・パッケージ試作など)
- 資料購入費(専門書籍・市場調査資料など)
- 雑役務費(アルバイト・臨時スタッフ費用など)
→人件費が補助される補助金はこちら - 借料(機器レンタル・会場利用料など)
- 専門家謝金(専門家への相談費用など)
- 専門家旅費(専門家派遣に伴う交通費など)
- 設備処分費(設備更新に伴う既存設備の処分費)
- 委託費(HP・システム開発・調査委託など)
→ホームページが補助される補助金はこちら - 外注費(Web制作・動画制作・キッチンカーなど)
キッチンカーが補助される補助金はこちら
なお、申請枠や事業内容によって対象・対象外となる経費が異なるため、「自社の取り組みが補助対象になるか不安」という方は、お気軽にご相談ください。
持続化補助金 2026年度の変更点は?
2026年度(令和8年度)の小規模事業者持続化補助金で、申請者がまず押さえるべき変更は大きく2つです。
①賃金引上げ特例の判定方式が変更
補助上限を最大150万円上乗せできる「賃金引上げ特例」について、要件が次のように変わりました。
| 第19回まで | 2026年度(第20回〜) | |
|---|---|---|
| 賃上げの要件 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上 | 従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加 |
判定の基準が、「最も低い時給の従業員」から「会社全体の給与水準の伸び」へと移行しました。賞与や手当を含めた給与支給総額を、計画的に引き上げる必要があります。
特に重要なのは、この要件を満たせない場合、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付対象外となる点です。要件達成の見込みを申請前に精査することが不可欠です。
②広報費・ウェブサイト関連費に上限と単独申請不可のルール
販路開拓で多用される広報費(チラシ・看板・広告等)とウェブサイト関連費(HP・EC・ネット広告等)に、次の制限が設けられました。
- いずれも上限30万円(税込)
- どちらも単独での申請は不可(他の補助対象経費との組み合わせが必要)
このため、ホームページ制作やチラシ作成のみを目的とした申請はできません。新商品の販促、店舗改装、機械装置の導入など、本体となる取り組みと組み合わせて設計する必要があります。
なお、最大250万円の枠で申請する場合も、広報費・ウェブサイト関連費に充当できるのは各30万円までです。ウェブ投資の比重が大きい計画では、残りを他の経費区分で構成する必要があります。
2026年度の持続化補助金は、賃上げに取り組む事業者を重点的に支援する一方、経費の取扱いを厳格化する方向で見直されました。特に賃金引上げ特例は判定の考え方そのものが変わっているため、過去の申請経験がある事業者も、従来の認識のまま準備を進めないことが重要です。
インボイスは最大250万円補助
持続化補助金に申請を検討の場合、インボイス特例を適用して申請することがおすすめです。インボイス事業者には補助額が+50万円上乗せされるため、操業枠の場合は最大250万円の補助を受けることができます。販路開拓の選択肢を広げるためにも、できるだけ多く取っておいた方がよいでしょう。
規模事業者持続化補助金 申請方法
- 申請は「電子申請システム」でのみ受け付けられます。
- 申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。取得には時間がかかるため、未取得の場合は早めに手続きを行いましょう。
- 申請内容は申請者自身が理解・確認したうえで、申請者本人が提出してください。委任関係の管理機能はシステム上提供されておらず、代理申請は原則認められません。
- 提出書類はすべてPDF形式で、定められたファイル名でアップロードする必要があります。
- 不備・不足・アップロード漏れ・パスワード設定等により内容確認ができない場合は、審査対象外となります。
電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。郵送での本人確認に1〜2週間かかるため、申請を思い立った時点で即取得手続きを始めてください。公募要領の公開を待ってからでは間に合わないケースがあります。
詳しくはこちら:GビズIDとは?プライムアカウントの取得方法と注意点
よくある質問(FAQ)
Q. 第20回はいつから申請できますか?
A. 申請受付開始は2026年11月5日(木)、締切は2026年12月15日(火)17:00です。先に必要な事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が12月4日(金)のため、相談は早めがおすすめです。
Q. 賃金引上げ特例の判定はどう変わりましたか?
A. 「事業場内最低賃金を+50円以上」から、「従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加」させる方式に変わりました〔要・公募要領確認〕。賞与・手当を含む総額ベースの計画が必要です。
Q. 賃上げ特例を満たせないと、どうなりますか?
A. 特例の上乗せ分だけでなく、補助金全体が交付対象外になる場合があります。補助事業終了時点で要件を満たせる計画かどうか、申請段階で確認が必要です。
Q. ホームページ制作費だけで申請できますか?
A. できません。第20回からウェブサイト関連費は上限30万円(税込)かつ単独申請不可です。チラシ・展示会・機械装置など他の販路開拓経費と組み合わせて申請します。
Q. 広報費とウェブサイト関連費の違いは?
A. ウェブサイト関連費はHP・EC・LP制作など“サイトそのもの”に関わる費用、広報費はチラシ・看板・パンフレット等の販促物が中心です。それぞれ上限30万円(税込)が設定されています。費目の仕分けで上限の当たり方が変わります。
Q. 相見積はいくらから必要ですか?
A. 第20回から、1件50万円超(税込)の発注で2者以上の相見積が必要です。発注を分割して50万円以下に見せることは認められません。
Q. 赤字でも申請できますか?補助率は?
A. 申請できます。賃金引上げ特例を使う赤字事業者は、補助率が3/4に引き上げられ、優先採択の対象になります。「赤字」の定義・証憑は公募要領で確認してください。
Q. 補助上限はいくらですか?
A. 通常枠の基本は50万円です。インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方を満たすと+200万円で最大250万円になります。
Q. 新設された加点は何ですか?
A. 健康経営優良法人加点と地域別最低賃金引上げ加点です。認定系の加点は申請時点で取得済みであることが原則のため、早めの準備が必要です。
Q. 個人事業主やフリーランスでも対象ですか?
A. 小規模事業者に該当すれば対象です(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他・宿泊娯楽業は20人以下)。申請時点で開業し、販路開拓・業務効率化の取組であることが必要です。詳しくは[常時使用する従業員の定義(内部リンク)]をご覧ください。
出典・参考資料
- 小規模事業者持続化補助金<一般型>補助金事務局(商工会議所地区)
- 小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁)
- 補助金公募情報一覧(中小企業庁)
※本記事は上記公式資料をもとに作成しています。制度内容は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。
免責事項・ご注意
- 本記事について
本記事は、中小企業庁・補助金事務局が公表している公式資料をもとに、情報提供を目的として作成しています。特定の補助金申請の採択を保証・推奨するものではありません。 - 制度変更について
本補助金は公募回(現在:第19回)ごとに要件・補助率・スケジュール・申請枠が変更される場合があります。また申請窓口は商工会地区と商工会議所地区で異なります(事業支援計画書(様式4)の発行先が異なるため、事前に自社の管轄を必ずご確認ください)。 - 申請の際は必ずご確認ください
商工会議所地区 補助金事務局サイトに掲載の最新公募要領
管轄の商工会または商工会議所への事前相談(様式4の発行受付締切に注意)
認定支援機関または中小企業診断士等の専門家への相談 - 損害免責
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